「はぁ…はぁ…」


夜10時。


商店街を通って、人通りの少ないところに、重い足を運ぶ。


雪が雨のように激しく降り、俺の手は凍え始めていた。


寒い冬。


辺りを見渡せば、温かそうな灯りを灯した家が数々俺の目に映った。


「メリークリスマス!」


「お母さん、ケーキ切って!」


「わぁあ!プレゼントだ!ありがとう、ママ!パパ!」


ぼんやりと見つめる目には、体とともに温度差を感じた。


…いいなぁ。


クリスマスを祝えて、プレゼントを貰えて、親に大事な子とされて。


「…っ」


吹雪がかかって、寒さが増した。


寒い…。


両手で両腕を抱きしめるように、俺は身を抱えた。


「寒いなぁ…」


俺には、帰る家がない。


両親は俺を見放していて、毎日のように俺に暴言を吐く。


『お前なんて役立たず…!!』


『あんたなんて産まなきゃよかったわ』


じわっと涙が溢れようとする。


だめだ、ここで泣いたら。


俺が、悪いんだ。


俺が、“出来ない子”だから。


俺には昔、5歳年上の姉がいた。