ワラワラと押し寄せるカニと戦う。
ホタテの魔法も数は多いが、ほとんどの魔法が正面から直線で飛んでくるので対処のしようはある。
これならカニを倒し尽くすのも時間の問題だ。
「リューちゃん、あれ!」
「……ウソだろ?」
「ああやって移動していたのかにゃ」
かわしきれずにホタテの魔法を食らう冒険者もいたが、コユキとニャロに素早く治療してもらって戦闘に復帰してリュードたちの戦力に問題はなかった。
カニの数も減ってきたし、大カニや大ホタテはなぜか動かないし押し切れると思っていたら、向こうも本気を出してきた。
「おぉ〜!」
何とびっくりカニがホタテを持ち上げた。
固定砲台だったホタテがこれによって移動砲台となる。
どうやってこんなところまで来たのか疑問だったけれど、こんなトリックがあったのか。
移動の絵面を思えば可愛らしくもあるけれど、ホタテを掲げて迫ってくるカニの脅威を思えば今のところ笑えない。
「こ、こいつぅ!」
ラストの放った矢をカニがホタテを前に出して、盾よろしく防いでみせた。
カニがホタテを持ち上げたのはただの移動手段ではない。
せっかくホタテの魔法が飛んでくる位置にも慣れてきたのに、カニがホタテを持って移動するせいで色んなところから水の玉が飛んでくる。
遠くから魔法を放つカニホタテもいれば、カニの素早さとホタテの硬さを生かして接近して攻撃してくるカニホタテもいる。
「おっと!」
ホタテの魔法だけでなくホタテを振り下ろしてきたりと相手するのが面倒になった。
見事な協力関係に舌を巻く。
カニはホタテにない機動力を補い、ホタテは単調な接近攻撃しかできないカニの攻撃にパターンを増やす。
互いが互いを上手く補完しあっていた。
魔法を使いながら隙あらば接近してホタテや爪で攻撃し、攻撃されるとホタテを盾にする。
なんというか、すごいめんどくさい。
「邪魔……だ!」
剣を振り下ろすリュード。
カニは剣をホタテで受け止める。
しかしリュードの攻撃はそれで終わらず、すぐさまホタテを強く蹴り上げた。
カニの爪からホタテが飛んでいき衝撃でカニが後ろに転がる。
その隙をついてカニの胴体を切り裂く。
面倒ではあるが、戦いようがないこともない。
ホタテを盾にしているが、人が使うみたいにカニに固定しているのでもなくただ前に出して防ぐだけ。
ルフォンなんかはカニよりも素早いので上手く攻撃やホタテの盾を避けてカニ本体を攻撃している。
他のみんなもカニ一体に対して二人以上で当たるようにしてホタテの盾に防がれないところから攻撃していた。
上手い連携だと思ったけど、案外デメリットもあった。
カニはこれまで素早さを生かしたように戦ってきたのだけど、ホタテという防御手段を得たおかげで攻撃に対しての反応が回避ではなく防御を優先するようになっていた。
その結果としてやや素早さを損なう形になっていることに気づいていない。
あとホタテを前に出して防ぐと前が見えないのか、側面に回り込むのも意外とやりやすかった。
ホタテを持っているのと持っていないのどちらがいいとも言いがたいが、慣れてくればホタテを持ってようと持っていまいとそれほど差はなかった。
ホタテの魔法が殺傷力が低いのもある。
マトモにぶち当たるとかなりの衝撃はあるが、死にはしないので精神的な余裕もある。
むしろコユキに治してもらえると思う冒険者もいるほどだ。
ホタテは完全に無視をしてカニをどんどん倒していく。
不思議なことに大カニと大ホタテはそれでも水出し部屋の真ん中から動かない。
カニの数は減っていって残っているのは大量のホタテと遠距離攻撃ばかりしていたカニホタテ、それと部屋の真ん中に鎮座する大カニと大ホタテのみになった。
「ガラーシャ、生きてるー?」
「うっ……ナガーシャ? はっ、だ、ダメ……こんな姿見ないで!」
「良かった生きてる……待っててね、今助けてあげるから!」
ガラーシャはこの戦いの最中もみじろぎ一つしなかった。
カニを倒して余裕もでき、心配になったナガーシャが声をかけるとガラーシャがモゾモゾと動き出した。
気を失っていたようである。
「チッ……動く気はないのか」
ずっと一貫して大カニや大ホタテは部屋の真ん中にいる。
周りには沢山のホタテがいる。
つまりアイツらと戦おうと思ったら周りから魔法を放たれまくることを覚悟して戦わねばならないのだ。
自分が優位に戦える場所を分かっていて動かないでいるのかもしれない。
「俺が入る」
みんなで戦うのは避ける。
少ない人数で戦うことのリスクもあるが、あまり多い人数で行ってもホタテの魔法に対する射線管理ができない。
他の人を狙った魔法に当たるという事故も起きかねない。
魔法は集中してしまうけど、自分に向けて放たれていると分かっていた方が回避がしやすいとリュードは考えた。
「そっちもやる気か?」
リュードがかかってくる気配を感じたのか大カニが大ホタテを爪で持ち上げた。
「いくぞ!」
「いくにゃー!」
「にゃー!」
「わ、私も!」
リュードが駆け出し、聖職者たちが強化支援する。
大カニもリュードに向かって前に進み出す。
リュードの身長よりも大きなカニが前に進んでくるのだけど、前に進むカニの姿は未だに違和感を拭いきれなくて気持ち悪く感じられる。
「うおっ!」
リュードの剣を大ホタテで受ける。
次にどうするのかと思っていたら大カニは大ホタテを片手で持って縦に振り下ろしてきた。
思いもよらない攻撃を横に飛んで回避する。
大ホタテが床に当たって大きく床が砕け散る。
対して大ホタテの貝殻には欠けたところもなく高い威力と大ホタテの硬さをうかがわせる。
ホタテの魔法も数は多いが、ほとんどの魔法が正面から直線で飛んでくるので対処のしようはある。
これならカニを倒し尽くすのも時間の問題だ。
「リューちゃん、あれ!」
「……ウソだろ?」
「ああやって移動していたのかにゃ」
かわしきれずにホタテの魔法を食らう冒険者もいたが、コユキとニャロに素早く治療してもらって戦闘に復帰してリュードたちの戦力に問題はなかった。
カニの数も減ってきたし、大カニや大ホタテはなぜか動かないし押し切れると思っていたら、向こうも本気を出してきた。
「おぉ〜!」
何とびっくりカニがホタテを持ち上げた。
固定砲台だったホタテがこれによって移動砲台となる。
どうやってこんなところまで来たのか疑問だったけれど、こんなトリックがあったのか。
移動の絵面を思えば可愛らしくもあるけれど、ホタテを掲げて迫ってくるカニの脅威を思えば今のところ笑えない。
「こ、こいつぅ!」
ラストの放った矢をカニがホタテを前に出して、盾よろしく防いでみせた。
カニがホタテを持ち上げたのはただの移動手段ではない。
せっかくホタテの魔法が飛んでくる位置にも慣れてきたのに、カニがホタテを持って移動するせいで色んなところから水の玉が飛んでくる。
遠くから魔法を放つカニホタテもいれば、カニの素早さとホタテの硬さを生かして接近して攻撃してくるカニホタテもいる。
「おっと!」
ホタテの魔法だけでなくホタテを振り下ろしてきたりと相手するのが面倒になった。
見事な協力関係に舌を巻く。
カニはホタテにない機動力を補い、ホタテは単調な接近攻撃しかできないカニの攻撃にパターンを増やす。
互いが互いを上手く補完しあっていた。
魔法を使いながら隙あらば接近してホタテや爪で攻撃し、攻撃されるとホタテを盾にする。
なんというか、すごいめんどくさい。
「邪魔……だ!」
剣を振り下ろすリュード。
カニは剣をホタテで受け止める。
しかしリュードの攻撃はそれで終わらず、すぐさまホタテを強く蹴り上げた。
カニの爪からホタテが飛んでいき衝撃でカニが後ろに転がる。
その隙をついてカニの胴体を切り裂く。
面倒ではあるが、戦いようがないこともない。
ホタテを盾にしているが、人が使うみたいにカニに固定しているのでもなくただ前に出して防ぐだけ。
ルフォンなんかはカニよりも素早いので上手く攻撃やホタテの盾を避けてカニ本体を攻撃している。
他のみんなもカニ一体に対して二人以上で当たるようにしてホタテの盾に防がれないところから攻撃していた。
上手い連携だと思ったけど、案外デメリットもあった。
カニはこれまで素早さを生かしたように戦ってきたのだけど、ホタテという防御手段を得たおかげで攻撃に対しての反応が回避ではなく防御を優先するようになっていた。
その結果としてやや素早さを損なう形になっていることに気づいていない。
あとホタテを前に出して防ぐと前が見えないのか、側面に回り込むのも意外とやりやすかった。
ホタテを持っているのと持っていないのどちらがいいとも言いがたいが、慣れてくればホタテを持ってようと持っていまいとそれほど差はなかった。
ホタテの魔法が殺傷力が低いのもある。
マトモにぶち当たるとかなりの衝撃はあるが、死にはしないので精神的な余裕もある。
むしろコユキに治してもらえると思う冒険者もいるほどだ。
ホタテは完全に無視をしてカニをどんどん倒していく。
不思議なことに大カニと大ホタテはそれでも水出し部屋の真ん中から動かない。
カニの数は減っていって残っているのは大量のホタテと遠距離攻撃ばかりしていたカニホタテ、それと部屋の真ん中に鎮座する大カニと大ホタテのみになった。
「ガラーシャ、生きてるー?」
「うっ……ナガーシャ? はっ、だ、ダメ……こんな姿見ないで!」
「良かった生きてる……待っててね、今助けてあげるから!」
ガラーシャはこの戦いの最中もみじろぎ一つしなかった。
カニを倒して余裕もでき、心配になったナガーシャが声をかけるとガラーシャがモゾモゾと動き出した。
気を失っていたようである。
「チッ……動く気はないのか」
ずっと一貫して大カニや大ホタテは部屋の真ん中にいる。
周りには沢山のホタテがいる。
つまりアイツらと戦おうと思ったら周りから魔法を放たれまくることを覚悟して戦わねばならないのだ。
自分が優位に戦える場所を分かっていて動かないでいるのかもしれない。
「俺が入る」
みんなで戦うのは避ける。
少ない人数で戦うことのリスクもあるが、あまり多い人数で行ってもホタテの魔法に対する射線管理ができない。
他の人を狙った魔法に当たるという事故も起きかねない。
魔法は集中してしまうけど、自分に向けて放たれていると分かっていた方が回避がしやすいとリュードは考えた。
「そっちもやる気か?」
リュードがかかってくる気配を感じたのか大カニが大ホタテを爪で持ち上げた。
「いくぞ!」
「いくにゃー!」
「にゃー!」
「わ、私も!」
リュードが駆け出し、聖職者たちが強化支援する。
大カニもリュードに向かって前に進み出す。
リュードの身長よりも大きなカニが前に進んでくるのだけど、前に進むカニの姿は未だに違和感を拭いきれなくて気持ち悪く感じられる。
「うおっ!」
リュードの剣を大ホタテで受ける。
次にどうするのかと思っていたら大カニは大ホタテを片手で持って縦に振り下ろしてきた。
思いもよらない攻撃を横に飛んで回避する。
大ホタテが床に当たって大きく床が砕け散る。
対して大ホタテの貝殻には欠けたところもなく高い威力と大ホタテの硬さをうかがわせる。


