冷酷な旦那様が恋に落ちたのは、離婚を申し出た花嫁でした。


私の20歳の誕生日を前に披露宴を行い私の能力を見ようというお義父さまの考えなんだとか。



「……つまり、旦那様はどこも悪くない……ということでしょうか」


「……ああ。体はピンピンしている。これは父上が招いた勘違いの婚約。お前に迷惑かけて申し訳ないが……。どうか披露宴までもう少し、時間をくれないだろうか?」



旦那様の話を聞いて呆気に取られる私。


まさか旦那様には病気がないなんて。それを聞いてほっとした自分と、披露宴でどうなるのかという不安が入り交じる。



「ど、どこも悪くないのなら、披露宴は中止にすべきでは?そもそも、私……披露宴のこと何も聞いてないのですが……」



ここに来て披露宴のことなんて何も知らない。まさかみんなの前で舞をまうのか?


それは無理がある。


だって……私は旦那様みたいに能力はない、無能だから。



「それは出来ないな。帝都の皇帝様も同席することになっている。今更中止にすることは……出来ない」