「あれは……魔種のリザードマンだな」
マーマンが相手なら簡単に事は片付きそうだ、なんて思っていたらマーマンとは別の姿が見えた。
見た目はトカゲにも似ているが、二足歩行の人型の姿をしているリザードマンと呼ばれる魔物だ。
魔人族の中には亜人と呼ばれる存在がいる。
それは魔人と魔物の境界線上に立つ種族のことで、その代表例がリザードマンである。
魔人化した竜人族にも近いような姿をしているリザードマンはある程度の知能を持っている。
リザードマンの中には蜥蜴人族と呼ばれる呼ばれるグループもある。
蜥蜴人族は一般に人とされ、リザードマンは魔物とされる。
さらに人とされる蜥蜴人族は賢種、魔物とされるリザードマンは魔種と言われている。
同じ種族なのに何がそれを分けるのか。
それは人との交流があるかどうかである。
その知能の高さを生かして他の人の種族を襲わずに、交流を持って文化的な生活を送り平和的に暮らしていることが人として見られる条件なのだ。
多少曖昧な基準だが、同じ種族であってそこを分ける差がリザードマン自身の気の持ちようだから仕方ない。
「リューちゃん?」
「ううむ……やっぱり気に食わない感じはあるな」
リュードは微妙そうな顔をしている。
竜人族はリザードマンを嫌っていた。
魔物との境目が微妙なところも竜人族がリザードマンと比較されるのを嫌がる理由の一つでもある。
そうなると先に見えるリザードマンが人に友好的な蜥蜴人族なのか、あるいは人に敵対的なリザードマンなのか問題がある。
「賢種なら話し合いもできるかもしれないけど……多分無理だろうな」
しかしリュードは相手を蜥蜴人族ではなく、リザードマンだと読んだ。
理由はちゃんとした服を着ていないから。
賢種の蜥蜴人族は人の生活を送っているので服を着ていることがほとんどだ。
さらに魔種のリザードマンと間違われないように赤い布を体のどこかに身につけていることが多い。
真っ裸でうろついているのは、リザードマンの方なのである。
ちなみに竜人族は蜥蜴人族と比較されることを嫌がるが、賢種の蜥蜴人族にとって竜人族は憧れの存在らしい。
下手すると人と認められるほどの知能があるリザードマンは楽な相手ではない。
マーマンと同じように戦うと痛い目を見ることだろう。
「……俺が戦ってもいいか?」
実は初リザードマンなリュードである。
竜人族としては意外と良くリザードマンの名前を聞く。
子供の冗談とか竜人族同士の煽り文句とかで聞くことがあるのだけど、実際に生のリザードマンを見たことはなかった。
本物のリザードマンがどんなものなのか気になった。
他のみんなは一瞬不思議そうな顔をした。
リュードが竜人族でリザードマンに対して興味を持っているなど知らないので仕方ない。
けれどリュードの実力が高いことは道中の動きで分かっているので許可は出た。
「コユキも応援頼むぞ」
「分かった。ケガダメ!」
「もちろんだ」
リザードマン相手に怪我させられたなんて知られたら村に一生入れてもらえないかもしれない。
「それじゃいくか!」
リザードマンは三体。
リュードもルフォンとラスト共に三人で挑む。
「はっ!」
飛び出すリュードの後ろからラストが矢を放つ。
気付くのが遅れたリザードマンの目に矢が突き刺さって甲高い悲鳴をあげる。
目に刺さった矢を抜こうと掴むが、引き抜くことも出来ずにリュードがリザードマンの首を刎ねる。
状況は分かっていないけれど敵だとリザードマンはリュードに剣を振り下ろす。
リュードは錆びついた剣をを軽くかわすと、大きく音を出すようにして足を踏み出した。
リザードマンはびくりと防御するが、リュードは剣を振らなかった。
しかしリザードマンの視界はグルリと逆さになった。
リュードは足を踏み出しただけで攻撃していない。
何が起きたのか分からないままにリザードマンの意識はブラックアウトした。
「ふふん!」
「いいぞ!」
リザードマンの首を切り落としたのはルフォンだった。
リュードが気をひきつけている間に首を落としたのだ。
「ほーら!」
仲間がやられて動揺しながらも、リザードマンはリュードに向かって剣を振り回す。
その剣にラストの矢が当たって、リュードから軌道が逸れる。
知能が高いのも厄介だ。
仲間がやられたなら逃げるか、怒ってかかってくるかが本能に近い行動だろう。
けれどもリザードマンは怒りもせず、ただ動揺して逃げる機会も失って攻撃も中途半端になってしまった。
もっと知能が高ければ、あるいは知能が低ければと思うが、リザードマンの行動は何の結果ももたらさなかった。
恐怖と困惑に硬直したリザードマンは振り返り様に振られたリュードの剣を防ぐこともできない。
全てのリザードマンが綺麗に首を刎ねられた。
これなら竜人族と比べることもおこがましいと思わざるを得ない。
「なんてことはない相手だったな」
「パパ強い!」
剣についた血を振り払ってリュードが戻るとコユキが抱擁で迎えてくれる。
マーマンもそうだけど死体が消えない。
ということはこのお城はダンジョンに近い雰囲気がありながらもダンジョンではない。
分かってたけど、ダンジョンのような雰囲気があるだけに消えない死体に少しだけ変な気分を覚える。
「お疲れ様です」
リザードマンでも大丈夫だろうとミルトも思っていた。
でもいざとなれば助けに入る準備はしていた。
コユキが特に強化支援しなくてもリュードたちは圧倒的に強かった。
反撃する隙も与えてもらえずリザードマンは倒されたのだ。
正直な話、リュードたちの強さはニャロやコユキの強化支援あってのことと考えていた人もいる。
このような実力を見せられれば己の見る目の無さを恥じるしかなかった。
マーマンが相手なら簡単に事は片付きそうだ、なんて思っていたらマーマンとは別の姿が見えた。
見た目はトカゲにも似ているが、二足歩行の人型の姿をしているリザードマンと呼ばれる魔物だ。
魔人族の中には亜人と呼ばれる存在がいる。
それは魔人と魔物の境界線上に立つ種族のことで、その代表例がリザードマンである。
魔人化した竜人族にも近いような姿をしているリザードマンはある程度の知能を持っている。
リザードマンの中には蜥蜴人族と呼ばれる呼ばれるグループもある。
蜥蜴人族は一般に人とされ、リザードマンは魔物とされる。
さらに人とされる蜥蜴人族は賢種、魔物とされるリザードマンは魔種と言われている。
同じ種族なのに何がそれを分けるのか。
それは人との交流があるかどうかである。
その知能の高さを生かして他の人の種族を襲わずに、交流を持って文化的な生活を送り平和的に暮らしていることが人として見られる条件なのだ。
多少曖昧な基準だが、同じ種族であってそこを分ける差がリザードマン自身の気の持ちようだから仕方ない。
「リューちゃん?」
「ううむ……やっぱり気に食わない感じはあるな」
リュードは微妙そうな顔をしている。
竜人族はリザードマンを嫌っていた。
魔物との境目が微妙なところも竜人族がリザードマンと比較されるのを嫌がる理由の一つでもある。
そうなると先に見えるリザードマンが人に友好的な蜥蜴人族なのか、あるいは人に敵対的なリザードマンなのか問題がある。
「賢種なら話し合いもできるかもしれないけど……多分無理だろうな」
しかしリュードは相手を蜥蜴人族ではなく、リザードマンだと読んだ。
理由はちゃんとした服を着ていないから。
賢種の蜥蜴人族は人の生活を送っているので服を着ていることがほとんどだ。
さらに魔種のリザードマンと間違われないように赤い布を体のどこかに身につけていることが多い。
真っ裸でうろついているのは、リザードマンの方なのである。
ちなみに竜人族は蜥蜴人族と比較されることを嫌がるが、賢種の蜥蜴人族にとって竜人族は憧れの存在らしい。
下手すると人と認められるほどの知能があるリザードマンは楽な相手ではない。
マーマンと同じように戦うと痛い目を見ることだろう。
「……俺が戦ってもいいか?」
実は初リザードマンなリュードである。
竜人族としては意外と良くリザードマンの名前を聞く。
子供の冗談とか竜人族同士の煽り文句とかで聞くことがあるのだけど、実際に生のリザードマンを見たことはなかった。
本物のリザードマンがどんなものなのか気になった。
他のみんなは一瞬不思議そうな顔をした。
リュードが竜人族でリザードマンに対して興味を持っているなど知らないので仕方ない。
けれどリュードの実力が高いことは道中の動きで分かっているので許可は出た。
「コユキも応援頼むぞ」
「分かった。ケガダメ!」
「もちろんだ」
リザードマン相手に怪我させられたなんて知られたら村に一生入れてもらえないかもしれない。
「それじゃいくか!」
リザードマンは三体。
リュードもルフォンとラスト共に三人で挑む。
「はっ!」
飛び出すリュードの後ろからラストが矢を放つ。
気付くのが遅れたリザードマンの目に矢が突き刺さって甲高い悲鳴をあげる。
目に刺さった矢を抜こうと掴むが、引き抜くことも出来ずにリュードがリザードマンの首を刎ねる。
状況は分かっていないけれど敵だとリザードマンはリュードに剣を振り下ろす。
リュードは錆びついた剣をを軽くかわすと、大きく音を出すようにして足を踏み出した。
リザードマンはびくりと防御するが、リュードは剣を振らなかった。
しかしリザードマンの視界はグルリと逆さになった。
リュードは足を踏み出しただけで攻撃していない。
何が起きたのか分からないままにリザードマンの意識はブラックアウトした。
「ふふん!」
「いいぞ!」
リザードマンの首を切り落としたのはルフォンだった。
リュードが気をひきつけている間に首を落としたのだ。
「ほーら!」
仲間がやられて動揺しながらも、リザードマンはリュードに向かって剣を振り回す。
その剣にラストの矢が当たって、リュードから軌道が逸れる。
知能が高いのも厄介だ。
仲間がやられたなら逃げるか、怒ってかかってくるかが本能に近い行動だろう。
けれどもリザードマンは怒りもせず、ただ動揺して逃げる機会も失って攻撃も中途半端になってしまった。
もっと知能が高ければ、あるいは知能が低ければと思うが、リザードマンの行動は何の結果ももたらさなかった。
恐怖と困惑に硬直したリザードマンは振り返り様に振られたリュードの剣を防ぐこともできない。
全てのリザードマンが綺麗に首を刎ねられた。
これなら竜人族と比べることもおこがましいと思わざるを得ない。
「なんてことはない相手だったな」
「パパ強い!」
剣についた血を振り払ってリュードが戻るとコユキが抱擁で迎えてくれる。
マーマンもそうだけど死体が消えない。
ということはこのお城はダンジョンに近い雰囲気がありながらもダンジョンではない。
分かってたけど、ダンジョンのような雰囲気があるだけに消えない死体に少しだけ変な気分を覚える。
「お疲れ様です」
リザードマンでも大丈夫だろうとミルトも思っていた。
でもいざとなれば助けに入る準備はしていた。
コユキが特に強化支援しなくてもリュードたちは圧倒的に強かった。
反撃する隙も与えてもらえずリザードマンは倒されたのだ。
正直な話、リュードたちの強さはニャロやコユキの強化支援あってのことと考えていた人もいる。
このような実力を見せられれば己の見る目の無さを恥じるしかなかった。


