イマリカラツトはルーロニアの北側と国境を共にする小国の1つである。
ルート的には通らなくても良い国ではあるのだが、とある名物があるためにリュードたちは立ち寄ることにした。
名物に1番乗り気なのはリュードだった。
イマリカラツトに寄ることもリュードの希望であって、エミナたちはそれに従っている形である。
決してわがままではなくちゃんと話し合って決めている。
「なんで!」
名物を楽しみにイマリカラツトの大都市ストグまで来ていたのだが肝心の名物がどこにもない。
一年中あるはずのものなのに、どこに行っても誰に聞いても無いと言われてしまった。
まずは名物を、と思っていたのに完全に当てが外れて先に宿を取ることになった。
「落ち込まないで、リューちゃん」
「元気出してくださいよ、こういうこともありますって」
宿の人にも訊ねてみたのだが困ったような顔をされて他と同じ返事が返ってきた。
どこかに感情をぶつけることもできなくて思わず部屋で叫んでしまう。
まさか魔人族には売らないだとか町を上げての決まりでもあるのだろうかと疑いたくなる。
町の人も困っていると言っていたからリュードが原因ではないのだけれど、疑心暗鬼にもなりたくなるほどに無いと言われ続けた。
「情報収集だな」
ルフォンとエミナの言う通り部屋でウジウジしていても原因は分からないし状況は改善しない。
ただ無いですとだけ言われても引っ込みもつかないので理由ぐらい知りたい。
リュードたちは冒険者ギルドに向かった。
基本的に人の集まる場所に情報というものも集まるものだ。
冒険者ギルドは様々な人が集まり情報を交換する場でもあるので名物がない理由ぐらい分かるだろうと思った。
そもそも名物がないなんて話をみんながしない方がおかしい。
確実に情報はあると見ている。
人に道を聞いて冒険者ギルドまでやってきた。
「なんだか人が多いな」
「ホントだね」
イマリカラツト自体は小国なのだがストグはイマリカラツトの首都を除けば中心的な大都市である。
名物も含めた豊かな農業を軸に交易が盛んで近くの大きな国の都市と比べても遜色がない。
交易の中心地でもあるので冒険者ギルドも首都ではなくこちらのストグに統括的な立場の冒険者ギルドを置いている。
そのためにストグの冒険者ギルドは大きいものであった。
それにも関わらず冒険者ギルドには人が集まっていて少し息苦しさを感じるほどであった。
人の多さにルフォンはちょっと嫌な顔をしている。
「おい、何かあったのか?」
手近にいた人を捕まえて事の次第を聞く。
「あ? あーなんでもボーノボアの進化種が現れてボーノボアを統率し始めたらしいんだ。おかげでギルドから大規模討伐の依頼が出てんだよ。ったく、こうならないように管理してたってのに何してんだか……」
「へぇ、ありがとう」
「おう、まだ依頼は人募集してるから興味あるなら聞いてみなよ」
無い名物。活気のない町。人が集まったギルド。
そして今聞いた進化種の話。
話が見えたとリュードは思った。
確実にその進化種がこの町の状態の原因であって、町の人は観光客が不安がらないように口を閉ざしていたのだと全てを悟った。
「まさかですけど参加するつもりじゃないですよね?」
「……エミナ、俺たちは何者だ?」
「何者って何ですか?」
「俺たちは冒険者だ」
「そうですね」
「冒険者ってなんだ?」
「なんだって何ですか……」
「困っている人がいたら助け、魔物がいたら討伐する、それが冒険者じゃないか? 今目の前に困っている人がいて、魔物が原因なんだ。俺たちがやらずして誰がやると言うんだ」
間違ってはないが冒険者はそんな崇高な職業じゃない。
エミナが呆れ顔をしているがやると決めたリュードを止めることはできない。
どっちにしろリュードがやるならルフォンもやるし2人がやるならエミナも1人でやらないわけにはいかない。
結局やるしかないのである。
「まあ、それにそろそろ体動かしておかないと鈍っちゃうからな」
「そうだね!」
「私は戦わなくていいならその方が……」
旅の道中しっかり警戒もしているおかげか魔物には遭遇しなかった。
元より道を歩く分にはそんなに魔物も襲いかかってくることもない。
視界が開けた道の上では魔物は優位性がないし人は魔物にとっても厄介な相手なのでわざわざ突っかかってくることもない。
道を外れてナワバリに入っていけばその限りでないが道をナワバリにすることもほとんどない。
もちろん何もしていないのではなく素振りやトレーニングをして体は動かしている。
けれどもうちょっと相手を立てて動き回りたい感じがそろそろ出てきていた。
ルフォンもリュードに賛成で、反対意見はエミナだけ。
一応多数決的にも参加の賛成多数となった。
一見すると多数決ならエミナが不利と思われがちだが、お店を決めたりすることなんかでは普通に女の子同盟があるのでなんでもリュードの意見が通るわけでもない。
エミナの意見が通ることも少ないわけじゃないのだ。
ルート的には通らなくても良い国ではあるのだが、とある名物があるためにリュードたちは立ち寄ることにした。
名物に1番乗り気なのはリュードだった。
イマリカラツトに寄ることもリュードの希望であって、エミナたちはそれに従っている形である。
決してわがままではなくちゃんと話し合って決めている。
「なんで!」
名物を楽しみにイマリカラツトの大都市ストグまで来ていたのだが肝心の名物がどこにもない。
一年中あるはずのものなのに、どこに行っても誰に聞いても無いと言われてしまった。
まずは名物を、と思っていたのに完全に当てが外れて先に宿を取ることになった。
「落ち込まないで、リューちゃん」
「元気出してくださいよ、こういうこともありますって」
宿の人にも訊ねてみたのだが困ったような顔をされて他と同じ返事が返ってきた。
どこかに感情をぶつけることもできなくて思わず部屋で叫んでしまう。
まさか魔人族には売らないだとか町を上げての決まりでもあるのだろうかと疑いたくなる。
町の人も困っていると言っていたからリュードが原因ではないのだけれど、疑心暗鬼にもなりたくなるほどに無いと言われ続けた。
「情報収集だな」
ルフォンとエミナの言う通り部屋でウジウジしていても原因は分からないし状況は改善しない。
ただ無いですとだけ言われても引っ込みもつかないので理由ぐらい知りたい。
リュードたちは冒険者ギルドに向かった。
基本的に人の集まる場所に情報というものも集まるものだ。
冒険者ギルドは様々な人が集まり情報を交換する場でもあるので名物がない理由ぐらい分かるだろうと思った。
そもそも名物がないなんて話をみんながしない方がおかしい。
確実に情報はあると見ている。
人に道を聞いて冒険者ギルドまでやってきた。
「なんだか人が多いな」
「ホントだね」
イマリカラツト自体は小国なのだがストグはイマリカラツトの首都を除けば中心的な大都市である。
名物も含めた豊かな農業を軸に交易が盛んで近くの大きな国の都市と比べても遜色がない。
交易の中心地でもあるので冒険者ギルドも首都ではなくこちらのストグに統括的な立場の冒険者ギルドを置いている。
そのためにストグの冒険者ギルドは大きいものであった。
それにも関わらず冒険者ギルドには人が集まっていて少し息苦しさを感じるほどであった。
人の多さにルフォンはちょっと嫌な顔をしている。
「おい、何かあったのか?」
手近にいた人を捕まえて事の次第を聞く。
「あ? あーなんでもボーノボアの進化種が現れてボーノボアを統率し始めたらしいんだ。おかげでギルドから大規模討伐の依頼が出てんだよ。ったく、こうならないように管理してたってのに何してんだか……」
「へぇ、ありがとう」
「おう、まだ依頼は人募集してるから興味あるなら聞いてみなよ」
無い名物。活気のない町。人が集まったギルド。
そして今聞いた進化種の話。
話が見えたとリュードは思った。
確実にその進化種がこの町の状態の原因であって、町の人は観光客が不安がらないように口を閉ざしていたのだと全てを悟った。
「まさかですけど参加するつもりじゃないですよね?」
「……エミナ、俺たちは何者だ?」
「何者って何ですか?」
「俺たちは冒険者だ」
「そうですね」
「冒険者ってなんだ?」
「なんだって何ですか……」
「困っている人がいたら助け、魔物がいたら討伐する、それが冒険者じゃないか? 今目の前に困っている人がいて、魔物が原因なんだ。俺たちがやらずして誰がやると言うんだ」
間違ってはないが冒険者はそんな崇高な職業じゃない。
エミナが呆れ顔をしているがやると決めたリュードを止めることはできない。
どっちにしろリュードがやるならルフォンもやるし2人がやるならエミナも1人でやらないわけにはいかない。
結局やるしかないのである。
「まあ、それにそろそろ体動かしておかないと鈍っちゃうからな」
「そうだね!」
「私は戦わなくていいならその方が……」
旅の道中しっかり警戒もしているおかげか魔物には遭遇しなかった。
元より道を歩く分にはそんなに魔物も襲いかかってくることもない。
視界が開けた道の上では魔物は優位性がないし人は魔物にとっても厄介な相手なのでわざわざ突っかかってくることもない。
道を外れてナワバリに入っていけばその限りでないが道をナワバリにすることもほとんどない。
もちろん何もしていないのではなく素振りやトレーニングをして体は動かしている。
けれどもうちょっと相手を立てて動き回りたい感じがそろそろ出てきていた。
ルフォンもリュードに賛成で、反対意見はエミナだけ。
一応多数決的にも参加の賛成多数となった。
一見すると多数決ならエミナが不利と思われがちだが、お店を決めたりすることなんかでは普通に女の子同盟があるのでなんでもリュードの意見が通るわけでもない。
エミナの意見が通ることも少ないわけじゃないのだ。