「なんだ?」
「……旦那様。明日の披露宴ですが……。私、出席して舞を舞います。旦那様のために、踊ります」
……これが初めてだった。
人へ自分の気持ちを伝えること。自分の、“大好きな人”へ贈る言葉が初めて。
「…………」
「ですが、そのまえにお伝えしなければいけないことがあります。それは……私が無能ということです。私には治癒の能力がありません。病気を治すことができません」
大きく息を吸って吐き出した言葉。
このことをいつ伝えようかとずっと悩んでいた。旦那様に伝えて受け入れてもらえるかどうか不安だった。
じっと私を見つめる旦那様は何を考えているのか分からない。
でも……後悔のないように想いを伝えたい。
「それでも。私は……旦那様のことが愛おしいと思いました。離婚の申し出を取り消します。これからも、どうか私と、人生を歩んでいただけませんか?」



