「コユキ、丁寧に……て、ていね……!」
やる気を見せるコユキは勢いよくカバンを肩にかけた。
もうすでにカバンの中は阿鼻叫喚の状態。
中の人のことを忘れてしまってカバンを肩にかけたので、カバンの中でもみくちゃになった。
カバンの中に布を突っ込んでおいてよかった。
「……パパ、ママ?」
「だ、大丈夫だよ……」
遊園地のアトラクションも可愛く思える激しさだった。
「思っていたよりも激しかったな……よいしょ」
サンジェルはカバンをよじのぼってカバンから顔を出す。
「そうだな……ここから近いしまずは肉屋のコーディーのところに行ってみようか」
先ほど名前が挙がったうちので一人あるコーディーは、祖父の代から肉屋を営んでいる。
父親の代までは真面目な人だったが、コーディーはあまり評判が良くない。
家業で長くやっているので食うには困らないが、休みはなく贅沢できるほどの稼ぎはない。
普段から文句も言いながら働いているコーディーは小人化した人々の中にはいなかった。
それどころか町中を調べた限り、コーディーは相変わらず文句を言いながら働いている。
特に周りのことを疑問にも思わないのか、それとも何か知っているのか。
「怪しい感じはあるな」
「一つ一つ調べていくしかない」
「それじゃあコユキ頼むぞ」
「むん!」
なんの証拠も無ければとっかかりもない。
ひとまず怪しいと思う人から調べてみるしかない。
「今の時間帯なら肉屋の店舗の方で文句を言いながら働いているはずだ。家の方は別にあるから空いているはずだ」
サンジェルのナビで人目避けて人通りのない路地を進んで移動する。
コユキはちょっと気をつけて歩いてくれたけど揺れ具合はそんなに変わらず快適とはいかない。
「こ、ここがコーディーの……ウプッ!」
リュードは何とか大丈夫だったけど、サンジェルは揺れに完全に酔っていた。
「つ、ついた……?」
「大丈夫かルフォン?」
ルフォンも死にかけていた。
何とか戻すところまでは耐えたけれど、口を押さえて顔が青くなっている。
「よしよし〜」
「ラストあんがとう……」
ラストがルフォンの背中をさする。
リュードですら若干酔っているのにラストは全く平気だった。
意外な強さである。
「ふむ……ダメか」
コユキが表の玄関をガチャガチャしてみるが開かない。
こんな状況でも鍵はしっかりかけていっている。
「どうしようか……」
コユキに出来るかは別として、ドアを破壊なんてすればバレバレになってしまう。
古い家なので鍵もそんなにいいものでもなさそうなので多少の技術があればピッキングも出来そうだけど、これもコユキじゃ厳しい。
「窓でも開いてないか見てみましょう。コユキ頼むぞ」
「うん」
コユキは玄関を諦めて家の横に回り込む。
家そのものが安い作りで、窓もガラス窓ではなく木製の格子窓だった。
「んー!」
コユキが背伸びして手を伸ばして窓を掴んで揺する。
開かない。
「次はどうだ?」
「おっ、当たり!」
家の裏手にある窓を引っ張ってみるとスッと開いた。
ここは鍵をかけ忘れていたみたいだ。
「ただコユキが入るには窓の位置はちょっと高いな」
「何かないかな?」
「あれどう?」
ちょっと周りを見渡してみると庭道具を入れておく箱が置いてあった。
それを引きずってきて窓の横に置く。
コユキが箱に乗って窓枠に手をかけて中に入る。
「ほっ!」
「おわっ!」
上手く着地したコユキだが、衝撃でカバンの中がまた大きく揺れる。
「ルフォン、休んでろ」
「うぅ……ごめんね」
限界だったルフォンはフラフラとカバンから降りてグッタリと床に寝転ぶ。
「ラスト、頼んだぞ」
「そだね」
ラストがルフォンに膝枕して面倒を見てくれることになったので、その間にみんなで家の中を探索する。
散らかっていて、いかにもな一人暮らしの男の家。
ただの一人暮らしだけでなく生臭い肉の臭いが家に染み付いている。
「今のコンディションにこれはキツイな……」
コーディーの寝室。
中年の男の臭いと肉の臭いがしていて、酔っているみんなにとってはかなり辛い。
「あっ、おい! これ見てみろよ!」
コユキに持ち上げてもらってテーブルの上に乗る。
ベッド横のテーブルの上に大きめの袋が置いてあった。
何かと開けてみてみたら何とびっくり中身はぎっしりと詰まったお金だった。
金貨のような高額貨幣はないが、日頃から稼ぎが少ないと文句が言っている男が持っているような金額ではない。
ちょっと前までずっと文句を言っていたのにどこからこんなお金が出てきたのか。
「節約したってこんな金貯めらんないぜ」
「それにあいつよく飲みにも行ってんのにどこでこんなの貯めんだよ?」
「……怪しい金だな」
毎日飲み屋で愚痴っている安給料の肉屋がこんなお金を貯められるはずが無い。
節約しているようにも見えないし、どう見ても出所不明なお金である。
だが出所不明ということが、イコールそれが悪いお金であることも証明はできない。
「怪しいお金以外に怪しいものはないな」
呪いに使いそうなものや関連書物もない。
お金しかないというのも変な話だけど、探してみても呪いに関わっているような証拠は出てこなかった。
そんなに広い家じゃない。
何かが隠されているようなところもない。
「うーん……次は木こりのデルのところに行ってみようか」
これ以上探しても何も出ないと判断した。
コーディーの家を出る。
玄関の鍵を開けて出て行く。
鍵は閉められないけど、金に手をつけなきゃ侵入者がいたというより鍵のかけ忘れを疑うだろう。
やる気を見せるコユキは勢いよくカバンを肩にかけた。
もうすでにカバンの中は阿鼻叫喚の状態。
中の人のことを忘れてしまってカバンを肩にかけたので、カバンの中でもみくちゃになった。
カバンの中に布を突っ込んでおいてよかった。
「……パパ、ママ?」
「だ、大丈夫だよ……」
遊園地のアトラクションも可愛く思える激しさだった。
「思っていたよりも激しかったな……よいしょ」
サンジェルはカバンをよじのぼってカバンから顔を出す。
「そうだな……ここから近いしまずは肉屋のコーディーのところに行ってみようか」
先ほど名前が挙がったうちので一人あるコーディーは、祖父の代から肉屋を営んでいる。
父親の代までは真面目な人だったが、コーディーはあまり評判が良くない。
家業で長くやっているので食うには困らないが、休みはなく贅沢できるほどの稼ぎはない。
普段から文句も言いながら働いているコーディーは小人化した人々の中にはいなかった。
それどころか町中を調べた限り、コーディーは相変わらず文句を言いながら働いている。
特に周りのことを疑問にも思わないのか、それとも何か知っているのか。
「怪しい感じはあるな」
「一つ一つ調べていくしかない」
「それじゃあコユキ頼むぞ」
「むん!」
なんの証拠も無ければとっかかりもない。
ひとまず怪しいと思う人から調べてみるしかない。
「今の時間帯なら肉屋の店舗の方で文句を言いながら働いているはずだ。家の方は別にあるから空いているはずだ」
サンジェルのナビで人目避けて人通りのない路地を進んで移動する。
コユキはちょっと気をつけて歩いてくれたけど揺れ具合はそんなに変わらず快適とはいかない。
「こ、ここがコーディーの……ウプッ!」
リュードは何とか大丈夫だったけど、サンジェルは揺れに完全に酔っていた。
「つ、ついた……?」
「大丈夫かルフォン?」
ルフォンも死にかけていた。
何とか戻すところまでは耐えたけれど、口を押さえて顔が青くなっている。
「よしよし〜」
「ラストあんがとう……」
ラストがルフォンの背中をさする。
リュードですら若干酔っているのにラストは全く平気だった。
意外な強さである。
「ふむ……ダメか」
コユキが表の玄関をガチャガチャしてみるが開かない。
こんな状況でも鍵はしっかりかけていっている。
「どうしようか……」
コユキに出来るかは別として、ドアを破壊なんてすればバレバレになってしまう。
古い家なので鍵もそんなにいいものでもなさそうなので多少の技術があればピッキングも出来そうだけど、これもコユキじゃ厳しい。
「窓でも開いてないか見てみましょう。コユキ頼むぞ」
「うん」
コユキは玄関を諦めて家の横に回り込む。
家そのものが安い作りで、窓もガラス窓ではなく木製の格子窓だった。
「んー!」
コユキが背伸びして手を伸ばして窓を掴んで揺する。
開かない。
「次はどうだ?」
「おっ、当たり!」
家の裏手にある窓を引っ張ってみるとスッと開いた。
ここは鍵をかけ忘れていたみたいだ。
「ただコユキが入るには窓の位置はちょっと高いな」
「何かないかな?」
「あれどう?」
ちょっと周りを見渡してみると庭道具を入れておく箱が置いてあった。
それを引きずってきて窓の横に置く。
コユキが箱に乗って窓枠に手をかけて中に入る。
「ほっ!」
「おわっ!」
上手く着地したコユキだが、衝撃でカバンの中がまた大きく揺れる。
「ルフォン、休んでろ」
「うぅ……ごめんね」
限界だったルフォンはフラフラとカバンから降りてグッタリと床に寝転ぶ。
「ラスト、頼んだぞ」
「そだね」
ラストがルフォンに膝枕して面倒を見てくれることになったので、その間にみんなで家の中を探索する。
散らかっていて、いかにもな一人暮らしの男の家。
ただの一人暮らしだけでなく生臭い肉の臭いが家に染み付いている。
「今のコンディションにこれはキツイな……」
コーディーの寝室。
中年の男の臭いと肉の臭いがしていて、酔っているみんなにとってはかなり辛い。
「あっ、おい! これ見てみろよ!」
コユキに持ち上げてもらってテーブルの上に乗る。
ベッド横のテーブルの上に大きめの袋が置いてあった。
何かと開けてみてみたら何とびっくり中身はぎっしりと詰まったお金だった。
金貨のような高額貨幣はないが、日頃から稼ぎが少ないと文句が言っている男が持っているような金額ではない。
ちょっと前までずっと文句を言っていたのにどこからこんなお金が出てきたのか。
「節約したってこんな金貯めらんないぜ」
「それにあいつよく飲みにも行ってんのにどこでこんなの貯めんだよ?」
「……怪しい金だな」
毎日飲み屋で愚痴っている安給料の肉屋がこんなお金を貯められるはずが無い。
節約しているようにも見えないし、どう見ても出所不明なお金である。
だが出所不明ということが、イコールそれが悪いお金であることも証明はできない。
「怪しいお金以外に怪しいものはないな」
呪いに使いそうなものや関連書物もない。
お金しかないというのも変な話だけど、探してみても呪いに関わっているような証拠は出てこなかった。
そんなに広い家じゃない。
何かが隠されているようなところもない。
「うーん……次は木こりのデルのところに行ってみようか」
これ以上探しても何も出ないと判断した。
コーディーの家を出る。
玄関の鍵を開けて出て行く。
鍵は閉められないけど、金に手をつけなきゃ侵入者がいたというより鍵のかけ忘れを疑うだろう。


