「今日はお前に伝えたいことがある」

「……何?」


改まってなんなんだろう?怖いよ。

立ち尽くしていると、どんどん近寄ってくる水無瀬に後退りした。


「俺って、イケメンだと思うか?」

「は?いやいや……そんなの私に聞かれたって」


顔だけはいいって、どうしても認めたくない……!!

だけどどうしてだろうか、やっぱり顔がいいヤツにこの近距離で迫られると、胸がドキドキしてしまう。


「……私は、顔だけはいいと思うよ」


目を逸らしてついに言ってしまった。だって、ずっとこの距離でいられるのはとても困るから。

それに……。


「屋上開いてるよ!!」


屋上でお弁当を食べるという青春でも叶えてきたのか、クラスメイトの一軍女子たちの声がしてくる。


「……ちょっとこっち来い」

「え?」


手を引かれて、一軍たちの死角まで連れていかれる。

手、おっきい。岳のもおっきいけど、やっぱり高校生は違うな。

もうすぐ高校三年生になるもんね。私、結婚して家族作って、幸せな生活してみたかったな。


ふと、そんなことが頭をよぎった。両親はとても仲が良く、私たちにたくさんの愛情を注いでくれた。

だから、そんな家族になりたいだなんて思ってしまった。


そしてまたふと、よぎった——



お母さんたちも、寿命売ってた?


2人は事故死だったけど、詳しいことは聞かされていない。


ヒヤッとした。まさか、自分がそうだからってそうとは限らない。

けれど、もしそうだとしたら?あの莫大な借金も少しは安くなっていたんじゃないの?

っていうかそもそも、経営は苦しいわけじゃなかったのにどうして借金なんかしてたの?