大きく手を振るロセアの姿が見えなくなるところまで歩いてきた。
「2人きりなっちゃったね」
少し嬉しそうに呟いてリュードの隣を歩くルフォンがちょっとだけリュードと距離を詰める。
「そうだな」
ロセアと別れていきなり2人になった寂しさはあるもののそんなに気にはならない。
本来は一人旅予定だったのに今は隣にルフォンがいる。
1人で歩いていたことを想像すればもう1人いてくれる、しかもそれがルフォンというなら寂しさもほとんどないのと同じである。
「まずは……ツミノブ、だっけ?」
「そ、面倒だけど約束だからな」
リュードの父ヴェルデガーはリュードが旅に出るに当たり約束、というか条件を出した。
旅に出る条件というか、旅に出るならこれぐらいしてくれという条件である。
旅に出るにあたってのお金は親や村長から餞別でもらったものやリュードが日頃から貯め込んできたお金があった。
もらったお金もリュードが貯めてきたお金も結構な金額であり、金銭面での心配は少ないがお金は無限にあるものじゃない。
お金なんて何もしなければただ出ていくだけでそのうち無くなってしまう。
自分で稼ぐ必要も出てくるのでそのための方法として、どこでも仕事ができる冒険者になろうと思っていた。
冒険者になるには特別な資格や能力は必要ない。
誰でもなれる職業とも言える。
しかし誰でもなれるからと言って楽な仕事ではない。
中には雑用のような仕事もあるがメインの仕事は戦うことである。
主に相手は魔物で怪我をするリスクや死ぬ可能性も十分あるような仕事でもあるのだ。
旅をしながら稼ぐのには多くの選択肢はない。
ヴェルデガーももちろんリュードがそうしてお金を稼ごうとしていることは分かっていた。
魔物や色々な知識を知っているのと知らないのでは大きく生存率が変わる職業でもある。
なので質や量を上げたい冒険者ギルドで冒険者を育成するための学校を設けているところがあるのである。
ツミノブはそうした冒険者学校があり、ヴェルデガーはその冒険者学校を卒業して冒険者になることを条件に出した。
こうして旅に出ている今はリュードがちゃんと約束の履行をしたかは確認のしようもないけれどちゃんと約束は守る。
知識を得ることは悪いことではないし冒険者学校を卒業するとそのまま冒険者の身分を得られる。
さらに成績優秀で卒業できれば冒険者の等級が1番下でなく1つ上でのスタートになるのでどうせなら優等生を狙うつもりだった。
成績優秀なら早期卒業も出来るのでそういったところも頑張る理由になる。
ヴェルデガーから推薦状も受け取っているし冒険者学校の知り合いに手紙も出しているとのことで、後は事前にもらった入学金を握りしめてツミノブに向かうだけである。
幸いツミノブはさほど遠いところではない。
行商もリュードたちの行き先を意識してルートを組んでくれていたのである。
ひとまず目的地も定まり、ただ目的地に向かうのだが2人での旅は楽ではない。
意外と夜が大変であった。
夜の何が大変かというと火の番を2人で交代でやらなきゃいけないことである。
夜に寝る魔物も多いが、夜になると夜に活動したりよるに凶暴になる魔物も存在している。
魔物も知恵があるので大人数の相手よりも勝てそうな少人数の相手を狙う。
しかも真っ昼間だけではなく闇夜に紛れて襲撃してくることもあるので気を抜くことができない。
そのために火を絶やさないようにして見張りをしなければならない。
もっと人数がいれば起きている順番をずらして回すのだが2人で交代で番をしなければいけない。
これは中々大変である。
夜中なのですることもなく警戒のために気を張りながら焚き火を見つめるだけなのは意外に精神的にも体力的にも消耗もする。
「旅って大変だね……」
少しゲンナリした様子のルフォンがつぶやいた。
大人数の時には感じなかった大変さを噛み締めている。
特にルフォンは女の子で黒重鉄を掘りに行った時や行商のメンバーといた時には少し優遇されてきたところがあったけれど2人だとそうもいかない。
「やっぱりもう1人、2人ぐらいは仲間が欲しいところだな」
ルフォンとの2人旅も良いものであるがこうした事情を考えるともう少し仲間が欲しいとは思った。
ツミノブまでの途中は小さな村があるのみだったが民宿のような宿が一応はあったし、食料などの補給もできたので歩みを止めることなく進んでいた。
ルフォンにとってはお風呂がないことが苦痛らしく時折お風呂入りたいと呟くこともあった。
リュードも正直なところお風呂に入りたいけれど道中の村にそんなものあるわけもない。
ルフォンは大きな町に期待しているようだけどリュードはそんなに甘くないことも分かっている。
出来るだけ野営の必要がないように町や村を通りながら、さっさと歩みを進めてツミノブの町までリュードたちも到着した。
冒険者学校もあるぐらいの都市の大きさにルフォンも興奮している。
身を隠すクロークの下で激しく尻尾が振られていてお尻のところがふわふわしている。
ただこれでもまだツミノブには入ってもいないのである。
ツミノブはしっかりと城壁で囲まれた都市で中に入るための検問がある。
サクサク進んでいるので長蛇とは言えないものの常に人が来て一定の長さの列ができ続けている。
「お、あの子可愛くね?」
「確かに、お前声でもかけてこいよ」
「なんで俺が。それに見てみろよ、横に連れが……獣人が一緒にいるぜ」
「チッ、むかつく顔してんな。あいつ角あるくせに」
「2人きりなっちゃったね」
少し嬉しそうに呟いてリュードの隣を歩くルフォンがちょっとだけリュードと距離を詰める。
「そうだな」
ロセアと別れていきなり2人になった寂しさはあるもののそんなに気にはならない。
本来は一人旅予定だったのに今は隣にルフォンがいる。
1人で歩いていたことを想像すればもう1人いてくれる、しかもそれがルフォンというなら寂しさもほとんどないのと同じである。
「まずは……ツミノブ、だっけ?」
「そ、面倒だけど約束だからな」
リュードの父ヴェルデガーはリュードが旅に出るに当たり約束、というか条件を出した。
旅に出る条件というか、旅に出るならこれぐらいしてくれという条件である。
旅に出るにあたってのお金は親や村長から餞別でもらったものやリュードが日頃から貯め込んできたお金があった。
もらったお金もリュードが貯めてきたお金も結構な金額であり、金銭面での心配は少ないがお金は無限にあるものじゃない。
お金なんて何もしなければただ出ていくだけでそのうち無くなってしまう。
自分で稼ぐ必要も出てくるのでそのための方法として、どこでも仕事ができる冒険者になろうと思っていた。
冒険者になるには特別な資格や能力は必要ない。
誰でもなれる職業とも言える。
しかし誰でもなれるからと言って楽な仕事ではない。
中には雑用のような仕事もあるがメインの仕事は戦うことである。
主に相手は魔物で怪我をするリスクや死ぬ可能性も十分あるような仕事でもあるのだ。
旅をしながら稼ぐのには多くの選択肢はない。
ヴェルデガーももちろんリュードがそうしてお金を稼ごうとしていることは分かっていた。
魔物や色々な知識を知っているのと知らないのでは大きく生存率が変わる職業でもある。
なので質や量を上げたい冒険者ギルドで冒険者を育成するための学校を設けているところがあるのである。
ツミノブはそうした冒険者学校があり、ヴェルデガーはその冒険者学校を卒業して冒険者になることを条件に出した。
こうして旅に出ている今はリュードがちゃんと約束の履行をしたかは確認のしようもないけれどちゃんと約束は守る。
知識を得ることは悪いことではないし冒険者学校を卒業するとそのまま冒険者の身分を得られる。
さらに成績優秀で卒業できれば冒険者の等級が1番下でなく1つ上でのスタートになるのでどうせなら優等生を狙うつもりだった。
成績優秀なら早期卒業も出来るのでそういったところも頑張る理由になる。
ヴェルデガーから推薦状も受け取っているし冒険者学校の知り合いに手紙も出しているとのことで、後は事前にもらった入学金を握りしめてツミノブに向かうだけである。
幸いツミノブはさほど遠いところではない。
行商もリュードたちの行き先を意識してルートを組んでくれていたのである。
ひとまず目的地も定まり、ただ目的地に向かうのだが2人での旅は楽ではない。
意外と夜が大変であった。
夜の何が大変かというと火の番を2人で交代でやらなきゃいけないことである。
夜に寝る魔物も多いが、夜になると夜に活動したりよるに凶暴になる魔物も存在している。
魔物も知恵があるので大人数の相手よりも勝てそうな少人数の相手を狙う。
しかも真っ昼間だけではなく闇夜に紛れて襲撃してくることもあるので気を抜くことができない。
そのために火を絶やさないようにして見張りをしなければならない。
もっと人数がいれば起きている順番をずらして回すのだが2人で交代で番をしなければいけない。
これは中々大変である。
夜中なのですることもなく警戒のために気を張りながら焚き火を見つめるだけなのは意外に精神的にも体力的にも消耗もする。
「旅って大変だね……」
少しゲンナリした様子のルフォンがつぶやいた。
大人数の時には感じなかった大変さを噛み締めている。
特にルフォンは女の子で黒重鉄を掘りに行った時や行商のメンバーといた時には少し優遇されてきたところがあったけれど2人だとそうもいかない。
「やっぱりもう1人、2人ぐらいは仲間が欲しいところだな」
ルフォンとの2人旅も良いものであるがこうした事情を考えるともう少し仲間が欲しいとは思った。
ツミノブまでの途中は小さな村があるのみだったが民宿のような宿が一応はあったし、食料などの補給もできたので歩みを止めることなく進んでいた。
ルフォンにとってはお風呂がないことが苦痛らしく時折お風呂入りたいと呟くこともあった。
リュードも正直なところお風呂に入りたいけれど道中の村にそんなものあるわけもない。
ルフォンは大きな町に期待しているようだけどリュードはそんなに甘くないことも分かっている。
出来るだけ野営の必要がないように町や村を通りながら、さっさと歩みを進めてツミノブの町までリュードたちも到着した。
冒険者学校もあるぐらいの都市の大きさにルフォンも興奮している。
身を隠すクロークの下で激しく尻尾が振られていてお尻のところがふわふわしている。
ただこれでもまだツミノブには入ってもいないのである。
ツミノブはしっかりと城壁で囲まれた都市で中に入るための検問がある。
サクサク進んでいるので長蛇とは言えないものの常に人が来て一定の長さの列ができ続けている。
「お、あの子可愛くね?」
「確かに、お前声でもかけてこいよ」
「なんで俺が。それに見てみろよ、横に連れが……獣人が一緒にいるぜ」
「チッ、むかつく顔してんな。あいつ角あるくせに」