『一緒に花火してくれてありがとう。
すごく楽しかった。
一人になった夜、病室で手紙を書いてます。

手も指もブルブル震えて、上手くいかない。
何度も書き直したんだけど、許してね。

実はあの日、お医者さんから”もう数日しか持たない”って言われていたんだ。
黙っててごめん。

何度も言おうと思ったけど、ピアスとかくれるじゃない。
もうこっちは、死んじゃうって分かってるのに。

いつも私の事を大切にしてくれて、笑わせてくれてありがとう。
照れくさくてなかなか言葉に出来なかったけど、感謝してたよ。

心臓は半分こできなかったけど、ピアスは半分こしよう?ここに、同封しておきます。
さて、もう一個はどこにあるでしょうか?



じゃじゃーん。
答えは私のお腹の中です。

火葬する時にね、金属は棺に入れられないんだって。
だからね…飲んじゃった。だって一緒に居てくれるって言ったでしょ?
最後までワガママな私を許して欲しいな。

さぁ、もう独り身になったね。
私のことを忘れて、新しい彼女を作って、人一倍幸せになるんだよ。

まだまだ20代は始まったばかり。
楽しいこと沢山して、結婚して、子供作って。
良いパパになれるはず!だから自信持って。

だって私のことを、あんなに愛してくれたんだもん。
言葉じゃなくても全部伝わってた。幸せだったよ。すごく。

私が出来無かった事を、代わりに叶えてね。
でも誕生日の日だけは、思い出して欲しいな。それだけで良いの。

死ぬのは怖いよ。寂しいよ。
でも、病気から解放されるのは嬉しい…かもね。

それに、半分このピアスがあるから、頑張れる!
これは私がこのままお空に持っていきます。

ありがとう。だいすき。それじゃ、またね。
行ってきます』