「予想外の結末だけど、これで全てのコアルームを取り戻せたな」
四つ目のコアルームを占領していたウツボは正しいことをする気になって、リュードに味方してくれることのなった。
特に部屋の破壊もされていなかったので復旧も早く、アリーシャがコアルームの機能を回復してやるとすぐに石像から水が出始める。
ウツボが巻き付いていたのでよく見えなかったが、このコアルームの石像は口を開けた大きなクジラの石像だった。
どのコアルームからも水が勢いよく噴き出しているように見えるけれど、これでも本来川に流れる水量よりも少なく3分の1ほどしかないらしい
やはり中心部の奪還が必要なのである。
中心部で生み出される水が大きな割合を占めているのだ。
「中心部への緊急用ルートを解放しますね」
城内には中心部以外に魔物はいないことも確認した。
ウンディーネたちはそれぞれ担当しているコアルームに戻って中心部のメインルームへの道を開く。
普通のルートより遠回りになるけれど、今通れる道は緊急ルートしかない。
それでも封鎖された道を開いて中心部まで行けるようになった。
複雑な道になるのでナガーシャが案内してくれる。
『行きましょう、リュードのアニキ!』
ウツボは意気揚々とリュードたちについてくる。
間違ったことをしてしまったので、リュードの言葉通りにそれを正そうとしている。
少しでもここを取り戻す手伝いをしたいと言う熱い懇願にみんな文句もなかった。
結構強そうだし一緒に戦ってくれるなら心強い。
ちなみにこれまで戦ってきた魔物たちも水棲生物で、地上での活動に向いておらず、長く空気中にいられないものもいる。
それでも活動できていたのは神によって地上で活動できるように力を与えられていたからだった。
ウツボもそうであった。
しかし裏切ってしまったので神の力を失ったのだけど、進化したウツボは地上でも活動できるようになっていた。
「ええと……あちらですね」
リュードたちナガーシャの案内で城の中心部に向かう。
道は複雑で、案内がなければとてもじゃないけどたどり着くことはできなさそう。
ぐるっと外を回るように移動して一つ内に入ってまたぐるっと回って内に入る。
こうして少しずつ中心部に近づいていく。
「なんかすごい湿気ってるね」
「うん……何だか生暖かくて空気に水気が多い感じ」
進むにつれて空気感が変わってきた。
これまでも湿度は高いような感じはあったけど、中心部に近づくとさらに気温が高くて空気がむわっとしている感じになってくる。
「温水プールみたいだな」
「プール?」
「いや何でもない」
プールの空気感がこんな感じだったなとリュードは思った。
プールだといいけれども、プールでもないここはただ気温と湿度が高くて辛いだけ。
「むにゃ……」
「ふふ、この上がメインルームです」
長いこと歩いたので疲れてしまったコユキをリュードがおんぶしていた。
グルグルと歩いてきてようやく城の中心部までやってきた。
「……何もいないな」
広い円形の部屋を覗き込むけれど、そこに魔物の姿はない。
部屋の中に立ち入ってみると、真ん中には大きい穴が空いている。
「こわぁ〜」
穴を覗き込んでみると深くて底が見えない。
天井から水が滴って穴に落ちている。
「階段の上か?」
「そうです」
円形の部屋の壁に沿うようにして階段が上に続いている。
階段の上がメインルームになっているらしいので少しだけ休憩して、階段を上がっていく。
「どう、リューちゃん?」
少しぬるつく階段を上がっていくと下と同じような円形の部屋になっていた。
体勢を低く保ち顔を覗かせてメインルームを確認する。
「……リューちゃん?」
リュードからわずかに殺気が漏れる。
何を見たのか、とみんなが顔を見合わせる。
「リューちゃん……あれって」
「ああ……同じ魔物。多分違う個体だろうけど違っても忘れらんないよな」
ルフォンも顔を覗かせて驚いた。
部屋の中心には水瓶を持った穏やかな顔つきをした女性の石像がある。
石像の顔つきはどことなくウォークアに似ている。
そしてその後ろに奴がいた。
「なになに? あれ知り合い?」
ラストもそれを見る。
石像の後ろにも魔物がいるのだ。
赤っぽく見え丸く頭のようなボディ、しなやかで吸盤のついた十本の足。
「昔ちょっとあってな」
忘れもしない。
ルフォンのことを一度殺しかけた、あの魔物。
エミナたちとヘランド王国で戦った、イカのクラーケンの後に乱入してきたタコ型のクラーケンであった。
クラーケンの亜種のせいか足が八本ではなく十本という不思議なタコである。
同じかどうかは分からないけれど、同種の魔物にリュードもルフォンも少し動揺してしまう。
ルフォンまで、というかむしろルフォンの方が険しい顔をしているのでラストも驚いた。
「クラーケンの亜種……スパトクオと呼ばれることもある魔物です。十本の強靭な足を使って暴れ回り、知能も高い魔物ですが妙ですね」
「妙?」
「足は十本……あ、いえありました。一本なぜか短いみたいですね」
「リューちゃん……」
「ああ……もしかしたら」
あの時の記憶が蘇る。
リュードはルフォンを助けるためにタコの足を一本引きちぎった。
魔物避けで何とか追い払ったが、倒すことができなかった。
メインルームにいるタコの足が一本不自然に短い。
このことから考えるとこのタコはもしかしたら本当に因縁の相手ではないかと思った。
四つ目のコアルームを占領していたウツボは正しいことをする気になって、リュードに味方してくれることのなった。
特に部屋の破壊もされていなかったので復旧も早く、アリーシャがコアルームの機能を回復してやるとすぐに石像から水が出始める。
ウツボが巻き付いていたのでよく見えなかったが、このコアルームの石像は口を開けた大きなクジラの石像だった。
どのコアルームからも水が勢いよく噴き出しているように見えるけれど、これでも本来川に流れる水量よりも少なく3分の1ほどしかないらしい
やはり中心部の奪還が必要なのである。
中心部で生み出される水が大きな割合を占めているのだ。
「中心部への緊急用ルートを解放しますね」
城内には中心部以外に魔物はいないことも確認した。
ウンディーネたちはそれぞれ担当しているコアルームに戻って中心部のメインルームへの道を開く。
普通のルートより遠回りになるけれど、今通れる道は緊急ルートしかない。
それでも封鎖された道を開いて中心部まで行けるようになった。
複雑な道になるのでナガーシャが案内してくれる。
『行きましょう、リュードのアニキ!』
ウツボは意気揚々とリュードたちについてくる。
間違ったことをしてしまったので、リュードの言葉通りにそれを正そうとしている。
少しでもここを取り戻す手伝いをしたいと言う熱い懇願にみんな文句もなかった。
結構強そうだし一緒に戦ってくれるなら心強い。
ちなみにこれまで戦ってきた魔物たちも水棲生物で、地上での活動に向いておらず、長く空気中にいられないものもいる。
それでも活動できていたのは神によって地上で活動できるように力を与えられていたからだった。
ウツボもそうであった。
しかし裏切ってしまったので神の力を失ったのだけど、進化したウツボは地上でも活動できるようになっていた。
「ええと……あちらですね」
リュードたちナガーシャの案内で城の中心部に向かう。
道は複雑で、案内がなければとてもじゃないけどたどり着くことはできなさそう。
ぐるっと外を回るように移動して一つ内に入ってまたぐるっと回って内に入る。
こうして少しずつ中心部に近づいていく。
「なんかすごい湿気ってるね」
「うん……何だか生暖かくて空気に水気が多い感じ」
進むにつれて空気感が変わってきた。
これまでも湿度は高いような感じはあったけど、中心部に近づくとさらに気温が高くて空気がむわっとしている感じになってくる。
「温水プールみたいだな」
「プール?」
「いや何でもない」
プールの空気感がこんな感じだったなとリュードは思った。
プールだといいけれども、プールでもないここはただ気温と湿度が高くて辛いだけ。
「むにゃ……」
「ふふ、この上がメインルームです」
長いこと歩いたので疲れてしまったコユキをリュードがおんぶしていた。
グルグルと歩いてきてようやく城の中心部までやってきた。
「……何もいないな」
広い円形の部屋を覗き込むけれど、そこに魔物の姿はない。
部屋の中に立ち入ってみると、真ん中には大きい穴が空いている。
「こわぁ〜」
穴を覗き込んでみると深くて底が見えない。
天井から水が滴って穴に落ちている。
「階段の上か?」
「そうです」
円形の部屋の壁に沿うようにして階段が上に続いている。
階段の上がメインルームになっているらしいので少しだけ休憩して、階段を上がっていく。
「どう、リューちゃん?」
少しぬるつく階段を上がっていくと下と同じような円形の部屋になっていた。
体勢を低く保ち顔を覗かせてメインルームを確認する。
「……リューちゃん?」
リュードからわずかに殺気が漏れる。
何を見たのか、とみんなが顔を見合わせる。
「リューちゃん……あれって」
「ああ……同じ魔物。多分違う個体だろうけど違っても忘れらんないよな」
ルフォンも顔を覗かせて驚いた。
部屋の中心には水瓶を持った穏やかな顔つきをした女性の石像がある。
石像の顔つきはどことなくウォークアに似ている。
そしてその後ろに奴がいた。
「なになに? あれ知り合い?」
ラストもそれを見る。
石像の後ろにも魔物がいるのだ。
赤っぽく見え丸く頭のようなボディ、しなやかで吸盤のついた十本の足。
「昔ちょっとあってな」
忘れもしない。
ルフォンのことを一度殺しかけた、あの魔物。
エミナたちとヘランド王国で戦った、イカのクラーケンの後に乱入してきたタコ型のクラーケンであった。
クラーケンの亜種のせいか足が八本ではなく十本という不思議なタコである。
同じかどうかは分からないけれど、同種の魔物にリュードもルフォンも少し動揺してしまう。
ルフォンまで、というかむしろルフォンの方が険しい顔をしているのでラストも驚いた。
「クラーケンの亜種……スパトクオと呼ばれることもある魔物です。十本の強靭な足を使って暴れ回り、知能も高い魔物ですが妙ですね」
「妙?」
「足は十本……あ、いえありました。一本なぜか短いみたいですね」
「リューちゃん……」
「ああ……もしかしたら」
あの時の記憶が蘇る。
リュードはルフォンを助けるためにタコの足を一本引きちぎった。
魔物避けで何とか追い払ったが、倒すことができなかった。
メインルームにいるタコの足が一本不自然に短い。
このことから考えるとこのタコはもしかしたら本当に因縁の相手ではないかと思った。


