「頑張ろうな」

 西山さんにそう言われ、私達は改めて決意表明をした。

「デビュー曲なんだけど、どういう曲がいいのか考えよう、それを元に、陸、頼める?」
「はい、書きますよ、いくらでも書きます」


 私達は今まで通りフォークサウンドを基調にしたポップロックを貫き通した。


 それが私達の“色”だから。



 デビューまでの六ヶ月、着々と準備が進んでいった。

 CDジャケット、グッズ、衣装、全て黒をコンセプトに進んだ。

 多分私達にかけられたプロモーション費用は相当多額なんだと思う。こういう裏事情に詳しくない私だけどこれくらいは分かる。

 何千万……いや、もしかしたら億、いってるのかな……

 それに異例の出荷枚数。出荷枚数とは売れる、売れないに限らずCDを作成して店頭に出す枚数。その中から実際に買ってもらった枚数が売上枚数となりチャートに反映される。

 そう考えたらとんでもないプレッシャーだけど『ましろ一人にじゃない、俺ら六人にだから』そう陸に言ってもらえて少し落ち着いた。

 相手の曲は聞いていない。発売日当日まで聞くことは出来ない。

 どんな音楽でくるのか、不安もあるけど、それより早く聞きたかった。

 彼らの音楽は私達さえも虜にしているんだなって思う。

 レコーディングが終わりプロモーションが進んだ。新人とは思えないほどの沢山の人がこのプロジェクトに携わっていて、いよいよ引き返すことは出来ないと確信した。