ホームズとポアロ 〜アンソレイエ学園事件簿〜

記念塔の屋上に、朝日が差し込みはじめていた。
柔らかな光が塔の天井を照らし、刻まれた ”M”の文字が金色に輝いて見えた。

アルテミス、セレネ、ティリット、リベルタの四人は、静かに時計と書類の入った箱を見下ろしていた。

「本当の意味で、この時計の針が動き出したのかもね」

セレネが小さく笑った。

「ここに記されてるのは、真実。だけどそれは、過去の断罪じゃない。未来への問いだわ」

アルテミスの言葉に、誰も反論しなかった。

その日、四人は理事長代理へ正式に記録と時計を提出した。
だが、その直後に起きたのは思わぬ事態だった。

アレクシアが教職を辞したのだ。
理由は語られなかったが、誰よりも静かに、そして堂々と去っていった。

「きっと、彼女は一つの時代を見届けたんだ」

リベルタはそう言った。

後日、学園広報の片隅に、小さな記事が載った。

【創立期資料の一部、修復および保管へ】

長く非公開だった懐中時計と創設記録が、新たな展示に加わる予定。

その文面には、不正の詳細も名指しも書かれていなかった。
だが、真実は、静かに正しい場所に戻されたのだった。