「~~~っ最初からそうしてる!」
焦ったような怒っているような珍しい声で沢里は言った。私はそれもそうだと納得する。
沢里は最初からずっと【linK】の熱狂的なファンであり、私の絶対的な味方なのだ。
「うん……そうだね」
「今日だっていろいろ話があったのに。まあ土井には敵わないよな。パンケーキうまかったか?」
「全然。ずっと沢里のこと考えてたから。味なんて覚えてないや」
そう言うと沢里は黙ってしまった。
続く沈黙に充電が切れてしまったかと思いスマホ画面を確認するがまだ余裕がある。
もしもしと呼びかけると盛大なため息が聞こえてきた。
そのまま「話ってなんだったの」と問うと、沢里は思い出したように話し始める。
「そうだ、うちの親父に息もれのこと聞いてみたんだよ。そしたら一度家に連れて来いって。だから週末あいてる?」
「え?」
ひとつ事が済むとまたひとつ選択肢が現れる。まるで私たち二人、生き急いでいるようではないか。
沢里は私を救うが、同時に翻弄することも得意なようで少し困る。