「弱きを助け、この世の中に楽しさと明るさをもたらすのが私たちにゃ!」
夢で見たものは何だったのか。
うっすらと何なのかという予感はありながらも、確証はないのでひとまず頭の隅に追いやることにした。
まさか神様が土下座なんてしないよなと思いながら依頼についてどう思うかみんなと相談する。
一番初めに声を上げたのはニャロだった。
「やるにゃ!」
「にゃー!」
ケーフィス教の教義として弱い者を助けること、常に楽しいことを追求し、明るい世の中にすることが挙げられる。
中々ざっくりした内容だけど、ケーフィスを知っているリュードからするとなるほどなと普通に思う。
本当に善なる宗教なのだ。
だから良い人が集まっていて、善行を積むことが良しとされる。
ニャロはケーフィスに認められて、聖者になるほどの精神性の持ち主である。
高い信仰心も当然あるのだけど、いわゆる正義の心や他者を助ける気持ち、色々なことを楽しむ心なんかも兼ね備えている。
めげずに立ち向かっていく心の強い人がケーフィス教の聖者には多いのである。
リュードたちに同行している身なので自分から参加したいとか無理にいうことはなくわきまえることはする。
けれどリュードからその話題を出すならニャロはもちろん助けるつもりだった。
降臨の影響もだいぶ弱くなってきて神聖力を使うのにも問題はない。
食欲高めなので全快でもないかもしれないが、普通の聖職者よりは能力は使える。
それにコユキの前で善をためらう姿など見せられない。
「どうだ?」
ニャロはいいとして、リュードは仲間たちを見る。
正直なところ、この件に関しては関わっていく理由というものがない。
誰かにお願いされたのでもなく、顔見知りがこの町にいるのでもない。
何でもかんでも首を突っ込めばよいのでもなく、積極的に関わるべきか悩ましい。
関わらないということも一つの選択肢である。
もちろんそうした選択をすることもリュードは尊重するつもりである。
「私はむしろギルドの依頼だからいいんじゃないかって思うよ」
ラストが答える。
お金は一銭も出せませんが困っているからお願いします、なんて都合のいいこと言っているわけじゃない。
ギルドがしっかりと責任持って依頼として出している。
困っているからも理由になるし、お金のためだって立派な理由だ。
お金にも困っていないからお金のためというのはちょっと薄いが、お金はいくらあってもいい。
この町のことはこの町で解決するのが一番良いことなので困っている人を助けたい気持ちはあるけど、そこまで深刻でもないと考えられちゃう。
どちらにしてもやや理由として弱いなら、二つ同時に満たすことができるギルドの依頼として受けるという選択肢がいいだろうと思う。
困ってるから助けられるしお金も手に入る。
誰に言い訳するわけでもないけれど、誰かに説明するのにも十分な理由である。
「それにさ……」
「それに?」
ラストはコユキを見る。
合理的な理由付けだけじゃない。
自分の子ではなくても、コユキの前はカッコイイ自分でありたい。
困っている人がいるなら助ける自分の姿をコユキに見せたいのだ。
やはり背中で語るカッコ良さってある。
「やっぱりコユキにも人を助けるってことを見習ってほしいからね、私を見てさ」
決まったー!
と思っているのはポーズを取ったラストだけ。
「まあ……そうか。ルフォンは?」
背中で語っているので、スンとしたコユキの表情を見ていないラスト。
ラストの頭の中ではコユキは目を輝かせてある想定であったが、コユキはまだラストのかっこよさを理解できていなかった。
「うん……やる。私だって!」
やや不安げな表情を浮かべていたルフォンは少し悩ましげだった。
それもそのはずで荒れた川の音が苦手で、泳げもしないルフォンにとって川の様子を見て来いなど、気分の良い依頼ではない。
ただ川の水が怖いだなんていつまでも言ってられない。
いざとなればリュードも助けてくれるし、恐怖を克服するのにいい機会だと思った。
克服するためには恐怖に立ち向かって勝つことが必要だ。
かつてルフォンにはどうしても食べられない野菜があった。
しかしルーミオラは食べないことを許さず、立ち向かわせるためにルフォンの口にこれでもかと野菜を詰め込んだ。
死ぬぐらいなら野菜を食べるし、ルーミオラの方が怖かった。
今じゃ普通にその野菜も食べられる。
泳ぎはできないけど、世界中に川や水辺はあるし一々恐れていてはダメだ。
まだ川にどれだけ関わるかは分かっていないが、川の近くで活動することで少しでも恐怖心が克服できたらとルフォンは思った。
「無理はするなよ?」
「いざとなったらリューちゃんが助けてくれるんでしょ?」
「もちろん」
「じゃあ大丈夫!」
ラストやニャロもいる。
安全を考えると安全性はかなり高い。
川なんかに負けてたまるかとルフォンは気合を入れる。
「頑張る!」
そしてコユキもやる気満々だ。
「よし、じゃあ依頼を受けようか」
夢で見た青い女性が気になる。
そのせいで少し受けたくないが、気になるから受けるというのも理由になる。
話し合って最終的にリュードたちは川の上流の調査依頼を引き受けることにしたのだった。
ーーーーー
夢で見たものは何だったのか。
うっすらと何なのかという予感はありながらも、確証はないのでひとまず頭の隅に追いやることにした。
まさか神様が土下座なんてしないよなと思いながら依頼についてどう思うかみんなと相談する。
一番初めに声を上げたのはニャロだった。
「やるにゃ!」
「にゃー!」
ケーフィス教の教義として弱い者を助けること、常に楽しいことを追求し、明るい世の中にすることが挙げられる。
中々ざっくりした内容だけど、ケーフィスを知っているリュードからするとなるほどなと普通に思う。
本当に善なる宗教なのだ。
だから良い人が集まっていて、善行を積むことが良しとされる。
ニャロはケーフィスに認められて、聖者になるほどの精神性の持ち主である。
高い信仰心も当然あるのだけど、いわゆる正義の心や他者を助ける気持ち、色々なことを楽しむ心なんかも兼ね備えている。
めげずに立ち向かっていく心の強い人がケーフィス教の聖者には多いのである。
リュードたちに同行している身なので自分から参加したいとか無理にいうことはなくわきまえることはする。
けれどリュードからその話題を出すならニャロはもちろん助けるつもりだった。
降臨の影響もだいぶ弱くなってきて神聖力を使うのにも問題はない。
食欲高めなので全快でもないかもしれないが、普通の聖職者よりは能力は使える。
それにコユキの前で善をためらう姿など見せられない。
「どうだ?」
ニャロはいいとして、リュードは仲間たちを見る。
正直なところ、この件に関しては関わっていく理由というものがない。
誰かにお願いされたのでもなく、顔見知りがこの町にいるのでもない。
何でもかんでも首を突っ込めばよいのでもなく、積極的に関わるべきか悩ましい。
関わらないということも一つの選択肢である。
もちろんそうした選択をすることもリュードは尊重するつもりである。
「私はむしろギルドの依頼だからいいんじゃないかって思うよ」
ラストが答える。
お金は一銭も出せませんが困っているからお願いします、なんて都合のいいこと言っているわけじゃない。
ギルドがしっかりと責任持って依頼として出している。
困っているからも理由になるし、お金のためだって立派な理由だ。
お金にも困っていないからお金のためというのはちょっと薄いが、お金はいくらあってもいい。
この町のことはこの町で解決するのが一番良いことなので困っている人を助けたい気持ちはあるけど、そこまで深刻でもないと考えられちゃう。
どちらにしてもやや理由として弱いなら、二つ同時に満たすことができるギルドの依頼として受けるという選択肢がいいだろうと思う。
困ってるから助けられるしお金も手に入る。
誰に言い訳するわけでもないけれど、誰かに説明するのにも十分な理由である。
「それにさ……」
「それに?」
ラストはコユキを見る。
合理的な理由付けだけじゃない。
自分の子ではなくても、コユキの前はカッコイイ自分でありたい。
困っている人がいるなら助ける自分の姿をコユキに見せたいのだ。
やはり背中で語るカッコ良さってある。
「やっぱりコユキにも人を助けるってことを見習ってほしいからね、私を見てさ」
決まったー!
と思っているのはポーズを取ったラストだけ。
「まあ……そうか。ルフォンは?」
背中で語っているので、スンとしたコユキの表情を見ていないラスト。
ラストの頭の中ではコユキは目を輝かせてある想定であったが、コユキはまだラストのかっこよさを理解できていなかった。
「うん……やる。私だって!」
やや不安げな表情を浮かべていたルフォンは少し悩ましげだった。
それもそのはずで荒れた川の音が苦手で、泳げもしないルフォンにとって川の様子を見て来いなど、気分の良い依頼ではない。
ただ川の水が怖いだなんていつまでも言ってられない。
いざとなればリュードも助けてくれるし、恐怖を克服するのにいい機会だと思った。
克服するためには恐怖に立ち向かって勝つことが必要だ。
かつてルフォンにはどうしても食べられない野菜があった。
しかしルーミオラは食べないことを許さず、立ち向かわせるためにルフォンの口にこれでもかと野菜を詰め込んだ。
死ぬぐらいなら野菜を食べるし、ルーミオラの方が怖かった。
今じゃ普通にその野菜も食べられる。
泳ぎはできないけど、世界中に川や水辺はあるし一々恐れていてはダメだ。
まだ川にどれだけ関わるかは分かっていないが、川の近くで活動することで少しでも恐怖心が克服できたらとルフォンは思った。
「無理はするなよ?」
「いざとなったらリューちゃんが助けてくれるんでしょ?」
「もちろん」
「じゃあ大丈夫!」
ラストやニャロもいる。
安全を考えると安全性はかなり高い。
川なんかに負けてたまるかとルフォンは気合を入れる。
「頑張る!」
そしてコユキもやる気満々だ。
「よし、じゃあ依頼を受けようか」
夢で見た青い女性が気になる。
そのせいで少し受けたくないが、気になるから受けるというのも理由になる。
話し合って最終的にリュードたちは川の上流の調査依頼を引き受けることにしたのだった。
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