「ここは水の神様であられるウォークア様の領域になります。事情がありまして聖域ではありませんが、近い将来にそうなってもおかしくもない場所です。そして私は神の子として個々の管理を任されている水の精霊の一体です」
「では私たちがここを聖域としているのは……」
「まだ完全には聖域ではないだけで間違いでありません。そうした信仰心もまたここを聖域にする礎となるのです」
「そうですか……良かったです」
ミルトはホッと胸を撫で下ろす。
魔物の巣を聖域だと崇めてはいなかったと分かって安心した。
それどころか将来の聖域と聞いて、喜びすら湧いてくる。
「今の状況ですが……」
そしてさらにナガーシャが今の状況を説明する。
神の醜い争いにみんな言葉を失う。
神様にそんな側面があると考えないのが普通であって、そんなロクでもない神様もいるよな、なんて考えるリュードの方が変人なのだ。
「ですのでどうかお助けください」
「もちろん、私はやります!」
水神ウォークアを信仰しているミルトは、話を聞いて二つ返事で承諾する。
他の神に聖域を荒らされてはたまらないし、ウォークアの子であるナガーシャの頼みはウォークアの頼みに等しく、断る理由なんてものはミルトにない。
他の冒険者たちも多かれ少なかれウォークアを信仰している。
協力はしたいという意見が多かったが、すぐさま賛同の人ばかりでもない。
「私たちはあくまでも偵察よ?」
「帰って人を集めるほうがいいかもしれないわね」
「けれど……そんな時間もあるかしら?」
一度ヴァネリアに戻って、人を集めるのがいいとか当然の意見も出た。
けれどナガーシャの置かれていた状況を見るとそれほど時間があるようには思えない。
「他の子も危険かもしれません……」
他にもウンディーネは四人いるようで今の状態は分からない。
ナガーシャはまだギリギリ無事でだったが、外の水が少なくなっていることから考えると他のウンディーネたちにも異変が起きている。
リザードマンが来たように、何かがやってきて捕らえられているはずだとナガーシャは言った。
水神信仰でなくともヴァネリア周辺で活動している人なら間接的にも川にお世話になっている。
川がダメになってしまったら困る。
そして何人かはリュードのことを度々見ていた。
ニャロとコユキという聖者を連れ、ルフォンやラストも高い実力を持つ。
リュード自身も実力者で判断も早くて的確、リーダーシップもある。
リュードがどう判断するのかを伺っている。
「もちろんリュードがやるならやるにゃー」
「にゃー!」
「おいおい……」
ニャロは当然の如くリュードに判断を丸投げする。
「だって私は一人じゃ非力だからにゃ! リュードたちにお世話になっている身だし全部リュードに任せるにゃ!」
「にゃん!」
コユキはニャロのマネをして腰に手を当てて胸を張る。
やめなさい、今のニャロは最高に情けないぞ、とリュードは思った。
「二人はどうだ?」
人任せな聖者ペアは放っておいて、ルフォンとラストに視線を向ける。
「困ってるなら助けてあげようよ!」
「うーん……まあここまで来ちゃってるし助けてあげるのがこの私ってところかな」
ルフォンはにっこりと笑って、ラストはキリッとした顔をしている。
「うんうん、二人とも良い子だな」
「えへへぇ〜」
「せっかくカッコよく決めたのに! あっ、やめちゃダメ」
期待していた通りの答えに嬉しくなって頭を撫でる。
人前なことを忘れての行動だったけど、ここでやめると逆に恥ずかしくなるので撫でを継続する。
口では文句言いながらもリュードが撫でやめようとすると手を取って再び頭に乗せるラスト。
ルフォンはここらへん素直に受け入れる。
いつの間にかラストも普通に撫でているが、ラストも嫌がっていないしリュードの方も人の頭を撫でるの意外と好きだった。
「こっちは?」
「にゃ?」
「コユキはともかくニャロまでなんだよ?」
「ふっ……リュードの手は大きくて優しくてあったかくて撫でられるの好きにゃ」
「すきー!」
「そうか」
「すきーにゃー!」
リュードはコユキの頭を撫でてやる。
「がーん、なんでにゃぁぁぁぁぁ!」
「そうそう女性の頭なんて撫でられるかよ」
ただしニャロの頭は撫でない。
別に撫でてもいいような気はするが、リュードだって無差別に人の頭を撫でているのではない。
いや結構撫でてるやないかい、とみんなが心の中で思うが、一応女性の頭を気軽に撫でるものではないことはリュードも理解している。
「こっちがいいって言ってるにゃ!」
「こっちだって照れるわ!」
「撫でのカリスマに断られたにゃあ!」
「おい、変なあだ名つけるな!」
やや一悶着のようなものもあったが、リュードは最終的にナガーシャに協力することを決めた。
そのためにみんなもウォークアや川のために戦うことを決めたのであった。
「では私たちがここを聖域としているのは……」
「まだ完全には聖域ではないだけで間違いでありません。そうした信仰心もまたここを聖域にする礎となるのです」
「そうですか……良かったです」
ミルトはホッと胸を撫で下ろす。
魔物の巣を聖域だと崇めてはいなかったと分かって安心した。
それどころか将来の聖域と聞いて、喜びすら湧いてくる。
「今の状況ですが……」
そしてさらにナガーシャが今の状況を説明する。
神の醜い争いにみんな言葉を失う。
神様にそんな側面があると考えないのが普通であって、そんなロクでもない神様もいるよな、なんて考えるリュードの方が変人なのだ。
「ですのでどうかお助けください」
「もちろん、私はやります!」
水神ウォークアを信仰しているミルトは、話を聞いて二つ返事で承諾する。
他の神に聖域を荒らされてはたまらないし、ウォークアの子であるナガーシャの頼みはウォークアの頼みに等しく、断る理由なんてものはミルトにない。
他の冒険者たちも多かれ少なかれウォークアを信仰している。
協力はしたいという意見が多かったが、すぐさま賛同の人ばかりでもない。
「私たちはあくまでも偵察よ?」
「帰って人を集めるほうがいいかもしれないわね」
「けれど……そんな時間もあるかしら?」
一度ヴァネリアに戻って、人を集めるのがいいとか当然の意見も出た。
けれどナガーシャの置かれていた状況を見るとそれほど時間があるようには思えない。
「他の子も危険かもしれません……」
他にもウンディーネは四人いるようで今の状態は分からない。
ナガーシャはまだギリギリ無事でだったが、外の水が少なくなっていることから考えると他のウンディーネたちにも異変が起きている。
リザードマンが来たように、何かがやってきて捕らえられているはずだとナガーシャは言った。
水神信仰でなくともヴァネリア周辺で活動している人なら間接的にも川にお世話になっている。
川がダメになってしまったら困る。
そして何人かはリュードのことを度々見ていた。
ニャロとコユキという聖者を連れ、ルフォンやラストも高い実力を持つ。
リュード自身も実力者で判断も早くて的確、リーダーシップもある。
リュードがどう判断するのかを伺っている。
「もちろんリュードがやるならやるにゃー」
「にゃー!」
「おいおい……」
ニャロは当然の如くリュードに判断を丸投げする。
「だって私は一人じゃ非力だからにゃ! リュードたちにお世話になっている身だし全部リュードに任せるにゃ!」
「にゃん!」
コユキはニャロのマネをして腰に手を当てて胸を張る。
やめなさい、今のニャロは最高に情けないぞ、とリュードは思った。
「二人はどうだ?」
人任せな聖者ペアは放っておいて、ルフォンとラストに視線を向ける。
「困ってるなら助けてあげようよ!」
「うーん……まあここまで来ちゃってるし助けてあげるのがこの私ってところかな」
ルフォンはにっこりと笑って、ラストはキリッとした顔をしている。
「うんうん、二人とも良い子だな」
「えへへぇ〜」
「せっかくカッコよく決めたのに! あっ、やめちゃダメ」
期待していた通りの答えに嬉しくなって頭を撫でる。
人前なことを忘れての行動だったけど、ここでやめると逆に恥ずかしくなるので撫でを継続する。
口では文句言いながらもリュードが撫でやめようとすると手を取って再び頭に乗せるラスト。
ルフォンはここらへん素直に受け入れる。
いつの間にかラストも普通に撫でているが、ラストも嫌がっていないしリュードの方も人の頭を撫でるの意外と好きだった。
「こっちは?」
「にゃ?」
「コユキはともかくニャロまでなんだよ?」
「ふっ……リュードの手は大きくて優しくてあったかくて撫でられるの好きにゃ」
「すきー!」
「そうか」
「すきーにゃー!」
リュードはコユキの頭を撫でてやる。
「がーん、なんでにゃぁぁぁぁぁ!」
「そうそう女性の頭なんて撫でられるかよ」
ただしニャロの頭は撫でない。
別に撫でてもいいような気はするが、リュードだって無差別に人の頭を撫でているのではない。
いや結構撫でてるやないかい、とみんなが心の中で思うが、一応女性の頭を気軽に撫でるものではないことはリュードも理解している。
「こっちがいいって言ってるにゃ!」
「こっちだって照れるわ!」
「撫でのカリスマに断られたにゃあ!」
「おい、変なあだ名つけるな!」
やや一悶着のようなものもあったが、リュードは最終的にナガーシャに協力することを決めた。
そのためにみんなもウォークアや川のために戦うことを決めたのであった。


