『日曜日、駅で13時に待ち合わせ』
私は待ち合わせには30分前に着くタイプだ。流石に人気のカフェにおしゃれしないのはどうなんだ?と悩んで決めた服は割とデート向きなワンピースで、気合いが入ってるとは思われたくないからそわそわする。学校に行く時はしないメイクも巻いた髪も落ち着かない。待ち合わせ場所を確認した後、駅付近を歩き回ることに決めた。うろうろしていると斜め後ろから少し距離をおいて人が着いてきているのを感じた。
「おねえさん、かわいいね。どこ行くの?俺ここらへん詳しいし案内するよ?」
ナンパだ。自分が話しかけられたからぴくりと反応してしまったが歩き続ける。並走してくるナンパ男を無視して早足で歩いた。ナンパ男が諦めて離れたすぐ後に、クスクスと笑う声が聞こえた。声のする方を呆れながら睨む。
「高梨先輩、強すぎ。」
「そういう鹿谷は趣味悪すぎ。」
「いや、助けようとは思ったんですけど、それよりも先輩が振り切る方が早いかなって。あんなガン無視で足はっやいし…くくっ。」
まだ笑っている。なんて趣味の悪い男なんだ。噂の転校生ちゃんは見る目がないな。改めて鹿谷を見る。普段の容姿に年相応な服装、モテモテとはいかないがバレンタインに2〜3個は本命もらいますよって感じだ。元々不親切なわけでもないし、優しくされたらコロッといっちゃう子だっているだろう。
「まぁ、いいや…早かったね。まだ待ち合わせ時間じゃないよ?」
「高梨先輩なら早く来るかなって。予想より早くて結局ちょっと待たせちゃいましたけど。」
「ふぅん。じゃ、もうお店向かおうよ。ゆっくり歩いたらちょうどいいんじゃない?」
「そうですね、行きますか。」
少し早めにカフェに着いたが、すぐ席に案内してもらうことができた。
「限定ケーキのブルーベリーとシャインマスカット!」
「高梨先輩、飲み物はどうします?」
「わたし、カフェラテ、すき!」
限定ケーキを目の前にした私は知能が下がっていた。ケーキを目の前にした人間なんてそんなものだ。キラキラとして見るだけですでに美味しいケーキが運ばれてきた。
「はい、先輩。」
鹿谷が私の目の前に2個ともケーキを置く。そこで約束を思い出した。
「写真、撮るの?」
「あ、今いいですか?顔は写さなくてもいいですよ、服と手元だけ写して、いかにもな匂わせにします。誰と行ったとは言うつもりないので。」
「嫌なやつかよ。」
鹿谷がそういうならいいか、と勝手に写真を撮らせておく。ブルーベリーもシャインマスカットも甘くてみずみずしいし、クリームの程よい甘さがここ数日で疲弊した私の頭と体に染み渡る。
「ん。」
鹿谷にケーキを差し出すと不思議そうにケーキと私を見比べる。
「全部先輩が食べていいんですよ?」
「流石に私だけ食べるのはね。鹿谷、甘いの結構好きじゃん。共有したい美味しさなんだよ。」
鹿谷が自分のフォークを持ってケーキを食べる。
「うわ、うっま…」
「だよね…これは整理券必須…」
結局、ケーキは2人で2種類を半分こずつ食べたのだった。
「美術館行きません?」
カフェを出ようとすると鹿谷が提案してきた。
「なに?写真足りない?」
転校生は何枚写真を要求してくる予定なんだと呆れた風に返事したら、鹿谷がカフェの壁に貼ってあるポスターを指差した。
「先輩、外国の絵本好きでしたよね?絵本展ですって。」
ポスターを見る。絵本展は好きだ。しかも私の好きな絵本作家の絵本展。
「行く。」
もうここまで来たらどこに行こうが一緒だ。今日一日楽しんだっていいじゃないか。
私は待ち合わせには30分前に着くタイプだ。流石に人気のカフェにおしゃれしないのはどうなんだ?と悩んで決めた服は割とデート向きなワンピースで、気合いが入ってるとは思われたくないからそわそわする。学校に行く時はしないメイクも巻いた髪も落ち着かない。待ち合わせ場所を確認した後、駅付近を歩き回ることに決めた。うろうろしていると斜め後ろから少し距離をおいて人が着いてきているのを感じた。
「おねえさん、かわいいね。どこ行くの?俺ここらへん詳しいし案内するよ?」
ナンパだ。自分が話しかけられたからぴくりと反応してしまったが歩き続ける。並走してくるナンパ男を無視して早足で歩いた。ナンパ男が諦めて離れたすぐ後に、クスクスと笑う声が聞こえた。声のする方を呆れながら睨む。
「高梨先輩、強すぎ。」
「そういう鹿谷は趣味悪すぎ。」
「いや、助けようとは思ったんですけど、それよりも先輩が振り切る方が早いかなって。あんなガン無視で足はっやいし…くくっ。」
まだ笑っている。なんて趣味の悪い男なんだ。噂の転校生ちゃんは見る目がないな。改めて鹿谷を見る。普段の容姿に年相応な服装、モテモテとはいかないがバレンタインに2〜3個は本命もらいますよって感じだ。元々不親切なわけでもないし、優しくされたらコロッといっちゃう子だっているだろう。
「まぁ、いいや…早かったね。まだ待ち合わせ時間じゃないよ?」
「高梨先輩なら早く来るかなって。予想より早くて結局ちょっと待たせちゃいましたけど。」
「ふぅん。じゃ、もうお店向かおうよ。ゆっくり歩いたらちょうどいいんじゃない?」
「そうですね、行きますか。」
少し早めにカフェに着いたが、すぐ席に案内してもらうことができた。
「限定ケーキのブルーベリーとシャインマスカット!」
「高梨先輩、飲み物はどうします?」
「わたし、カフェラテ、すき!」
限定ケーキを目の前にした私は知能が下がっていた。ケーキを目の前にした人間なんてそんなものだ。キラキラとして見るだけですでに美味しいケーキが運ばれてきた。
「はい、先輩。」
鹿谷が私の目の前に2個ともケーキを置く。そこで約束を思い出した。
「写真、撮るの?」
「あ、今いいですか?顔は写さなくてもいいですよ、服と手元だけ写して、いかにもな匂わせにします。誰と行ったとは言うつもりないので。」
「嫌なやつかよ。」
鹿谷がそういうならいいか、と勝手に写真を撮らせておく。ブルーベリーもシャインマスカットも甘くてみずみずしいし、クリームの程よい甘さがここ数日で疲弊した私の頭と体に染み渡る。
「ん。」
鹿谷にケーキを差し出すと不思議そうにケーキと私を見比べる。
「全部先輩が食べていいんですよ?」
「流石に私だけ食べるのはね。鹿谷、甘いの結構好きじゃん。共有したい美味しさなんだよ。」
鹿谷が自分のフォークを持ってケーキを食べる。
「うわ、うっま…」
「だよね…これは整理券必須…」
結局、ケーキは2人で2種類を半分こずつ食べたのだった。
「美術館行きません?」
カフェを出ようとすると鹿谷が提案してきた。
「なに?写真足りない?」
転校生は何枚写真を要求してくる予定なんだと呆れた風に返事したら、鹿谷がカフェの壁に貼ってあるポスターを指差した。
「先輩、外国の絵本好きでしたよね?絵本展ですって。」
ポスターを見る。絵本展は好きだ。しかも私の好きな絵本作家の絵本展。
「行く。」
もうここまで来たらどこに行こうが一緒だ。今日一日楽しんだっていいじゃないか。