ライブの後半に圧巻のステージを魅せた【モルフォ】がMVPをとった。

 そう、柾輝くんたちの激しいサウンドと会場の盛り上がりは今日一番だったのだ。

 私は自分のことのように嬉しくなってしまって、ステージに上がる柾輝くんに絶え間ない拍手を送る。

「はー! すごいなMasakiさんたち……悔しいけどかっけーわ」

「うんうん、かっこいいね!」

 拍手をし過ぎて手が痛くなった頃に沢里がしみじみと言った。私も激しく同意する。

 沢里はそんな私の肩にちょんちょんと触れ、こっそりと囁いた。

「なー……リンカって、Masakiさんのことどう思ってるんだ」

 なぜか遠慮がちに尋ねてくるが、そんなの答えは決まっている。

「柾輝くんはずっとずっと、私の自慢のお兄ちゃんだよ」

「え?」

「え? なに? そう言うこと聞いたんじゃないの?」

「お、お兄ちゃん!?!?!?」

 私の答えに沢里は突然驚いた声を出し飛び上がった。

 舞台裏だというのに大きな声を出すから他の出演者の注目を浴びてしまって、私は焦って沢里の口を両手で塞いだ。