この城にはナガーシャがいた場所のような水を生み出す部屋が四つあり、中枢となる大きな場所が一つがあるという構造であるらしい。
四つの部屋それぞれにウンディーネが一人ずつ配置されていて水を生み出して外に流している。
「水が少なくなっているということは機能に障害が出ている……他のウンディーネたちがちゃんと活動できていないということですね」
ナガーシャによると他三か所は占領されてしまっているようだ。
水が出ていないことからもウンディーネたちが囚われている可能性があるらしい。
どうにも他の部屋には別の魔物が向かっていたようで、ナガーシャのところに来ていたリザードマンは中でも弱い魔物の部類だったので助かった。
けれど他の部屋の正確な状況はナガーシャにも分からなかった。
「ここは元々ダンジョンだった場所を改良したのです」
ちなみにこんな不思議な城どうやって建てたのか聞いてみたら元々ここはダンジョンだったらしい。
今よりももっと弱く水を噴き出すダンジョン城であって、長年放置されていつの間にか小さい湖ができていた。
それに目をつけたウォークアが神の力と人の協力でダンジョンだった城を水を生み出す機関としたのだ。
当時は世界も魔力に満ちていて、平和で、神の力も強くてそんなことが出来た。
しかし城の改良に力を使ってしまって聖域することは出来なかったのである。
元々迷路のようなダンジョンであった城を、構造に大きく手を加えずに利用している。
だから中の構造が入り組んだようになっている。
川が出来たりその川沿いに人が集まって町ができたのは、もっとずっと後のことだった。
ウンディーネも代替わりしているので当時のことは話でしか知らないようである。
「近くに魔物はいませんし、ここの中なら外よりも安全なので少しお休みください」
ナガーシャが扉に手をかざして魔力を込めると扉が閉まる。
そしてさらに魔力を込めていくとボロボロで歪んでいた扉がゆっくりと直っていく。
これは神の力よりもダンジョンとしての機能の方が近い。
「それで俺たちはどうしたら良い?」
やることはなんとなく想像つく。
ただ他にやるべきことや効率がいい方法があるなら知りたい。
「部屋を開放して私の仲間たちを助けていくしかありません。そもそもこんな風に襲われるなんて、想定していないので特別に防衛機能とかもないのです……」
「そう都合良くはいかないか」
「それと順番としては四つの部屋を開放してから真ん中ですね」
「なんでだ? 別に行けるんなら……」
真ん中の大きな部屋が城の機能の大きな部分を占めるらしい。
まず水を回復させるという考えなら真ん中に向かうべきである。
「行けないんです」
「なんでだ?」
「中枢となっている真ん中の部屋は大事なので隔離する事ができるようになっているのですが、勢いよく敵に入り込まれて占領されてしまいました。今はその隔離のシステムを利用されて外から入れないようにされてしまっています」
ナガーシャはしょんぼりとした顔をする。
「それじゃあ解放出来ないのか?」
「いえ、四つの部屋全てを取り戻せば外からでも開けられるんです」
「なるほどな。だから先に他の部屋を解放しなきゃいけないと」
「その通りです。全くもって情けない話ですが……」
方針は固まった。
面倒ではあるけれど分かりやすいし、残り三つの部屋を解放してウンディーネたちを救い出すことから始める。
「ウンディーネは戦えないのか?」
精霊は魔法が使えるはず。
ウンディーネは上級精霊でそれなりに強いはずだ。
「私たちも戦えるのですが先日の大きな嵐の時に城の機能をコントロールするのに力を使い果たしてしまいまして……それでも相手の数が多かったので押し返せたかはちょっと分かりません」
「それじゃあ仕方ないか」
「うぅ……私も闘うか迷ったのですが倒しきれそうもないので扉を閉ざして籠城していたのです。リュード様たちが来てくださらなければどうなっていたか……」
ウンディーネも一応戦える。
しかし嵐のために色々と頑張った結果今のナガーシャは戦力とはなれなかった。
「過ぎたことをクヨクヨしてもしょうがない。ここから反撃だ」
「よろしくお願いします!」
部屋の扉を固く閉ざして出発する。
離れるのは不安であるがなかなか複雑な城を道案内する必要があるし、もし仮に他のウンディーネたちが動けない状態にされていたら機能の回復はナガーシャがやるしかない。
水を生み出す部屋は大体城の角に位置している。
時計回りにそれぞれ順番に攻略していくことになった。
「お役に立てずすいません」
「しょうがないさ」
ウンディーネたちが負けたのは、力を使い果たしただけではなかった。
相手は水系の神の配下であって水を得意とする魔物たちである。
水に対する抵抗力が高くて、水魔法を主体として闘うウンディーネたちでは相性が悪かった。
マーマンぐらいならナガーシャでも全く問題はないけど、やはり力は完全ではないようなので案内に徹してもらう。
複雑な道をナガーシャの案内で歩いていくと中の様子が少し変わってきた。
通路の幅が広くなり岩だった壁が透明なガラスのようなものになった。
四つの部屋それぞれにウンディーネが一人ずつ配置されていて水を生み出して外に流している。
「水が少なくなっているということは機能に障害が出ている……他のウンディーネたちがちゃんと活動できていないということですね」
ナガーシャによると他三か所は占領されてしまっているようだ。
水が出ていないことからもウンディーネたちが囚われている可能性があるらしい。
どうにも他の部屋には別の魔物が向かっていたようで、ナガーシャのところに来ていたリザードマンは中でも弱い魔物の部類だったので助かった。
けれど他の部屋の正確な状況はナガーシャにも分からなかった。
「ここは元々ダンジョンだった場所を改良したのです」
ちなみにこんな不思議な城どうやって建てたのか聞いてみたら元々ここはダンジョンだったらしい。
今よりももっと弱く水を噴き出すダンジョン城であって、長年放置されていつの間にか小さい湖ができていた。
それに目をつけたウォークアが神の力と人の協力でダンジョンだった城を水を生み出す機関としたのだ。
当時は世界も魔力に満ちていて、平和で、神の力も強くてそんなことが出来た。
しかし城の改良に力を使ってしまって聖域することは出来なかったのである。
元々迷路のようなダンジョンであった城を、構造に大きく手を加えずに利用している。
だから中の構造が入り組んだようになっている。
川が出来たりその川沿いに人が集まって町ができたのは、もっとずっと後のことだった。
ウンディーネも代替わりしているので当時のことは話でしか知らないようである。
「近くに魔物はいませんし、ここの中なら外よりも安全なので少しお休みください」
ナガーシャが扉に手をかざして魔力を込めると扉が閉まる。
そしてさらに魔力を込めていくとボロボロで歪んでいた扉がゆっくりと直っていく。
これは神の力よりもダンジョンとしての機能の方が近い。
「それで俺たちはどうしたら良い?」
やることはなんとなく想像つく。
ただ他にやるべきことや効率がいい方法があるなら知りたい。
「部屋を開放して私の仲間たちを助けていくしかありません。そもそもこんな風に襲われるなんて、想定していないので特別に防衛機能とかもないのです……」
「そう都合良くはいかないか」
「それと順番としては四つの部屋を開放してから真ん中ですね」
「なんでだ? 別に行けるんなら……」
真ん中の大きな部屋が城の機能の大きな部分を占めるらしい。
まず水を回復させるという考えなら真ん中に向かうべきである。
「行けないんです」
「なんでだ?」
「中枢となっている真ん中の部屋は大事なので隔離する事ができるようになっているのですが、勢いよく敵に入り込まれて占領されてしまいました。今はその隔離のシステムを利用されて外から入れないようにされてしまっています」
ナガーシャはしょんぼりとした顔をする。
「それじゃあ解放出来ないのか?」
「いえ、四つの部屋全てを取り戻せば外からでも開けられるんです」
「なるほどな。だから先に他の部屋を解放しなきゃいけないと」
「その通りです。全くもって情けない話ですが……」
方針は固まった。
面倒ではあるけれど分かりやすいし、残り三つの部屋を解放してウンディーネたちを救い出すことから始める。
「ウンディーネは戦えないのか?」
精霊は魔法が使えるはず。
ウンディーネは上級精霊でそれなりに強いはずだ。
「私たちも戦えるのですが先日の大きな嵐の時に城の機能をコントロールするのに力を使い果たしてしまいまして……それでも相手の数が多かったので押し返せたかはちょっと分かりません」
「それじゃあ仕方ないか」
「うぅ……私も闘うか迷ったのですが倒しきれそうもないので扉を閉ざして籠城していたのです。リュード様たちが来てくださらなければどうなっていたか……」
ウンディーネも一応戦える。
しかし嵐のために色々と頑張った結果今のナガーシャは戦力とはなれなかった。
「過ぎたことをクヨクヨしてもしょうがない。ここから反撃だ」
「よろしくお願いします!」
部屋の扉を固く閉ざして出発する。
離れるのは不安であるがなかなか複雑な城を道案内する必要があるし、もし仮に他のウンディーネたちが動けない状態にされていたら機能の回復はナガーシャがやるしかない。
水を生み出す部屋は大体城の角に位置している。
時計回りにそれぞれ順番に攻略していくことになった。
「お役に立てずすいません」
「しょうがないさ」
ウンディーネたちが負けたのは、力を使い果たしただけではなかった。
相手は水系の神の配下であって水を得意とする魔物たちである。
水に対する抵抗力が高くて、水魔法を主体として闘うウンディーネたちでは相性が悪かった。
マーマンぐらいならナガーシャでも全く問題はないけど、やはり力は完全ではないようなので案内に徹してもらう。
複雑な道をナガーシャの案内で歩いていくと中の様子が少し変わってきた。
通路の幅が広くなり岩だった壁が透明なガラスのようなものになった。


