ーー『ねぇ、好きな人っている?』
『…いるよ』
『そっか…。ハンカチに刺繍された花、覚えてる?』
『確か、クサギ、だっけ』
『そう。クサギの花言葉は治療。でももう一つあるの』
『もう一つ?』
『うん。それはね…』
ーー生前、静蘭はそれ以上は教えてくれなかった。
自分がいなくなった後に調べてと言って。
調べて出てきたのは『治療』そして『運命』だった。
好きな人がいるかどうかの質問の後にこの話をしたという事は、
静蘭は俺の気持ちに気づいていて、それに答えたと思っていいのだろうか。
自惚れてしまっても、いいのだろうか…。
俺たちの出会いや再会は〝運命〟だったんだって……