今日もまたアラームが鳴る前に目を覚ますと、カーテンの隙間から夜明け色がもれて、部屋を薄く照らしていた。
ベッドから降りてカーテンを開けると雲ひとつない空が広がっている。
七月一週目の土曜日。
心穏やかにライブ本番の朝を迎えた。
スマホのアラームを消し、平日と同じように制服に着替えて部屋を出る。
私たちは高校生ゲストという名目で呼ばれているため、ステージでも制服を着用する。
着慣れているという点では安心感があるし、校章さえ外してしまえば白地に紺のセーラー服というありふれた格好になるので学校の特定もされにくいだろう。
もちろん腰に土井ちゃんからもらったお守りを下げるのを忘れない。
家族はまだ寝ている時間だ。
朝一番のリハーサルの時間を考えて、今のうちに適当にトーストでも食べておこう。
食べた直後に歌うと上手く声が乗らないことがあるのだ。