沢里の隣で歌うことが私のなにより大切なこと。

 明日が終わって一緒に歌う理由がなくなっても、きっと歌が私たちを繋ぐ。

「なにも心配いらないよ。一緒に歌おう」

「――リンカは不思議だな」

「え?」

「俺を歌わせるために、神さまが出会わせてくれたみたいだ」

 それはこちらの台詞だ。きっと私の方が先に沢里のことをそう思っていた。

 沢里の幸せそうな笑顔を見ていると、自分の気持ちが分からなくなる。

 明日が早く来てほしいのに、まだもう少しだけ、このままでいたいと思うなんて。

「ライブが終わったら俺たちどうしてるんだろう」

「さあ、どうせ歌ってるよ。だって私たちだもん」