「この部屋の惨状は何があったんだ?」
「これはこの魔物さんが私を守ってくれたのです」
『ボクはいらないって言ったのに女神様が他の魔物もつけたんだ。でもそいつらはウンディーネを襲おうとした。言っても聞かないしボクのことも襲ってきたから倒したんだ』
ウツボの周りにいる派手なエビはウツボについてきたエビである。
そして部屋に転がっているのもエビの残骸だけど、こちらはウツボとは無関係のエビだった。
魔物の襲撃にあって隅で怯えていたアリーシャだったが、アリーシャを襲おうとしたエビとウツボは戦い始めた。
リーダーである大きなエビとたくさんのエビがいたけど、ウツボは圧倒的な力でエビを倒して食べてしまった。
『ドラゴンは無闇に人を傷つけないからね!』
まるで騎士に憧れる子供のようなウツボが憧れているのは、善良なドラゴンである。
コアルームから出しちゃダメだけど、出ないなら乱暴なことはしないとアリーシャには手を出すつもりはなかったのだ。
非常に紳士的なウツボであるとリュードは話に感心してしまう。
「そうしてゆっくりすることになったのです。助けられてしまってはちゃんと従うしかありませんしね」
ウツボに助けられたアリーシャは、ウツボに敵意がないことを理解し、助けられ恩もあったので大人しくすることにした。
お茶を淹れて気持ちを落ち着かせていると、ウツボは時々音痴な鼻歌を歌ったりしていた。
いつの間にかアリーシャもウツボに慣れてきて、恐怖も薄れてしまった。
すっかりいつも通りに過ごしながら、コアルームで悠々軟禁状態だった。
どうしようかと悩んだ時もあったけど、抵抗しても勝てる相手ではない。
抵抗しなきゃ可愛らしくもある同居人なので、他のウンディーネに期待して待っていたのだ。
「攻撃しないから入ってもいいか?」
『むっ……それは』
「分かった。じゃあ武器もここに置く。ドラゴンなら無抵抗な相手が入るぐらい許してくれるだろ?」
『むむぅ? ……確かに、入るといい!』
このウツボ良い子だ。
「アリーシャ!」
「あら、みなさん無事だったのですか」
「なんでそんなに優雅にいるのよ!」
「この魔物さん悪い方ではありませんから」
ニルーシャは幼い感じだけど、アリーシャはややタレ目のお姉さんタイプ。
すっかり落ち着きを取り戻しているアリーシャは穏やかに微笑んでいる。
「よう」
『こんにちわ』
「分かっているだろ?」
『何を?』
「こんなこと間違っているって」
リュードはウツボに近づく。
やはり話し合いで何とかしたい。
ウツボは悪いやつじゃない。
うまく説得できれば傷つける必要はない。
『それは……』
「ドラゴンはこんなことすると思うのか?」
『うっ!』
「こんな風にアリーシャを傷つけて神様にいいように使われてそれがドラゴンのすることだと思うのか?」
実際あまり傷つけてはいないけど、精神的なショックを与えたことに変わりはない。
『ううぅ〜!』
「信念を曲げて悪の道に進んでなったドラゴンをお前は誇れるのか? お前はただドラゴンになりたいのか? それとも心から憧れるドラゴンになりたいのか? 見た目だけのドラゴンよりも心がドラゴンであるお前の方がかっこいいと思わないか?」
場の勢いで説得してみているけれど、ウツボには響いているらしく目が泳ぎまくっている。
後一押しすればいけると感じた。
「ダサいドラゴンとカッコイイありのままの君、どっちがいい?」
『ボクは……カッコイイ?』
「ああ、カッコイイよ。ドラゴンに憧れてドラゴンになろうと努力しているんだろ。アリーシャも守ってくれたしそんな君を俺はカッコいいと思うよ」
『ボクが……カッコイイ……』
ウツボは雷に打たれたような衝撃を感じていた。
未だかつて自分のことをカッコイイだなんて言ってくれて、ドラゴンになることに関してこんな風に考えてくれた相手がいただろうか。
ウツボは小さい頃から賢かった。
たまに海面近くまで浮き上がっては空を眺めていた。
そんな時に偶然空を悠然と飛んでいるドラゴンを見た。
元々空の広さと深さに興味を持っていたウツボは、自分とは違う長くて雄大でしなやかで力強い姿で空を飛んでいるドラゴンに目を奪われた。
『ボクはドラゴンを目指してもイイのかな……』
「お、おい?」
ウツボの目がうるうるとし出す。
『ボクはどうしたら……うわぁーん!』
「泣かせた」
「泣かせたにゃ」
「泣かせたね」
「大丈夫?」
天使コユキがウツボを心配する。
『ボクは……ボクはぁ!』
ーーーーー
そして始まったウツボの人生相談。
相談相手はリュード。
そこそこ生態系の中では上にいるウツボは、たまたま周りよりも高い知能を持って生まれてきた。
身体的な能力は他の魔物と変わらないのだけど、知能の高さのためか好奇心も強かった。
海面近くに浮き上がっては、外の世界の広さに想像を広げて想いを馳せていた。
そんな時にドラゴンの姿を見たのだ。
『今でも忘れられないドラゴンの姿は目に焼き付いている』
なぜそんなところをドラゴンが飛んでいたのかは知らないけど、気まぐれにか低く見えるようにいた。
ウツボは一目見たドラゴンに魅かれて強い憧れを抱いた。
「これはこの魔物さんが私を守ってくれたのです」
『ボクはいらないって言ったのに女神様が他の魔物もつけたんだ。でもそいつらはウンディーネを襲おうとした。言っても聞かないしボクのことも襲ってきたから倒したんだ』
ウツボの周りにいる派手なエビはウツボについてきたエビである。
そして部屋に転がっているのもエビの残骸だけど、こちらはウツボとは無関係のエビだった。
魔物の襲撃にあって隅で怯えていたアリーシャだったが、アリーシャを襲おうとしたエビとウツボは戦い始めた。
リーダーである大きなエビとたくさんのエビがいたけど、ウツボは圧倒的な力でエビを倒して食べてしまった。
『ドラゴンは無闇に人を傷つけないからね!』
まるで騎士に憧れる子供のようなウツボが憧れているのは、善良なドラゴンである。
コアルームから出しちゃダメだけど、出ないなら乱暴なことはしないとアリーシャには手を出すつもりはなかったのだ。
非常に紳士的なウツボであるとリュードは話に感心してしまう。
「そうしてゆっくりすることになったのです。助けられてしまってはちゃんと従うしかありませんしね」
ウツボに助けられたアリーシャは、ウツボに敵意がないことを理解し、助けられ恩もあったので大人しくすることにした。
お茶を淹れて気持ちを落ち着かせていると、ウツボは時々音痴な鼻歌を歌ったりしていた。
いつの間にかアリーシャもウツボに慣れてきて、恐怖も薄れてしまった。
すっかりいつも通りに過ごしながら、コアルームで悠々軟禁状態だった。
どうしようかと悩んだ時もあったけど、抵抗しても勝てる相手ではない。
抵抗しなきゃ可愛らしくもある同居人なので、他のウンディーネに期待して待っていたのだ。
「攻撃しないから入ってもいいか?」
『むっ……それは』
「分かった。じゃあ武器もここに置く。ドラゴンなら無抵抗な相手が入るぐらい許してくれるだろ?」
『むむぅ? ……確かに、入るといい!』
このウツボ良い子だ。
「アリーシャ!」
「あら、みなさん無事だったのですか」
「なんでそんなに優雅にいるのよ!」
「この魔物さん悪い方ではありませんから」
ニルーシャは幼い感じだけど、アリーシャはややタレ目のお姉さんタイプ。
すっかり落ち着きを取り戻しているアリーシャは穏やかに微笑んでいる。
「よう」
『こんにちわ』
「分かっているだろ?」
『何を?』
「こんなこと間違っているって」
リュードはウツボに近づく。
やはり話し合いで何とかしたい。
ウツボは悪いやつじゃない。
うまく説得できれば傷つける必要はない。
『それは……』
「ドラゴンはこんなことすると思うのか?」
『うっ!』
「こんな風にアリーシャを傷つけて神様にいいように使われてそれがドラゴンのすることだと思うのか?」
実際あまり傷つけてはいないけど、精神的なショックを与えたことに変わりはない。
『ううぅ〜!』
「信念を曲げて悪の道に進んでなったドラゴンをお前は誇れるのか? お前はただドラゴンになりたいのか? それとも心から憧れるドラゴンになりたいのか? 見た目だけのドラゴンよりも心がドラゴンであるお前の方がかっこいいと思わないか?」
場の勢いで説得してみているけれど、ウツボには響いているらしく目が泳ぎまくっている。
後一押しすればいけると感じた。
「ダサいドラゴンとカッコイイありのままの君、どっちがいい?」
『ボクは……カッコイイ?』
「ああ、カッコイイよ。ドラゴンに憧れてドラゴンになろうと努力しているんだろ。アリーシャも守ってくれたしそんな君を俺はカッコいいと思うよ」
『ボクが……カッコイイ……』
ウツボは雷に打たれたような衝撃を感じていた。
未だかつて自分のことをカッコイイだなんて言ってくれて、ドラゴンになることに関してこんな風に考えてくれた相手がいただろうか。
ウツボは小さい頃から賢かった。
たまに海面近くまで浮き上がっては空を眺めていた。
そんな時に偶然空を悠然と飛んでいるドラゴンを見た。
元々空の広さと深さに興味を持っていたウツボは、自分とは違う長くて雄大でしなやかで力強い姿で空を飛んでいるドラゴンに目を奪われた。
『ボクはドラゴンを目指してもイイのかな……』
「お、おい?」
ウツボの目がうるうるとし出す。
『ボクはどうしたら……うわぁーん!』
「泣かせた」
「泣かせたにゃ」
「泣かせたね」
「大丈夫?」
天使コユキがウツボを心配する。
『ボクは……ボクはぁ!』
ーーーーー
そして始まったウツボの人生相談。
相談相手はリュード。
そこそこ生態系の中では上にいるウツボは、たまたま周りよりも高い知能を持って生まれてきた。
身体的な能力は他の魔物と変わらないのだけど、知能の高さのためか好奇心も強かった。
海面近くに浮き上がっては、外の世界の広さに想像を広げて想いを馳せていた。
そんな時にドラゴンの姿を見たのだ。
『今でも忘れられないドラゴンの姿は目に焼き付いている』
なぜそんなところをドラゴンが飛んでいたのかは知らないけど、気まぐれにか低く見えるようにいた。
ウツボは一目見たドラゴンに魅かれて強い憧れを抱いた。


