「よし、デビュー後初ライブ、なんとしてでも成功させるぞ」
「あー、緊張してきたな」
「楓雅? 顔、強ばってるよ」
「大丈夫だよ、うまくやる」

「ステージの楓雅さんはすごいですー。いつもはあんまり喋らなくて大人しい感じなのに人が変わったように自信に満ち溢れるってて超かっこいいですー」
「すげーよな、いつだって楓雅は自分のパフォーマンスに絶対的な自信があるんだよ」
「だけどライブが始まると僕、周りが見えなくなっちゃう」
「そんな時はあたし達スタッフに任せてください」
「ふっ、だな、全員で作るライブだもんな、よし、じゃあ行きますか」




 円陣を組んでステージに上がった。





 この歓声、何度聞いても慣れるもんじゃない。ゾワゾワと全身に鳥肌が立つ感じ。

 そのエネルギーは強大で、こんな小さな僕はあっけなく吹き飛ばされてしまいそうだよ。

 だからいつも僕は両足を踏ん張ってしっかりと二本足で立つんだ。

 このエネルギーに吹き飛ばされないように。


 そして、そのエネルギーを跳ね返せるようにね。


「レッドモンスターの曲聞きてーか?」



「キャーーーーーーーーーーーー」