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「さあ、雫、話してもらうぞ」
その日の夜、リビングでくつろいでいたら、お父さんが早めに会社から帰宅してきた。
そうだった。
帰ってきたら、秋斗くんと春陽くんのことを説明するという約束だった。
お父さんの剣幕に、私はどう話したらいいのか悩む。
それでも向き合う覚悟を決めて立ち上がった。
「うん。お父さん、お母さん、落ち着いて聞いてね。実は『共依存病』という難病の影響で、好きな人と同じ人が、もう一人存在してるの」
私は静かな声音で言った。
「『共依存病』……。聞いたことがあるわ」
夕食の片付けが終わったお母さんも、お父さんの隣に腰掛けて、私の話に耳を傾ける。
「あのね。私、三宅秋斗くんと三宅春陽くんに恋してるの」
そう前置きして、私は訥々と語る。
秋斗くんと春陽くんのこと。
『共依存病』のこと。
そして、そんな二人に想いを寄せていること。
私は今まで胸の奥に秘めていたことを全て話した。
「そんなことが……」
お父さんはおろおろと信じられないといった顔をしていた。
お母さんも目を瞬かせる。予想だにしなかった言葉を耳にしたようだった。
「信じられない話かもしれないけど、全て本当のことなの。それに私、秋斗くんと春陽くんのことを思うと……」
私は微笑んで、全ての感情をその一言に込める。
「好きすぎて、胸が苦しい」
言葉にすれば、胸の内に生じた衝撃が高鳴る鼓動とともに、次第に温かなものに変わっていく。
秋斗くんと春陽くんの存在がどれほど、私の心の支えになっていたのか。
その答えに気づいてしまったら、もう、後戻りできないと分かっていたから。
「私はこれからも秋斗くんと春陽くんと一緒にいたい。ずっと、二人の隣で一緒に前を向いて歩いていきたい」
はるくんが亡くなってからしばらくの間、私は何度も不安と恐怖で心が押しつぶされそうになった。
それを乗り越えられたのは全て、秋斗くんと春陽くんに出逢えたおかげだ。
「好きなの。どうしようもないくらい、秋斗くんと春陽くんのことが大好き!」
秋斗くんと春陽くんは、私にとって、もはや切り離すこともできないほど特別だ。
だから、その想いを、お父さんとお母さんに伝えたい。ただ、その一心だった。
「……正直、信じられない話だが、雫が嘘をついているとも思えない」
「そうね。それに何より、ここ最近の雫はあんなにも嬉しそうだった。毎日が楽しそうだった」
私の表情を見て、お父さんとお母さんはどこか安堵したように微笑んでいた。