「こいつ……!」
リュードはタコの水の魔法を上半身をそらしてかわす。
なんとタコは吸盤から魔法を放ってきていて、どこから魔法が来るのか予見しにくい。
その上周りを足で囲まれて、動きも制限されている。
魔法を切って防いだりするが、威力は殺せても水は消えなくてびしょ濡れになってしまう。
魔法の方もリュードを主に狙っている。
服は濡れて重たく、余計に体力が奪われる。
「クッ!」
魔法を切って水をかぶった瞬間に、タコの足が襲いかかってくる。
水に濡れて視界が奪われたせいで一瞬回避が遅れてタコの足がリュードの頬を掠める。
「イラつくやり方すんな!」
体力を奪ってじわじわと追い詰めてくる狡猾でネチネチとして陰湿なやり方に腹が立ってくる。
折を見て反撃に足を切り付けるが、浅い傷だとすぐに治ってしまう。
「こっちだって黙ってやられているだけじゃないんだよ!」
もちろんリュードにも打つ手はある。
クラーケン対策といえばもちろん雷属性だ。
ルフォンやラストが作った隙を狙って、剣に纏わせた魔力を雷属性に変えてタコの足を切りつけようとした。
「リューちゃん!」
リュードの剣はタコの足に届かなかった。
正確にはリュードが剣を振り下ろそうとした瞬間にリュードの体が動かなくなった。
横からタコの足が迫ってきても、リュードは回避行動に移れない。
剣を振り上げたままの体勢から動けなくてタコの足をまともに食らう。
「パパ!」
大きく殴り飛ばされて壁に叩きつけられたリュード。
コユキがリュードに駆け寄る。
『アニキ! うおおおおっ!』
リュードに追撃しようとしているタコ。
ウツボは生えたばかりのツノでタコを突き上げる。
タコに巻きついて噛みつき、行かせまいとする。
「う……なぜ」
リュードは呻き声を上げながら体を起こそうとしたが、全身を壁に叩きつけられてひどく痛む。
治療に多少時間のかかる骨折をしていなくてよかった。
なぜ体が動かなくなったのか分からず、治療を受けながら考える。
体を拘束される魔法を受けた感じはない。
ルフォンもフォローに入らなかったことを考えると誰にもその前兆は分からなかった。
今は体は動くし、タコの足が迫り来るのが見えたので体動かずとも目や首は動いてたのに、体が突如として動かなくなった原因が全く分からない。
「大丈夫?」
「大丈夫、ありがとうコユキ」
体はコユキによって治ったが、動かなくなった原因が分からないと不安を抱えたままになる。
「なぜだ……」
「水です!」
巻きついたウツボは引き剥がそうするタコに激しく抵抗して時間を稼いでくれている。
「水だと?」
水の魔法の使い手でもあるウンディーネのナガーシャが、リュードの動かなくなった原因を見抜いた。
「リュードさんが浴びた水はあのクラーケンが作り出したものです。その水にはまだクラーケンの力が及びます!」
視線を落として自分の体を見ると、服はたっぷりと水を吸い、ポタポタと水滴が滴っている。
この水はタコが魔法で生み出したものだ。
魔法で作り出した物質は魔力がなくなると消えてしまうものであるが、この水は全然なくなっていない。
それほどまでに魔力を込めたか、まだタコの方で維持しているかだ。
「水を操ったのか」
服に染み込んだ水にはまだタコの魔力が残っていて、タコは瞬間的にリュードが浴びていた水を操ったのだ。
タコから水は離れているし、そんなに強力なことをできるものではない。
けれど単純なことはできる。
服にたっぷりと染み込んだ水がリュードの体を締め付けた。
ダメージを与えるほどの力はなく、落ち着けば振り払えるぐらいの締め付けでも瞬間的に動きは止まる。
「まさかこんな手を隠しているとはな……」
タコは戦いながらリュードに一撃加える時をうかがっていたのだ。
ウツボがいなかったらそのままやられていたかもしれない。
「面倒なことをするもんだな」
リュードが上の服を脱ぎ捨てる。
いまだに水を含んでいる服は床に投げられてべちゃりと音を立てる。
「失礼します!」
「おわっ!」
バケツでもひっくり返したような水を頭から浴びる。
「これでクラーケンの水を上書きします! もう水が染みないように私が水を維持します」
ナガーシャがタコの水を洗い流してリュードにナガーシャの水を纏わせる。
「やるのはいいけどせめて一言先に言ってくれ。あと水なのはいいけれどももう少し温かくならないか?」
「……やってみます!」
冷たい水のせいで体が少し冷えてきている。
体が冷たくなればそれだけ動きも悪くなってしまう。
ナガーシャはリュードに手を向けて水を操る。
するとリュードの体にまとわれた水がほんのりと温かくなってきた。
『ファニキー!』
タコの足に噛み付くウツボをタコが引っ張って剥がそうとしている。
もうあまり持たなそうだ。
「散々濡らされたり、やられたお返しさせてもらうぞ!」
足に噛み付いたウツボを引っ張っているのでピンと張っているタコの足。
魔人化しながらリュードが床を蹴って走り出す。
『うわあああ!』
「あっ、ごめん!」
張った足をリュードが一息に切り裂いた。
噛み付いていた足を切られてウツボは支えを失ってしまった。
タコに振り回されたウツボはもう何度目だろうか、壁に投げつけられる。
リュードはタコの水の魔法を上半身をそらしてかわす。
なんとタコは吸盤から魔法を放ってきていて、どこから魔法が来るのか予見しにくい。
その上周りを足で囲まれて、動きも制限されている。
魔法を切って防いだりするが、威力は殺せても水は消えなくてびしょ濡れになってしまう。
魔法の方もリュードを主に狙っている。
服は濡れて重たく、余計に体力が奪われる。
「クッ!」
魔法を切って水をかぶった瞬間に、タコの足が襲いかかってくる。
水に濡れて視界が奪われたせいで一瞬回避が遅れてタコの足がリュードの頬を掠める。
「イラつくやり方すんな!」
体力を奪ってじわじわと追い詰めてくる狡猾でネチネチとして陰湿なやり方に腹が立ってくる。
折を見て反撃に足を切り付けるが、浅い傷だとすぐに治ってしまう。
「こっちだって黙ってやられているだけじゃないんだよ!」
もちろんリュードにも打つ手はある。
クラーケン対策といえばもちろん雷属性だ。
ルフォンやラストが作った隙を狙って、剣に纏わせた魔力を雷属性に変えてタコの足を切りつけようとした。
「リューちゃん!」
リュードの剣はタコの足に届かなかった。
正確にはリュードが剣を振り下ろそうとした瞬間にリュードの体が動かなくなった。
横からタコの足が迫ってきても、リュードは回避行動に移れない。
剣を振り上げたままの体勢から動けなくてタコの足をまともに食らう。
「パパ!」
大きく殴り飛ばされて壁に叩きつけられたリュード。
コユキがリュードに駆け寄る。
『アニキ! うおおおおっ!』
リュードに追撃しようとしているタコ。
ウツボは生えたばかりのツノでタコを突き上げる。
タコに巻きついて噛みつき、行かせまいとする。
「う……なぜ」
リュードは呻き声を上げながら体を起こそうとしたが、全身を壁に叩きつけられてひどく痛む。
治療に多少時間のかかる骨折をしていなくてよかった。
なぜ体が動かなくなったのか分からず、治療を受けながら考える。
体を拘束される魔法を受けた感じはない。
ルフォンもフォローに入らなかったことを考えると誰にもその前兆は分からなかった。
今は体は動くし、タコの足が迫り来るのが見えたので体動かずとも目や首は動いてたのに、体が突如として動かなくなった原因が全く分からない。
「大丈夫?」
「大丈夫、ありがとうコユキ」
体はコユキによって治ったが、動かなくなった原因が分からないと不安を抱えたままになる。
「なぜだ……」
「水です!」
巻きついたウツボは引き剥がそうするタコに激しく抵抗して時間を稼いでくれている。
「水だと?」
水の魔法の使い手でもあるウンディーネのナガーシャが、リュードの動かなくなった原因を見抜いた。
「リュードさんが浴びた水はあのクラーケンが作り出したものです。その水にはまだクラーケンの力が及びます!」
視線を落として自分の体を見ると、服はたっぷりと水を吸い、ポタポタと水滴が滴っている。
この水はタコが魔法で生み出したものだ。
魔法で作り出した物質は魔力がなくなると消えてしまうものであるが、この水は全然なくなっていない。
それほどまでに魔力を込めたか、まだタコの方で維持しているかだ。
「水を操ったのか」
服に染み込んだ水にはまだタコの魔力が残っていて、タコは瞬間的にリュードが浴びていた水を操ったのだ。
タコから水は離れているし、そんなに強力なことをできるものではない。
けれど単純なことはできる。
服にたっぷりと染み込んだ水がリュードの体を締め付けた。
ダメージを与えるほどの力はなく、落ち着けば振り払えるぐらいの締め付けでも瞬間的に動きは止まる。
「まさかこんな手を隠しているとはな……」
タコは戦いながらリュードに一撃加える時をうかがっていたのだ。
ウツボがいなかったらそのままやられていたかもしれない。
「面倒なことをするもんだな」
リュードが上の服を脱ぎ捨てる。
いまだに水を含んでいる服は床に投げられてべちゃりと音を立てる。
「失礼します!」
「おわっ!」
バケツでもひっくり返したような水を頭から浴びる。
「これでクラーケンの水を上書きします! もう水が染みないように私が水を維持します」
ナガーシャがタコの水を洗い流してリュードにナガーシャの水を纏わせる。
「やるのはいいけどせめて一言先に言ってくれ。あと水なのはいいけれどももう少し温かくならないか?」
「……やってみます!」
冷たい水のせいで体が少し冷えてきている。
体が冷たくなればそれだけ動きも悪くなってしまう。
ナガーシャはリュードに手を向けて水を操る。
するとリュードの体にまとわれた水がほんのりと温かくなってきた。
『ファニキー!』
タコの足に噛み付くウツボをタコが引っ張って剥がそうとしている。
もうあまり持たなそうだ。
「散々濡らされたり、やられたお返しさせてもらうぞ!」
足に噛み付いたウツボを引っ張っているのでピンと張っているタコの足。
魔人化しながらリュードが床を蹴って走り出す。
『うわあああ!』
「あっ、ごめん!」
張った足をリュードが一息に切り裂いた。
噛み付いていた足を切られてウツボは支えを失ってしまった。
タコに振り回されたウツボはもう何度目だろうか、壁に投げつけられる。


