「まさかこんなタイミングで……いえ、こんなタイミングだからでしょうか」
大嵐による川の氾濫が起きないように、細心の注意を払った。
湧き出る水を適正に抑えることもなかなか大変な作業で、嵐が長く続いたので休まる暇もなかった。
敵はそんな大嵐に隠れて近づいてきたのだ。
そしてウンディーネたちは大きな困難を乗り越えて、各々思い思いに休んでいたところに襲撃された。
ガラーシャは新しい縛り方を試しているところに、大カニが大ホタテで扉を破壊して押し入ってきたのだ。
最悪のタイミングだった。
しかし慌てて転んだ際に、自分で縛っていたロープで自分が抵抗できないように縛られることになった。
下手に抵抗しなかったから無事で済んだとすごくポジティブにも考えられるかもしれない。
戦っていたら怪我を負わされたり、もしかしたら殺されていた可能性だってあるのだ。
「アリーシャやニルーシャ、ネローシャは?」
「分からない……私のところはこちらの方々が来てくださって無事でしたが他のところはどうなっているのか。外から見た時に水が止まっていたらしいのでナガーシャと同じような状況にあると思います……」
ナガーシャとガラーシャは暗い顔をしてため息をつく。
ナガーシャは無事だったし、ガラーシャはセルフ拘束によって放っておかれて何もされなかった。
ただ他の神の配下にある魔物たちが、他のウンディーネたちに何もしないのかどうかは分からない。
他のウンディーネたちが今どういう状況にあるのか確かめる術もないのだ。
「しかしです! 今は我らが主が言っていた神のお助け人が来てくださっています! ……まだ希望はあります!」
「そうですね! まだみんながやられたと決まったわけじゃないですし助け出しましょう!」
「神が導きしお助け人を我々が導き、みんなを助けましょー!」
過去の恥ずかしさを吹き飛ばすようにガラーシャもやる気を見せる。
二人がやる気を出して扉を直したり水を生み出す石像を修復したりしている間に、リュードたちは大カニや大ホタテを調理していた。
魔物は強いほど美味いのが大体である。
つまり通常のカニよりも大カニの方が美味いのだ。
生でも食べるが茹でたり焼いたりもする。
こんなにカニ尽くし前の世界で食べたらいくらになるだろう、なんてリュードは頭の片隅で考えていた。
「ふうぅん!」
ガラーシャが魔力を込めると床や扉が直っていく。
そして魚の石像にも魔力を込めていくとカッと目が光って口から水が吹き出し始めた。
「ふーむ……」
石像の後ろの方で手をかざして集中していたガラーシャは悩ましげに眉を寄せている。
「どうした?」
「ナガーシャのところを含めて2ヶ所取り戻しましたのでもう少し中の様子を確かめてみたのです」
「それでどうだった?」
「本当なら中心部を取り戻すのがいいのですがナガーシャのいう通りに中心部は現在隔離されています。やはり他の部屋から取り戻さなきゃいけないですね。あとは機能の一部が乗っ取られています」
「機能ってのは?」
「ここは元々ダンジョンだったので中の構造を一部変化させられるようになっているんです。要するに迷路みたいになった道に壁を出し入れできるのですが、勝手に色々壁を消したり出したりしていますね。……そのせいで他の部屋に行くにも遠回りしなきゃいけないです」
幸い城の中の様子はナガーシャやガラーシャも確認できる。
道が変わっても迷子になることはない。
「なるほどね……面倒なことをしてくれるもんだ」
「全ての部屋を取り戻せばこちらの方からコントロール出来るのですが二ヶ所だけだと無理ですね」
「結局のところ全部倒して全部取り戻す。一番シンプルな答えだな」
やることに変わりはない。
どの順番で敵を倒して解放するかの違いだけであり、最終的に全て解放するつもりであった。
「他のウンディーネさんたちも心配だもんね」
「ま、私たちならちょちょいのちょーいだよ」
「ちょーい」
どうにか楽な方法はないかと探ってくれたようだけど、リュードたちがやるべきは最初から何も変わらなかった。
他の部屋にも行って他の神の配下を倒してウンディーネを救い出す。
知恵を巡らせるより単純な解決法の方が早いことも意外と多いのだ。
「なら次はどこだ?」
「順番的にも次ですし、一番心配な子……ニルーシャのところに向かいましょう」
次の方針は決まった。
けれど一定の明るさがある城の中では分からなかったが、外はもう日が暮れていた。
さらに大ホタテもソテーにしたりと美味しくいただいてリュードたちは休むことにした。
ウンディーネを早く助けてやりたい気持ちはあるが焦って、事をし損じれば助けられるウンディーネも助けられなくなる。
カニとホタテとの戦いも大変だった。
扉があれば敵襲があった時に起きて準備をするぐらいの時間はできる。
見張りはやる気を燃やすナガーシャとガラーシャに任せて、リュードたちは安心してぐっすりと眠ることが出来たのだった。
大嵐による川の氾濫が起きないように、細心の注意を払った。
湧き出る水を適正に抑えることもなかなか大変な作業で、嵐が長く続いたので休まる暇もなかった。
敵はそんな大嵐に隠れて近づいてきたのだ。
そしてウンディーネたちは大きな困難を乗り越えて、各々思い思いに休んでいたところに襲撃された。
ガラーシャは新しい縛り方を試しているところに、大カニが大ホタテで扉を破壊して押し入ってきたのだ。
最悪のタイミングだった。
しかし慌てて転んだ際に、自分で縛っていたロープで自分が抵抗できないように縛られることになった。
下手に抵抗しなかったから無事で済んだとすごくポジティブにも考えられるかもしれない。
戦っていたら怪我を負わされたり、もしかしたら殺されていた可能性だってあるのだ。
「アリーシャやニルーシャ、ネローシャは?」
「分からない……私のところはこちらの方々が来てくださって無事でしたが他のところはどうなっているのか。外から見た時に水が止まっていたらしいのでナガーシャと同じような状況にあると思います……」
ナガーシャとガラーシャは暗い顔をしてため息をつく。
ナガーシャは無事だったし、ガラーシャはセルフ拘束によって放っておかれて何もされなかった。
ただ他の神の配下にある魔物たちが、他のウンディーネたちに何もしないのかどうかは分からない。
他のウンディーネたちが今どういう状況にあるのか確かめる術もないのだ。
「しかしです! 今は我らが主が言っていた神のお助け人が来てくださっています! ……まだ希望はあります!」
「そうですね! まだみんながやられたと決まったわけじゃないですし助け出しましょう!」
「神が導きしお助け人を我々が導き、みんなを助けましょー!」
過去の恥ずかしさを吹き飛ばすようにガラーシャもやる気を見せる。
二人がやる気を出して扉を直したり水を生み出す石像を修復したりしている間に、リュードたちは大カニや大ホタテを調理していた。
魔物は強いほど美味いのが大体である。
つまり通常のカニよりも大カニの方が美味いのだ。
生でも食べるが茹でたり焼いたりもする。
こんなにカニ尽くし前の世界で食べたらいくらになるだろう、なんてリュードは頭の片隅で考えていた。
「ふうぅん!」
ガラーシャが魔力を込めると床や扉が直っていく。
そして魚の石像にも魔力を込めていくとカッと目が光って口から水が吹き出し始めた。
「ふーむ……」
石像の後ろの方で手をかざして集中していたガラーシャは悩ましげに眉を寄せている。
「どうした?」
「ナガーシャのところを含めて2ヶ所取り戻しましたのでもう少し中の様子を確かめてみたのです」
「それでどうだった?」
「本当なら中心部を取り戻すのがいいのですがナガーシャのいう通りに中心部は現在隔離されています。やはり他の部屋から取り戻さなきゃいけないですね。あとは機能の一部が乗っ取られています」
「機能ってのは?」
「ここは元々ダンジョンだったので中の構造を一部変化させられるようになっているんです。要するに迷路みたいになった道に壁を出し入れできるのですが、勝手に色々壁を消したり出したりしていますね。……そのせいで他の部屋に行くにも遠回りしなきゃいけないです」
幸い城の中の様子はナガーシャやガラーシャも確認できる。
道が変わっても迷子になることはない。
「なるほどね……面倒なことをしてくれるもんだ」
「全ての部屋を取り戻せばこちらの方からコントロール出来るのですが二ヶ所だけだと無理ですね」
「結局のところ全部倒して全部取り戻す。一番シンプルな答えだな」
やることに変わりはない。
どの順番で敵を倒して解放するかの違いだけであり、最終的に全て解放するつもりであった。
「他のウンディーネさんたちも心配だもんね」
「ま、私たちならちょちょいのちょーいだよ」
「ちょーい」
どうにか楽な方法はないかと探ってくれたようだけど、リュードたちがやるべきは最初から何も変わらなかった。
他の部屋にも行って他の神の配下を倒してウンディーネを救い出す。
知恵を巡らせるより単純な解決法の方が早いことも意外と多いのだ。
「なら次はどこだ?」
「順番的にも次ですし、一番心配な子……ニルーシャのところに向かいましょう」
次の方針は決まった。
けれど一定の明るさがある城の中では分からなかったが、外はもう日が暮れていた。
さらに大ホタテもソテーにしたりと美味しくいただいてリュードたちは休むことにした。
ウンディーネを早く助けてやりたい気持ちはあるが焦って、事をし損じれば助けられるウンディーネも助けられなくなる。
カニとホタテとの戦いも大変だった。
扉があれば敵襲があった時に起きて準備をするぐらいの時間はできる。
見張りはやる気を燃やすナガーシャとガラーシャに任せて、リュードたちは安心してぐっすりと眠ることが出来たのだった。


