「おはよ、仕事だったの?」
午後少し遅れて到着すると陸にそう声を掛けられた。
「あ、そうなの、みんなは? もうやってる?」
グラビアの話は恥ずかしいしあえてする必要も無いから言わなかった。
「もうみんな音合わせしてる、こっち」
「うわっ、広……」
思わず息を呑むその場所は昔お父さんに野球を見に連れてきてもらった時以来だ。
直ぐに飽きて寝ちゃって、ホームランの音でどよめく声に目が覚めたら危うくボールがぶつかりそうになった。
よくこんなうるさいところで寝られるな、なんて笑われたっけ、そんな古い記憶を思い出した。
「おー! ましろ来たか」
遠くで手をブンブンと振ってる龍の方に駆け寄った。
「あ、皆さん、お久しぶりです」
そこにはもうレドモンのみんなも集まってた。
「ましろちゃん久しぶり」
「じゃあ始めようか、ほら、空も」
「ん、あぁ」
「あの、その前に……」
「なに?」
「空さん、幸翔さん、楓雅さん、私達に色々助言していただきありがとうございます」
「ちょっと頭上げてよ、俺らも好きでやってんだからいいんだよ」
「競ってる方が僕達の売上も上がるしね」
「なぁ、空」
「ん? あぁ」
そう言うと空さんはジーッと私の顔を見てポツリと呟いた。
「なんかお前……」
なんて言い出すから何を言われるのか心の準備をしたら
「こいつらの母親みたいだな」
そんな事を言われその場はどっと笑いに包まれた。
「母親って……私この二人と同じ年ですよ……まぁよく言われますけど……」
とほほと脱力しながら訴えると、それにまたみんな反応して笑いが起こった。
「はい、じゃあ一度音合わせするぞー、まずレドモンから、で次ブラモン一通り終わったらこの前作った二組の共同曲を合わせるよ」
相馬さんのその一声でリハーサルが始まった。
二組の共同曲とは空さんが作詞して陸が作曲してみんなでアレンジした曲だ。
空さんが歌い、私がコーラス、これは私が望んだことだ。男性目線の歌でいきたいと。
この曲がCDになることはないけど、会場に来てくれた人達へのちょっとしたプレゼントとしてみんなで作った。
ほぼ一日やってもリハーサルっていうのは終わらない。
また明日合わせて明後日は一通り本番同様に演奏するゲネプロ。
それ以外にもスタッフの方達だけが残って照明や音声の確認を入念にしてくれる。
決して私達だけでやってるわけじゃない。
レドモンが演奏している間、客席の一番いい席で三人並んで見た。
心臓を鷲掴みにされるようなそんな音で今すぐ立ち上がりたい、そんな気にさせられる。
隣を見るともう二人なんて目をキラキラと輝かせていてまるで少年に戻ったみたい。
すっかり見入っていた私達だけど、演奏は終わり次は私達の番。
「あ、交代ね、じゃあ……」
「え、そこ座るんですか?」
「は? お前ら俺らの見てたじゃん」
「いやそうっすけど緊張しますわ」
「本番は五万五千人だよ? 僕達たった三人で緊張しててどうするの」
「そうですよね、ほら、やろ」
目を閉じてイントロが流れるのを待った。
午後少し遅れて到着すると陸にそう声を掛けられた。
「あ、そうなの、みんなは? もうやってる?」
グラビアの話は恥ずかしいしあえてする必要も無いから言わなかった。
「もうみんな音合わせしてる、こっち」
「うわっ、広……」
思わず息を呑むその場所は昔お父さんに野球を見に連れてきてもらった時以来だ。
直ぐに飽きて寝ちゃって、ホームランの音でどよめく声に目が覚めたら危うくボールがぶつかりそうになった。
よくこんなうるさいところで寝られるな、なんて笑われたっけ、そんな古い記憶を思い出した。
「おー! ましろ来たか」
遠くで手をブンブンと振ってる龍の方に駆け寄った。
「あ、皆さん、お久しぶりです」
そこにはもうレドモンのみんなも集まってた。
「ましろちゃん久しぶり」
「じゃあ始めようか、ほら、空も」
「ん、あぁ」
「あの、その前に……」
「なに?」
「空さん、幸翔さん、楓雅さん、私達に色々助言していただきありがとうございます」
「ちょっと頭上げてよ、俺らも好きでやってんだからいいんだよ」
「競ってる方が僕達の売上も上がるしね」
「なぁ、空」
「ん? あぁ」
そう言うと空さんはジーッと私の顔を見てポツリと呟いた。
「なんかお前……」
なんて言い出すから何を言われるのか心の準備をしたら
「こいつらの母親みたいだな」
そんな事を言われその場はどっと笑いに包まれた。
「母親って……私この二人と同じ年ですよ……まぁよく言われますけど……」
とほほと脱力しながら訴えると、それにまたみんな反応して笑いが起こった。
「はい、じゃあ一度音合わせするぞー、まずレドモンから、で次ブラモン一通り終わったらこの前作った二組の共同曲を合わせるよ」
相馬さんのその一声でリハーサルが始まった。
二組の共同曲とは空さんが作詞して陸が作曲してみんなでアレンジした曲だ。
空さんが歌い、私がコーラス、これは私が望んだことだ。男性目線の歌でいきたいと。
この曲がCDになることはないけど、会場に来てくれた人達へのちょっとしたプレゼントとしてみんなで作った。
ほぼ一日やってもリハーサルっていうのは終わらない。
また明日合わせて明後日は一通り本番同様に演奏するゲネプロ。
それ以外にもスタッフの方達だけが残って照明や音声の確認を入念にしてくれる。
決して私達だけでやってるわけじゃない。
レドモンが演奏している間、客席の一番いい席で三人並んで見た。
心臓を鷲掴みにされるようなそんな音で今すぐ立ち上がりたい、そんな気にさせられる。
隣を見るともう二人なんて目をキラキラと輝かせていてまるで少年に戻ったみたい。
すっかり見入っていた私達だけど、演奏は終わり次は私達の番。
「あ、交代ね、じゃあ……」
「え、そこ座るんですか?」
「は? お前ら俺らの見てたじゃん」
「いやそうっすけど緊張しますわ」
「本番は五万五千人だよ? 僕達たった三人で緊張しててどうするの」
「そうですよね、ほら、やろ」
目を閉じてイントロが流れるのを待った。