「俺からもうひとつ、渡したいものがあります」

 沢里が改まって姿勢を正すと、二人分のスポットライトが重なった。

 いつになく真面目な表情にこちらまで緊張してしまう。

「リンカ、俺と結婚してください!」

 がばりと頭を下げられて、小さな四角い箱を差し出される。

 マイクを通した大音量のプロポーズに息を飲んだ。

 いつの間にこんなものを用意していたのか。全く気付かなかった。

 震える指で差し出されたそれを沢里の手ごと包む。

「こちらこそよろしくお願いします」

 大喝采の中、沢里に抱きしめられる。

 明日のトップニュースになってしまうかもしれない。

 もしかしたら速報で家族の耳にも入る可能性もある。

 でもそんなことはどうでもいい。

 今はこの幸せに浸っていたい。

 あなたと一緒ならどんな未来でも生きていける。