ニャロと別れて、一度宿に戻る。
今後どういうルードを通るのか確認したり、消耗品もどれだけ補給すべきか計画を立てて行動する必要がある。
リュードとルフォンで地図を広げてどう進むか考えて、ラストとコユキで荷物を整理しながら物の確認をする。
旅にことなど出来なかったラストも、いつの間にかしっかりと旅に関するあれやこれもできるようになっていた。
「ルフォンはよかったのか?」
「何が?」
「……ニャロのことだよ」
リュードは意外とあっさりニャロに許可を出したことが気にかかっていた。
非常に驚いたし、昔のルフォンなら絶対に認めなかっただろう。
嫉妬深いと言えるほどに湿り気がある感じではないが、リュードに関してはガードの固い方だった。
大人になったと思える一方で少し寂しくもある。
「……私ね、思ったの」
少し悩むような素振りを見せてルフォンは話し出した。
「リューちゃんは素敵でカッコよくて強くて好きになっちゃう人で、好きなっちゃうことは誰にも止められない。リューちゃんを好きになる人がみんないい人ならいいんだけど、リューちゃんを好きになるのが正しくていい人ばかりじゃないって気づいたの」
きっかけはリュードの誘拐にあった。
男を攫って、奴隷にして自分のものにしようとする人がいることを知った。
正当に好きになって思いを抱くだけでなく、思いを悪い方法で叶えようとする人、男性相手でも悪意を持って近づてくる人がいると分かったのである。
「リューちゃんが私のことを大切にしてくれて守ろうとしてくれているのは分かっているよ。それは私も同じだよ。でもどんなに相手を思っても守ろうとしても一人じゃ守りきれないこともあるんだって分かったんだ」
リュードの誘拐は単に貴族の大会に出場させることが目的だった。
だから見つけられたし、無事助け出すことができた。
でももっと悪い目的、本気でリュードを自分のものにしようとする人が現れたらと考えると怖くなる。
強いリュードをどうにかして、どうにかする人が現れる可能性がないとも言い切れない。
考えたくもない背筋の凍る考えだが、女性をもののように扱う男性もいるならその逆もいる。
もしかしたら執着すると言うことに関しては女性の方が強いこともありえるかもしれない。
一人でもリュードを守る。
この決意が変わることなどないけれど、全てを一人でやろうなどと思うことは傲慢であるとルフォンは悟った。
面白いことに今のところ、リュードを好きになって寄ってくる人には強くて才能のある人が多い。
今のところ性格も良くてリュードを害する人もいない。
そこでルフォンは考えた。
今後訪れうる脅威からリュードを守る、あるいは自分の身を守るには一人で足りないなら同じ思いを持つ同好の士を集めればいいのではないかと。
ライバルは増えることになるけれど、自分が一番であることは分かっているのでまずはリュードの身の安全が一番である。
「リューちゃんを守るため……私も変わらなきゃいけないんだ。私がいいと思える人なら……ちょっと悩むけど、リュードを一緒に守っていけたらいいなって思ったんだ」
リュードハーレムを築くことができればリュードも守れるし互いが互いを守り合ってリュードの負担も減らせる。
ある種第1夫人としての自覚とも言えるルフォンの成長。
単に守られるだけでなく、夫を守ることも考えるのが良いパートナーとしてのあり方である。
ハーレムというよりはリューファンクラブからなるリュード親衛隊みたいなものである。
「な、なになにリューちゃん!?」
自分のことを考えてくれるルフォンが妙に愛おしく感じられた。
なんか我慢できなくてルフォンの髪からほっぺたからわしゃわしゃと撫で回す。
決して愛情が薄れたとかではない。
愛情がゆえにリュードのことをルフォンなりに考えてくれている。
旅の中で世を知り、色々と考えて、ルフォンも成長している。
今更ながら一緒に旅に出られてよかったと思う。
「私もいるんですけどぉ〜」
「なんだ、今なら気分がいいから特別に撫で回しちゃうぞ」
「もう、しょうがないなぁ!」
ぷくっと頬を膨らませていたリュード親衛隊メンバーのラストは、スーッと寄ってきてリュードに頭を差し出す。
リュードに撫で回されてニッコニコのルフォンは何も言わない。
「ずるい!」
すると今度はコユキが飛んできてリュードの腰に抱きつく。
「よーしよし」
「むふんっ!」
ただれているか、ただれていないか、でいうとただれている。
しかし悪いただれ方ではない。
幸せで清く正しいただれ方である。
今回ニャロは聖者であって教会の仕事もあるのでリュードの親衛隊として同行することはなかったけれども、ルフォンの中ではニャロはしっかり親衛隊の一員である。
ラストも高い実力を誇っているが、もう一人ぐらいは親衛隊となるような人がいてもいいかもしれないとルフォンは考えていた。
コユキも申し分ない能力があるけれどまだまだ子供で守られるべき存在だ。
リュードがいない時の戦闘を考えたらもう一人どっしり前を任せられるような人がいい。
ただあんまり女子が増えるのも困りもので、そこらへんのバランスも難しい。
「リューちゃんもう一回」
「はいよ」
まあ焦ることもない。
旅をする中で気が合う人がいればきっと自然とそうなる。
大事なのはリュード。
思い思われるのも互いが無事であればこそ。
ただ今はリュードが頭を優しく撫でてくれる時を大切にしようとルフォンは尻尾を振りながら撫で回されていたのだった。
今後どういうルードを通るのか確認したり、消耗品もどれだけ補給すべきか計画を立てて行動する必要がある。
リュードとルフォンで地図を広げてどう進むか考えて、ラストとコユキで荷物を整理しながら物の確認をする。
旅にことなど出来なかったラストも、いつの間にかしっかりと旅に関するあれやこれもできるようになっていた。
「ルフォンはよかったのか?」
「何が?」
「……ニャロのことだよ」
リュードは意外とあっさりニャロに許可を出したことが気にかかっていた。
非常に驚いたし、昔のルフォンなら絶対に認めなかっただろう。
嫉妬深いと言えるほどに湿り気がある感じではないが、リュードに関してはガードの固い方だった。
大人になったと思える一方で少し寂しくもある。
「……私ね、思ったの」
少し悩むような素振りを見せてルフォンは話し出した。
「リューちゃんは素敵でカッコよくて強くて好きになっちゃう人で、好きなっちゃうことは誰にも止められない。リューちゃんを好きになる人がみんないい人ならいいんだけど、リューちゃんを好きになるのが正しくていい人ばかりじゃないって気づいたの」
きっかけはリュードの誘拐にあった。
男を攫って、奴隷にして自分のものにしようとする人がいることを知った。
正当に好きになって思いを抱くだけでなく、思いを悪い方法で叶えようとする人、男性相手でも悪意を持って近づてくる人がいると分かったのである。
「リューちゃんが私のことを大切にしてくれて守ろうとしてくれているのは分かっているよ。それは私も同じだよ。でもどんなに相手を思っても守ろうとしても一人じゃ守りきれないこともあるんだって分かったんだ」
リュードの誘拐は単に貴族の大会に出場させることが目的だった。
だから見つけられたし、無事助け出すことができた。
でももっと悪い目的、本気でリュードを自分のものにしようとする人が現れたらと考えると怖くなる。
強いリュードをどうにかして、どうにかする人が現れる可能性がないとも言い切れない。
考えたくもない背筋の凍る考えだが、女性をもののように扱う男性もいるならその逆もいる。
もしかしたら執着すると言うことに関しては女性の方が強いこともありえるかもしれない。
一人でもリュードを守る。
この決意が変わることなどないけれど、全てを一人でやろうなどと思うことは傲慢であるとルフォンは悟った。
面白いことに今のところ、リュードを好きになって寄ってくる人には強くて才能のある人が多い。
今のところ性格も良くてリュードを害する人もいない。
そこでルフォンは考えた。
今後訪れうる脅威からリュードを守る、あるいは自分の身を守るには一人で足りないなら同じ思いを持つ同好の士を集めればいいのではないかと。
ライバルは増えることになるけれど、自分が一番であることは分かっているのでまずはリュードの身の安全が一番である。
「リューちゃんを守るため……私も変わらなきゃいけないんだ。私がいいと思える人なら……ちょっと悩むけど、リュードを一緒に守っていけたらいいなって思ったんだ」
リュードハーレムを築くことができればリュードも守れるし互いが互いを守り合ってリュードの負担も減らせる。
ある種第1夫人としての自覚とも言えるルフォンの成長。
単に守られるだけでなく、夫を守ることも考えるのが良いパートナーとしてのあり方である。
ハーレムというよりはリューファンクラブからなるリュード親衛隊みたいなものである。
「な、なになにリューちゃん!?」
自分のことを考えてくれるルフォンが妙に愛おしく感じられた。
なんか我慢できなくてルフォンの髪からほっぺたからわしゃわしゃと撫で回す。
決して愛情が薄れたとかではない。
愛情がゆえにリュードのことをルフォンなりに考えてくれている。
旅の中で世を知り、色々と考えて、ルフォンも成長している。
今更ながら一緒に旅に出られてよかったと思う。
「私もいるんですけどぉ〜」
「なんだ、今なら気分がいいから特別に撫で回しちゃうぞ」
「もう、しょうがないなぁ!」
ぷくっと頬を膨らませていたリュード親衛隊メンバーのラストは、スーッと寄ってきてリュードに頭を差し出す。
リュードに撫で回されてニッコニコのルフォンは何も言わない。
「ずるい!」
すると今度はコユキが飛んできてリュードの腰に抱きつく。
「よーしよし」
「むふんっ!」
ただれているか、ただれていないか、でいうとただれている。
しかし悪いただれ方ではない。
幸せで清く正しいただれ方である。
今回ニャロは聖者であって教会の仕事もあるのでリュードの親衛隊として同行することはなかったけれども、ルフォンの中ではニャロはしっかり親衛隊の一員である。
ラストも高い実力を誇っているが、もう一人ぐらいは親衛隊となるような人がいてもいいかもしれないとルフォンは考えていた。
コユキも申し分ない能力があるけれどまだまだ子供で守られるべき存在だ。
リュードがいない時の戦闘を考えたらもう一人どっしり前を任せられるような人がいい。
ただあんまり女子が増えるのも困りもので、そこらへんのバランスも難しい。
「リューちゃんもう一回」
「はいよ」
まあ焦ることもない。
旅をする中で気が合う人がいればきっと自然とそうなる。
大事なのはリュード。
思い思われるのも互いが無事であればこそ。
ただ今はリュードが頭を優しく撫でてくれる時を大切にしようとルフォンは尻尾を振りながら撫で回されていたのだった。


