「コユキ!」
渦巻く風に飛ばされそうになったコユキをルフォンが支える。
『ボクはボクなりのドラゴンの道を行く! ボクはドラゴンを目指す……そしてボクはドラゴンになる!』
風に包まれてウツボの姿が見えなくなる。
強い魔力を感じる。
「にゃー!」
弾け飛ぶように風が散りニャロが堪えきれずにゴロゴロと転がる。
『アニキ、ありがとう』
「あ、アニキ? それにお前、その姿……」
風の中から現れたウツボの姿は異なっていた。
ウツボはウツボなんだけど、何とウツボの頭には黒く輝く美しいツノが生えていた。
まるでリュードの頭に生えているツノみたいだった。
『ボクに迷いは無くなった。また一つドラゴンに近づくことができたよ』
ウツボに起きた変化は一種の進化であった。
長いこと壁にぶつかって暗い気持ちに閉じこもっていたウツボは、初めてドラゴンになるということに理解を示してくれたリュードの言葉に進むべき道を思い出した。
ぶつかったっていい。
叶わなくったっていい。
そこに向けて努力して、自分の思い描いた理想の姿を忘れずに進んでいくことが大切であるのだ。
ただ見た目だけドラゴンになっても意味は無い。
元は見た目に憧れたのだけど、今はドラゴンとしてのあり方に憧れているのだ。
外見がドラゴンでなくとも心意気がドラゴンなら、それは立派なドラゴンなのである。
もしかしたら自分もドラゴンに認めてもらえるかもしれない。
ドラゴンだと認めてもらえるかもしれない。
心の成長がウツボに壁を一つ乗り越えさせた。
『アニキのお名前、聞いてもいいですか?』
「俺の名前はリュードだけど」
『リュードのアニキ! アニキと呼んでもいいですか!』
「もう呼んでんじゃん……」
リュードとウツボの心温まる謎の交流。
黙って眺めていたけれど、あまりにも奇妙な光景にラストもポツリとつぶやかずにはいられなかった。
「まあ……好きに呼んでくれ」
『ありがとうございます、リュードのアニキ!』
何とも不思議なことにリュードは海のギャングの弟分を得た。
ウツボは同じくドラゴンを目指していて、魔物でもある自分にも分け隔てなく接してくれるリュードに深く感動していた。
この懐の深さこそドラゴンであると思った。
進化できたのもリュードのおかげ。
人と魔物との垣根を超えた絆が生まれた瞬間であった。
「カッコイイ!」
『ん? ……不思議な子。褒めてくれてありがとうね』
危なくないと本能で察したコユキはウツボに駆け寄った。
リュードにもよく似た黒いツノを、コユキは目を輝かせて純粋な気持ちで褒めた。
「ええと、どういうことでしょうか?」
「とりあえず解決したってことでいいと思う」
『はっはっはっー! 背中に乗るかいお嬢さん! ボクはドラゴンだからこれぐらい朝飯前さー!』
「きゃー!」
ウツボはコユキを背中に乗せている。
リュード本人ですらイマイチ状況が飲み込めていない。
上手く説得できれば戦いを避けられるぐらいの気持ちだったのに、何が起きたのかいつの間にかウツボにアニキと呼ばれている。
誰がこんな結末予想できただろうか。
「まあ……うん、こんな結末もいいんじゃないか?」
「…………とことん不思議なお方ですね」
ウンディーネたちも驚いている。
魔物を説得してしまったばかりか、進化までさせてしまった。
普通じゃあり得ないことである。
どうして神がリュードを遣わせたのか、よく分かったような気になった。
渦巻く風に飛ばされそうになったコユキをルフォンが支える。
『ボクはボクなりのドラゴンの道を行く! ボクはドラゴンを目指す……そしてボクはドラゴンになる!』
風に包まれてウツボの姿が見えなくなる。
強い魔力を感じる。
「にゃー!」
弾け飛ぶように風が散りニャロが堪えきれずにゴロゴロと転がる。
『アニキ、ありがとう』
「あ、アニキ? それにお前、その姿……」
風の中から現れたウツボの姿は異なっていた。
ウツボはウツボなんだけど、何とウツボの頭には黒く輝く美しいツノが生えていた。
まるでリュードの頭に生えているツノみたいだった。
『ボクに迷いは無くなった。また一つドラゴンに近づくことができたよ』
ウツボに起きた変化は一種の進化であった。
長いこと壁にぶつかって暗い気持ちに閉じこもっていたウツボは、初めてドラゴンになるということに理解を示してくれたリュードの言葉に進むべき道を思い出した。
ぶつかったっていい。
叶わなくったっていい。
そこに向けて努力して、自分の思い描いた理想の姿を忘れずに進んでいくことが大切であるのだ。
ただ見た目だけドラゴンになっても意味は無い。
元は見た目に憧れたのだけど、今はドラゴンとしてのあり方に憧れているのだ。
外見がドラゴンでなくとも心意気がドラゴンなら、それは立派なドラゴンなのである。
もしかしたら自分もドラゴンに認めてもらえるかもしれない。
ドラゴンだと認めてもらえるかもしれない。
心の成長がウツボに壁を一つ乗り越えさせた。
『アニキのお名前、聞いてもいいですか?』
「俺の名前はリュードだけど」
『リュードのアニキ! アニキと呼んでもいいですか!』
「もう呼んでんじゃん……」
リュードとウツボの心温まる謎の交流。
黙って眺めていたけれど、あまりにも奇妙な光景にラストもポツリとつぶやかずにはいられなかった。
「まあ……好きに呼んでくれ」
『ありがとうございます、リュードのアニキ!』
何とも不思議なことにリュードは海のギャングの弟分を得た。
ウツボは同じくドラゴンを目指していて、魔物でもある自分にも分け隔てなく接してくれるリュードに深く感動していた。
この懐の深さこそドラゴンであると思った。
進化できたのもリュードのおかげ。
人と魔物との垣根を超えた絆が生まれた瞬間であった。
「カッコイイ!」
『ん? ……不思議な子。褒めてくれてありがとうね』
危なくないと本能で察したコユキはウツボに駆け寄った。
リュードにもよく似た黒いツノを、コユキは目を輝かせて純粋な気持ちで褒めた。
「ええと、どういうことでしょうか?」
「とりあえず解決したってことでいいと思う」
『はっはっはっー! 背中に乗るかいお嬢さん! ボクはドラゴンだからこれぐらい朝飯前さー!』
「きゃー!」
ウツボはコユキを背中に乗せている。
リュード本人ですらイマイチ状況が飲み込めていない。
上手く説得できれば戦いを避けられるぐらいの気持ちだったのに、何が起きたのかいつの間にかウツボにアニキと呼ばれている。
誰がこんな結末予想できただろうか。
「まあ……うん、こんな結末もいいんじゃないか?」
「…………とことん不思議なお方ですね」
ウンディーネたちも驚いている。
魔物を説得してしまったばかりか、進化までさせてしまった。
普通じゃあり得ないことである。
どうして神がリュードを遣わせたのか、よく分かったような気になった。


