基本的に旅をする上でよく言われるのは、厄介事に首を突っ込んでいく奴は早死にするってことだ。
人様の問題に積極的に首を突っ込んでいって解決することは容易くもなく、物事がなぜか複雑化しやすい。
ただ生来の性分というものがある。
話を聞いてしまったり、まして助けを求められてしまったらそれをすげなく断ることはリュードには出来ない。
特に今はコユキがいる。
危ないことには巻き込めないが、人を助ける姿勢を背中で見せてカッコいいと思われたりもしたい。
手の届く範囲の人助けならやってもいいだろうとは思うとルフォンやラストと話し合った。
これまで通り何か困っている人がいるなら負担になり過ぎないように助けたりしつつ旅を続けるというのが、リュードたちの旅の流儀である。
「すごーい!」
リュードは小さい水の玉と雷の玉、そして闇の玉を指先に生み出した。
出来るだけ綺麗に丸くなるようにコントロールする。
三つの玉を動かして手のひらの上に持ってくると、一つの大きな円を描くように回り出す。
手のひらからまた指へ、指から腕へと玉を動かしていく。
自在に動く三つの玉をコユキはキラキラした目で見つめている。
何もこれはコユキをあやすためにやっているのではない。
魔力コントロールの練習である。
ニャロがやっていた神聖力のコントロールのための練習を見て、似たような性質を持つ魔力でも出来るのではないかと思ってやってみた。
簡単そうに見えて、その実魔法の玉を作って操るのは難しい。
似たような性質を持つが、神聖力と魔力は根本が違う。
神聖力は神聖なエネルギーで人に寄っていく性質がある。
対して魔力は人から離れると、あっという間に空中に拡散して消えてしまう。
同じように玉を作るだけでも神聖力と魔力では真逆の動きをするのである。
神聖力と違って簡単に消えてしまう魔力の玉を維持するのも大変。
維持するだけなら魔力を込め続ければいいのだけど、玉の形を保って同じ大きさを作ることや同じ場所にしっかりとキープのはリュードでも難しかった。
ただ魔力を込めればいいってもんでもなくて、込めすぎると玉が爆発したりもする。
練習を重ねて、玉を生み出して操作できるようになった。
うまくやれれば魔力技術の全体的な向上に繋がる。
「どーやったらそんなふうにできるの?」
ラストもやってみているけれど、全然うまく出来るようにならない。
魔力を注ぎながら魔力が拡散しないようにし、なおかつ綺麗な玉の形を維持するのは、魔法が苦手じゃないラストでもやはり至難の業のようであった。
「練習あるのみだな。こんなふうにもできるようになるからな」
さらに練習を重ねて玉を維持しながら玉を動かせるようにもなった。
両手で同時に別の図形を描くような感じで、脳の力も使うので練習とはいえ結構疲労する。
コユキは神聖力しか使えないので玉は一色だが、リュードは複数属性を使えるのでやろうと思うと複数の色の玉を操ることもできるのだ。
その様子が綺麗で、凄くてコユキはジーっと玉が動く様子を眺めている。
「わーっ!」
さらに難易度を上げて玉を飛ばしてコユキの周りを回らせる。
自分から離れるほど魔力は拡散しようとして、魔力を込めるのは難しく、コントロールも効かなくなる。
リュードの魔法コントロールは見る人が見れば驚愕してしまうものだが、今はただみんな綺麗なパフォーマンスとして見ていた。
「えいっ。冷たい!」
「あっ、こら!」
「へへへっ」
コユキが好奇心に負けて水の玉を指でつっついた。
玉が大きく歪んで集中が途切れてしまう。
パシャリと玉が崩れてコユキの鼻先に水がかかる。
雷や闇だとどうなってたか分からないので、もうやっちゃダメだぞと注意しながらコユキの鼻についた水を拭ってやる。
「ご飯できたよー!」
「はーい!」
ルフォンが料理を持ってテントから出てくる。
コンロは出すと目立ちすぎるし、すぐに隠せないのでテントを立ててその中でこっそりと使っている。
匂いがこもるなどの問題はあったけど、テントの上の方に穴を開けるなどして対策している。
コユキが走っていってルフォンから料理のお皿を受け取り、運ぶのを手伝う。
「はい、パパ」
「ありがとう」
コユキから料理を受け取り、焚き火をみんなで囲んで食べ始める。
「うん! いつ食べてもルフォンの料理は絶品だね!」
食べながらうんうんとうなずくラスト。
最近少し料理を習いつつあるラストであるけれども、料理を習うにつけルフォンの凄さが身に染みる。
「ラストだって料理上達しているじゃないか」
「本当? そう言ってもらえると嬉しいな」
ラストはリュードに褒められて、頬を赤くしてヘラリと笑う。
時々ラストお手製料理も出てくるが、最初の頃のものに比べたら非常に良くなった。
大雑把なこれぐらいかなの調味料を投入するのを止めるだけでも激的に変化した。
「コユキも!」
「分かってるよ。コユキも上達してるもんな」
コユキも料理を手伝っている。
なんでもやりたいお年頃のコユキも、ちょいちょいルフォンに教えてもらいながら料理をしているのだ。
食材を切ったり、炒めるのを手伝ったりぐらいだけどそれで自分が作ったのだと胸を張り、リュードに褒められると嬉しそうに跳ねて喜ぶ。
ラストにしてもコユキにしても手先は器用で舌の感覚も悪くない。
ラストはやや濃いめが好きで、コユキはやや甘めが好きみたいだけど好みの差はあって然るべき。
「……もう寝る時間だってのにな」
食事を楽しみそろそろコユキは寝る時間。
今日はどう交代して夜間の番をするか話していると怒号のような声が聞こえてきた。
人様の問題に積極的に首を突っ込んでいって解決することは容易くもなく、物事がなぜか複雑化しやすい。
ただ生来の性分というものがある。
話を聞いてしまったり、まして助けを求められてしまったらそれをすげなく断ることはリュードには出来ない。
特に今はコユキがいる。
危ないことには巻き込めないが、人を助ける姿勢を背中で見せてカッコいいと思われたりもしたい。
手の届く範囲の人助けならやってもいいだろうとは思うとルフォンやラストと話し合った。
これまで通り何か困っている人がいるなら負担になり過ぎないように助けたりしつつ旅を続けるというのが、リュードたちの旅の流儀である。
「すごーい!」
リュードは小さい水の玉と雷の玉、そして闇の玉を指先に生み出した。
出来るだけ綺麗に丸くなるようにコントロールする。
三つの玉を動かして手のひらの上に持ってくると、一つの大きな円を描くように回り出す。
手のひらからまた指へ、指から腕へと玉を動かしていく。
自在に動く三つの玉をコユキはキラキラした目で見つめている。
何もこれはコユキをあやすためにやっているのではない。
魔力コントロールの練習である。
ニャロがやっていた神聖力のコントロールのための練習を見て、似たような性質を持つ魔力でも出来るのではないかと思ってやってみた。
簡単そうに見えて、その実魔法の玉を作って操るのは難しい。
似たような性質を持つが、神聖力と魔力は根本が違う。
神聖力は神聖なエネルギーで人に寄っていく性質がある。
対して魔力は人から離れると、あっという間に空中に拡散して消えてしまう。
同じように玉を作るだけでも神聖力と魔力では真逆の動きをするのである。
神聖力と違って簡単に消えてしまう魔力の玉を維持するのも大変。
維持するだけなら魔力を込め続ければいいのだけど、玉の形を保って同じ大きさを作ることや同じ場所にしっかりとキープのはリュードでも難しかった。
ただ魔力を込めればいいってもんでもなくて、込めすぎると玉が爆発したりもする。
練習を重ねて、玉を生み出して操作できるようになった。
うまくやれれば魔力技術の全体的な向上に繋がる。
「どーやったらそんなふうにできるの?」
ラストもやってみているけれど、全然うまく出来るようにならない。
魔力を注ぎながら魔力が拡散しないようにし、なおかつ綺麗な玉の形を維持するのは、魔法が苦手じゃないラストでもやはり至難の業のようであった。
「練習あるのみだな。こんなふうにもできるようになるからな」
さらに練習を重ねて玉を維持しながら玉を動かせるようにもなった。
両手で同時に別の図形を描くような感じで、脳の力も使うので練習とはいえ結構疲労する。
コユキは神聖力しか使えないので玉は一色だが、リュードは複数属性を使えるのでやろうと思うと複数の色の玉を操ることもできるのだ。
その様子が綺麗で、凄くてコユキはジーっと玉が動く様子を眺めている。
「わーっ!」
さらに難易度を上げて玉を飛ばしてコユキの周りを回らせる。
自分から離れるほど魔力は拡散しようとして、魔力を込めるのは難しく、コントロールも効かなくなる。
リュードの魔法コントロールは見る人が見れば驚愕してしまうものだが、今はただみんな綺麗なパフォーマンスとして見ていた。
「えいっ。冷たい!」
「あっ、こら!」
「へへへっ」
コユキが好奇心に負けて水の玉を指でつっついた。
玉が大きく歪んで集中が途切れてしまう。
パシャリと玉が崩れてコユキの鼻先に水がかかる。
雷や闇だとどうなってたか分からないので、もうやっちゃダメだぞと注意しながらコユキの鼻についた水を拭ってやる。
「ご飯できたよー!」
「はーい!」
ルフォンが料理を持ってテントから出てくる。
コンロは出すと目立ちすぎるし、すぐに隠せないのでテントを立ててその中でこっそりと使っている。
匂いがこもるなどの問題はあったけど、テントの上の方に穴を開けるなどして対策している。
コユキが走っていってルフォンから料理のお皿を受け取り、運ぶのを手伝う。
「はい、パパ」
「ありがとう」
コユキから料理を受け取り、焚き火をみんなで囲んで食べ始める。
「うん! いつ食べてもルフォンの料理は絶品だね!」
食べながらうんうんとうなずくラスト。
最近少し料理を習いつつあるラストであるけれども、料理を習うにつけルフォンの凄さが身に染みる。
「ラストだって料理上達しているじゃないか」
「本当? そう言ってもらえると嬉しいな」
ラストはリュードに褒められて、頬を赤くしてヘラリと笑う。
時々ラストお手製料理も出てくるが、最初の頃のものに比べたら非常に良くなった。
大雑把なこれぐらいかなの調味料を投入するのを止めるだけでも激的に変化した。
「コユキも!」
「分かってるよ。コユキも上達してるもんな」
コユキも料理を手伝っている。
なんでもやりたいお年頃のコユキも、ちょいちょいルフォンに教えてもらいながら料理をしているのだ。
食材を切ったり、炒めるのを手伝ったりぐらいだけどそれで自分が作ったのだと胸を張り、リュードに褒められると嬉しそうに跳ねて喜ぶ。
ラストにしてもコユキにしても手先は器用で舌の感覚も悪くない。
ラストはやや濃いめが好きで、コユキはやや甘めが好きみたいだけど好みの差はあって然るべき。
「……もう寝る時間だってのにな」
食事を楽しみそろそろコユキは寝る時間。
今日はどう交代して夜間の番をするか話していると怒号のような声が聞こえてきた。


