冷酷な旦那様が恋に落ちたのは、離婚を申し出た花嫁でした。


旦那様は私のことをじっと見つめてくるので顔を上げられない。


ど、どうしてこんなことに……。



「……雅」


「は、はい!」


「昨日のこと、なんとも思ってないのか?」


「昨日……?」



不意に名前を呼ばれ、思い切り顔を上げた。そして、わけのわからないことを聞いてくる。


昨日……。なにかあったっけ?


不思議な夢は見た気がするけどそれ以外は。



「……まさか、信じていないのか?」


「へ?」


「私が、オオカミ男だと言うことを」



……あ、あれは夢じゃなかったの!?


旦那様からの言葉に動きを止める私。てっきり昨日の出来事は夢だと思い込んでいた。


なので旦那様から“オオカミ男”という言葉が出てきてはっと息を呑む。



「ふ、ははっ。雅らしいな。そんなお前が愛おしいぞ」


「だ、旦那様!?」



固まった私を見て状況を理解したのか旦那様は笑ったあと突然変なことを言い出した。