その日、一人でスタジオで練習をしていて、没頭していたらもういい時間。早く帰って寝なきゃ、明日も早い。そう思い部屋を出ると自販機の所に空さんの姿。
……来てたんだ。
「空さん、お疲れ様です」
「あぁ、お疲れ」
「え? 声どうしたんですか?」
「んー、んんっ」
咳払いをしてもその掠れた声は戻らない。
「風邪ですか?」
「いや、違う」
「歌いすぎじゃないですか? 少し喉休めた方がいいですよ、温めるといいですよ」
「あぁ」
何かスカーフとかなかったかな、とカバンを探してる間に空さんはスタジオに戻ってしまった。
「え? あ、ちょっと……あー、あった、これ」
見つけた時にはもうスタジオの中。ドアの前まで近付いてノックしたんだけど音を出していて気付かれない。
そっとドアを開けると空さんは全然出てない声で歌を歌っていた。
「空さん」
ガラス張りのブースの前に立って両手を振ると気付いてヘッドフォンを外して出てきてくれた。
「これ、喉に巻いてください。少しは違いますから」
「いやいいよ」
「あとこれ飲んでください」
水筒の中のはちみつレモン。
「私いつもこれ飲んでるんですよ……はい、飲んでください」
コップに注いで渡すと空さんは仕方ない、といった感じにそれを受け取った。
「一人ですか?」
「あぁ、セカンドシングルのデモ録ってたんだよ」
「そうなんですか、でもその声じゃ……」
「明日みんなに渡すんだよ、歌入ってねーと雰囲気掴めないからどうしても入れなきゃいけないのに……声が出ねー」
「私、歌いましょうか?」
「え?」
「もちろん守秘義務は守ります。お互い発売日まで聞いちゃいけないのは分かってますけど、私は作曲に携わってないですし……」
「いや、そんな流出させるなんて疑ってねーよ」
「空さんの音域高めですし、私少し低めですし出せると思うんです」
「いや、そりゃ君には出せるでしょうよ、音域すげーもん」
「じゃあ、曲、聞かせてください」
「ん、あぁ」
スイッチを押すと部屋中に流れる音楽。
……あーこれがレドモンの音だ。私はやっぱりレドモンのファンだ。
「歌詞、これ」
曲はロックなのに歌詞が身近でこれこのままポップスでもいける。この両極端な音楽が好き。
「これ、実話ですか?」
「は?」
「ふ、ふふ、すみません」
……来てたんだ。
「空さん、お疲れ様です」
「あぁ、お疲れ」
「え? 声どうしたんですか?」
「んー、んんっ」
咳払いをしてもその掠れた声は戻らない。
「風邪ですか?」
「いや、違う」
「歌いすぎじゃないですか? 少し喉休めた方がいいですよ、温めるといいですよ」
「あぁ」
何かスカーフとかなかったかな、とカバンを探してる間に空さんはスタジオに戻ってしまった。
「え? あ、ちょっと……あー、あった、これ」
見つけた時にはもうスタジオの中。ドアの前まで近付いてノックしたんだけど音を出していて気付かれない。
そっとドアを開けると空さんは全然出てない声で歌を歌っていた。
「空さん」
ガラス張りのブースの前に立って両手を振ると気付いてヘッドフォンを外して出てきてくれた。
「これ、喉に巻いてください。少しは違いますから」
「いやいいよ」
「あとこれ飲んでください」
水筒の中のはちみつレモン。
「私いつもこれ飲んでるんですよ……はい、飲んでください」
コップに注いで渡すと空さんは仕方ない、といった感じにそれを受け取った。
「一人ですか?」
「あぁ、セカンドシングルのデモ録ってたんだよ」
「そうなんですか、でもその声じゃ……」
「明日みんなに渡すんだよ、歌入ってねーと雰囲気掴めないからどうしても入れなきゃいけないのに……声が出ねー」
「私、歌いましょうか?」
「え?」
「もちろん守秘義務は守ります。お互い発売日まで聞いちゃいけないのは分かってますけど、私は作曲に携わってないですし……」
「いや、そんな流出させるなんて疑ってねーよ」
「空さんの音域高めですし、私少し低めですし出せると思うんです」
「いや、そりゃ君には出せるでしょうよ、音域すげーもん」
「じゃあ、曲、聞かせてください」
「ん、あぁ」
スイッチを押すと部屋中に流れる音楽。
……あーこれがレドモンの音だ。私はやっぱりレドモンのファンだ。
「歌詞、これ」
曲はロックなのに歌詞が身近でこれこのままポップスでもいける。この両極端な音楽が好き。
「これ、実話ですか?」
「は?」
「ふ、ふふ、すみません」