「多分【linK】が本当の私なんだと思う。凛夏の声は誰も聞いてくれないけど、【linK】の声なら届く。だから【linK】を続けたいの。誰にも邪魔されたくない。ねえどうすればいい?」
このままでは勉強を理由にピアノを禁止されてしまうかもしれない。
母はどうしても私をいい大学に入れたいらしい。
きっと出来のいい透流さんと私を比べられたくないのだと思う。
ネットシンガーの【linK】を続けたい。なんのしがらみもなく自由に歌う【linK】こそが本当の私だから。
間違っても、薄暗い家庭環境に悩まされ好きなこともできない凛夏は、許容できない。
なのに柾輝くんは「どっちもお前だよ」としか言ってくれなかった。
今日も【linK】は歌う。自由の歌を。
父から受け継いだ音楽への愛を胸に、兄と育んだ澄み渡る声を響かせて。
だからお願い、誰も邪魔をしないで。