「そいつ逃すな!」
「ラストにお任せぇ!」
リュードにかわされてウニの一匹がコアルームから飛び出してきた。
慌てて回転することも忘れてコアルームの方に跳んでいこうとするが、ラストが弓を射る方が早かった。
弓矢で打ち抜かれてウニは動かなくなる。
「中は大変そうだね」
ルフォンは再び中を覗き込むとウニやらコンブがたくさんいるのが見える。
突っ込んでいって戦うのはやはり得策ではない。
「それでもあいつらは動かなかったな」
ただこの突入で分かったことがある。
コアルームに立ち入っただけでは、大ウニや大コンブは動き出さなかったということだ。
もっと近づかなきゃいけないのか、仲間が倒されなきゃ動かないのか知らないが、多少戦っても邪魔はしないかもしれない。
もう一つは最後に飛び出してきたウニがいるということだ。
コアルームから飛び出してきた。
つまり部屋から出られないのは、何か魔法的なもので防がれているとかそうされているからではなく、自分の意思で出ないのであると分かった。
大ウニ、あるいはその上からの指示があるのだろう。
「慌てて戻ろうとしてたね」
飛び出してきたウニは慌てて中に戻ろうとした。
出られないわけじゃないけど、出ることに対して大きな心理的な枷がある。
「利用できそうだな」
それを利用してまずは入り口付近にいるウニを片付けようとリュードはニヤリと笑った。
悪知恵は人の方が働く。
入り口から飛び出して行きたくないウニは入り口から入ってくるリュードたちに向かってすぐには飛び込めない。
だから速攻で入って速攻でウニに打撃を与えて逃げるのだ。
ウニが力を溜めて突撃する前に何体か倒して逃げることを繰り返す。
ずるいやり方だと言う気持ちはみんなあるけど、命をかけた魔物との戦いで高潔さを求める方がバカである。
「おりゃ!」
「リュード、ルフォン、来るよ!」
「オッケー!」
リュードとルフォンがサッと中に入ってコンブやウニを攻撃する。
ラストたちは外から様子を見てウニが突撃しそうになったら声をかける。
「あとは行くしかないか……」
ヒットアンドアウェイ作戦を繰り返して、入り口付近のウニをあらかた倒した。
けれど大ウニと大コンブは動かず、他のウニも入り口に寄ってこないようになってしまった。
「流石に入り口付近だけで、全部が片付けられるほど楽じゃないか」
「デッカいの動かないね」
大ウニと大コンブの行動パターンがわからない。
近づいたら動き出すのか、一定の範囲内でしか戦わないのか、もしかしたらもっとウニやコンブが減れば動くのかもしれない。
何かのタイミングで不意に動かれるのが一番厄介だ。
「……俺が大ウニと大コンブを引きつける」
むしろ近づいてしまってハッキリと動かしてしまった方が安全かもしれない。
リスクは大きいけど、これまでみんなもウニとコンブを倒してきた。
リュードのような高い実力はなくともしっかりと戦うことができる人たちで、大ウニと大コンブの乱入がなければコアルームにいる大量のウニとコンブ相手でも立ち回れる。
危なくなったらコアルーム前に退けばいいという安全策もある。
だからもうあとは突撃して一気に勝負を仕掛けるつもりだった。
「やりましょう」
他の冒険者たちもリュードにばかり責任を押し付けていられないと頷く。
「コユキは俺にのみ神聖力をくれ」
「分かった!」
「ニャロは広くみんなのフォロー頼むぞ」
「やったるにゃ!」
まずはどこまで近寄れば大ウニと大コンブが動き出すか確かめる。
「ぬん!」
コユキがリュード一人に神聖力を集中させて強化する。
なんとなくだけどニャロの強化支援は優しく包み込むような感じで、コユキの強化支援は強く背中を押してくれるような勇気をもらえる感じがある。
「行ってくる」
「いってらっしゃい!」
「そんな軽い感じで……ま、いっか。いってらっしゃいリュード」
「頑張るにゃー」
「にゃー!」
次はお前たちも行くんだぞと思いながらも、微笑んでリュードは走り出す。
コアルームにリュードが入ってきてウニたちが針を動かしてざわめくが、ウニが突撃し始めるよりも早く大ウニに接近する。
「意外とのんびり屋さんだな!」
また動き出さないのかと思っていたけど結構な距離まで来てようやく大ウニの針が動き出した。
一本一本がランスのように太い針が動くと脅威を感じる。
「おっと、おおっと!?」
しかし先にリュードを攻撃してきたのは大コンブの方だった。
リュードの背の高さほどの横幅がある大コンブが振り下ろされる。
床が砕け、嫌が応にもその威力を見せつけてくる。
その間に大ウニも動いていて、針を動かして転がってくる。
ただ転がっているだけなのに床が削れ、振動を感じる。
大きいので転がるだけでも速く、当たったら致命的なダメージになってしまうだろう。
あんなもの受けることもできないと察したリュードは横に転がって大ウニをかわした。
「ここでも連携取ってくるのかよ!」
転がる大ウニの先に大コンブの触手が待ち構えていた。
しなやかに大ウニを受け止めた大コンブはパチンコのようにグーっとしなると、リュードを目がけて大ウニを打ち出した。
「ラストにお任せぇ!」
リュードにかわされてウニの一匹がコアルームから飛び出してきた。
慌てて回転することも忘れてコアルームの方に跳んでいこうとするが、ラストが弓を射る方が早かった。
弓矢で打ち抜かれてウニは動かなくなる。
「中は大変そうだね」
ルフォンは再び中を覗き込むとウニやらコンブがたくさんいるのが見える。
突っ込んでいって戦うのはやはり得策ではない。
「それでもあいつらは動かなかったな」
ただこの突入で分かったことがある。
コアルームに立ち入っただけでは、大ウニや大コンブは動き出さなかったということだ。
もっと近づかなきゃいけないのか、仲間が倒されなきゃ動かないのか知らないが、多少戦っても邪魔はしないかもしれない。
もう一つは最後に飛び出してきたウニがいるということだ。
コアルームから飛び出してきた。
つまり部屋から出られないのは、何か魔法的なもので防がれているとかそうされているからではなく、自分の意思で出ないのであると分かった。
大ウニ、あるいはその上からの指示があるのだろう。
「慌てて戻ろうとしてたね」
飛び出してきたウニは慌てて中に戻ろうとした。
出られないわけじゃないけど、出ることに対して大きな心理的な枷がある。
「利用できそうだな」
それを利用してまずは入り口付近にいるウニを片付けようとリュードはニヤリと笑った。
悪知恵は人の方が働く。
入り口から飛び出して行きたくないウニは入り口から入ってくるリュードたちに向かってすぐには飛び込めない。
だから速攻で入って速攻でウニに打撃を与えて逃げるのだ。
ウニが力を溜めて突撃する前に何体か倒して逃げることを繰り返す。
ずるいやり方だと言う気持ちはみんなあるけど、命をかけた魔物との戦いで高潔さを求める方がバカである。
「おりゃ!」
「リュード、ルフォン、来るよ!」
「オッケー!」
リュードとルフォンがサッと中に入ってコンブやウニを攻撃する。
ラストたちは外から様子を見てウニが突撃しそうになったら声をかける。
「あとは行くしかないか……」
ヒットアンドアウェイ作戦を繰り返して、入り口付近のウニをあらかた倒した。
けれど大ウニと大コンブは動かず、他のウニも入り口に寄ってこないようになってしまった。
「流石に入り口付近だけで、全部が片付けられるほど楽じゃないか」
「デッカいの動かないね」
大ウニと大コンブの行動パターンがわからない。
近づいたら動き出すのか、一定の範囲内でしか戦わないのか、もしかしたらもっとウニやコンブが減れば動くのかもしれない。
何かのタイミングで不意に動かれるのが一番厄介だ。
「……俺が大ウニと大コンブを引きつける」
むしろ近づいてしまってハッキリと動かしてしまった方が安全かもしれない。
リスクは大きいけど、これまでみんなもウニとコンブを倒してきた。
リュードのような高い実力はなくともしっかりと戦うことができる人たちで、大ウニと大コンブの乱入がなければコアルームにいる大量のウニとコンブ相手でも立ち回れる。
危なくなったらコアルーム前に退けばいいという安全策もある。
だからもうあとは突撃して一気に勝負を仕掛けるつもりだった。
「やりましょう」
他の冒険者たちもリュードにばかり責任を押し付けていられないと頷く。
「コユキは俺にのみ神聖力をくれ」
「分かった!」
「ニャロは広くみんなのフォロー頼むぞ」
「やったるにゃ!」
まずはどこまで近寄れば大ウニと大コンブが動き出すか確かめる。
「ぬん!」
コユキがリュード一人に神聖力を集中させて強化する。
なんとなくだけどニャロの強化支援は優しく包み込むような感じで、コユキの強化支援は強く背中を押してくれるような勇気をもらえる感じがある。
「行ってくる」
「いってらっしゃい!」
「そんな軽い感じで……ま、いっか。いってらっしゃいリュード」
「頑張るにゃー」
「にゃー!」
次はお前たちも行くんだぞと思いながらも、微笑んでリュードは走り出す。
コアルームにリュードが入ってきてウニたちが針を動かしてざわめくが、ウニが突撃し始めるよりも早く大ウニに接近する。
「意外とのんびり屋さんだな!」
また動き出さないのかと思っていたけど結構な距離まで来てようやく大ウニの針が動き出した。
一本一本がランスのように太い針が動くと脅威を感じる。
「おっと、おおっと!?」
しかし先にリュードを攻撃してきたのは大コンブの方だった。
リュードの背の高さほどの横幅がある大コンブが振り下ろされる。
床が砕け、嫌が応にもその威力を見せつけてくる。
その間に大ウニも動いていて、針を動かして転がってくる。
ただ転がっているだけなのに床が削れ、振動を感じる。
大きいので転がるだけでも速く、当たったら致命的なダメージになってしまうだろう。
あんなもの受けることもできないと察したリュードは横に転がって大ウニをかわした。
「ここでも連携取ってくるのかよ!」
転がる大ウニの先に大コンブの触手が待ち構えていた。
しなやかに大ウニを受け止めた大コンブはパチンコのようにグーっとしなると、リュードを目がけて大ウニを打ち出した。


