「よーし、着いたな」
ちょっと長いこと町がなく、しばらく野宿が続いてようやく泊まれそうな町に着いた。
それなりの大きさの町で、ちゃんとした宿が期待できる。
「……なんか、変」
「あ、ルフォンもそう思う? 私もなんだか……気味が悪い感じ」
久々の町だしお高めの宿にでも泊まろうかと町中を歩きながら宿を探す。
大体高めの宿は街の縁よりも、中の方にありがちなので中心部に向かっていく。
歩いていると、ルフォンやラストが何かの違和感を感じてそれを口に出した。
どことなく感じるもので、正確にそれが何から感じられるものなのか分からなくて不気味さがある。
リュードもそう言われてみればなんかへんな感じがあるというのは分かるけれど、何が変なのか分からない。
危険を感じるものではないのでとりあえず放っておいて、良さそうな宿を見つけた。
ほとんど喋らない無口な店主から部屋を借りる。
ルフォンたち女子が四人部屋でリュードが二人部屋を一人で使う。
「何がおかしいんだろな?」
何かがおかしいのにそれが分からないのは何となくストレスだ。
女子の方の部屋にリュードも集まって少し話し合う。
どうにも気味が悪いので明日さっさと出発しようという話になった。
違和感や気味の悪さの正体を突き止めようと話してみるけど誰からも答えは出ない。
ラストは窓から町を見下ろしてみる。
町を行き交う人々、なんの変哲もない日常の光景だ。
「うーん……なんかみんな目に覇気がないってのかな?」
「……確かにな」
人は歩いているが、みんなどことなく焦点の合わないようなぼんやりとした目をしている。
「あと町中が静かな気がするにゃ」
「静か……」
「そうだね。人の声とか雑踏の音とか、なんか物静かな感じがするね」
「あー、なるほどね」
何がおかしい。
大きくいうなら人がおかしいのだ。
目に正気がなくただただ歩いているだけで、走っている人もいなくて会話もしない。
町中を広く見たときにはあまり違和感として感じないが1人1人を見てみるとなんだかおかしいのだ。
まるでロボットやゴーレムのように決められた行動だけをしているような、生きている感じが町の中に感じられない。
だから違和感があって気味が悪く感じられるのだと何となく気がついた。
「なんだ、この町……」
気づいたら気づいてしまったで気持ち悪い。
消耗品の補充でもやろうと思っていたけれど、出歩くのはやめて早くに出発するために早く寝ることにした。
ーーーーー
「パパ!」
「ギャー! やっぱりにゃー!」
「う……なんだ?」
妙な全身の気だるさをリュードは感じていた。
ひどい風邪にでもなったような最悪な気分。
リュードはコユキとニャロの声で目を覚ました。
視界がぼんやりとして頭が重い。
軽く目の周りを揉むようにして意識を覚醒させる。
「えっ!?」
どうやらまだ夢の中にいるようだととっさに思った。
「お、お前ら……なんでそんなにでっかいんだよ!」
「……違うにゃ! リュードがちっちゃくなったんだにゃ!」
「なんだって?」
なぜまだ夢だと思ったのか、それはリュードのことを覗き込むコユキがすごい巨大になっていたからだった。
しかしニャロに逆だと言われて周りを見回す。
大海のようなベッドと布団。
ベッド横にある窓はそこから出るには厳しいぐらいの大きさだったのに、今は極寒のダンジョン入り口の門よりも巨大に見えた。
ニャロもコユキも見上げるほどに大きく、コユキは今ならリュードを使って人形遊びでも出来るだろう。
「ルフォンとラストは」
「ここにいるよー!」
「おーい! リュード!」
「ん? ……あっ!」
ニャロとコユキはいるがルフォンとラストの姿がない。
声が聞こえてよく探してみるとニャロの手の上に二人はいた。
つまりルフォンとラストも同じく縮んで小さなサイズになっているということだ。
ニャロがそっと二人をベッドに下ろす。
「な、何があったんだよ!?」
いつもは冷静なリュードも同様が隠せない。
小さくなるなんて現象、リュードにも心当たりがなくて原因が分からない。
「分からないよ。朝起きたらこうなってたんだ」
「なんか気分悪くて……妙にベッドがデカくて……そしたらデッカくなったコユキがいてびっくりしたよ! でもコユキがデッカくなったんじゃなくて私たちがちっちゃくなったんだね」
「なんでまた……コユキとニャロは無事なんだ?」
リュード、ルフォン、ラストは小さくなったのにコユキとニャロは無事。
このことにヒントがあるはずだとリュードは考えた。
「神聖力にゃ」
「神聖力……なるほど。何かわかるのか?」
「これはまだ予想の範囲は出ないけど多分呪い、呪術じゃないかと思うにゃ」
「呪いだと?」
「そうにゃ。私たちが無事でリュードたちがそうなってしまったにゃ。この差は神聖力を持つものと持たないものの差にゃ」
「それで?」
「そしてこの不思議な現象にゃ。私もどんなものかは知らないけれどこういったことを起こせるものの一つとして呪いがあるにゃ。神聖力を持つものに呪いはほとんど効かないにゃ」
「それらを合わせて考えると……」
「これは呪いのせいになるにゃ。この町の異様な雰囲気も呪いが関わっていると考えると説明できなくもないにゃ!」
ニャロの推理を聞いてリュードも納得する。
呪いも魔法の一種であるが、魔法というにはちょっと性質が異なる。
ちょっと長いこと町がなく、しばらく野宿が続いてようやく泊まれそうな町に着いた。
それなりの大きさの町で、ちゃんとした宿が期待できる。
「……なんか、変」
「あ、ルフォンもそう思う? 私もなんだか……気味が悪い感じ」
久々の町だしお高めの宿にでも泊まろうかと町中を歩きながら宿を探す。
大体高めの宿は街の縁よりも、中の方にありがちなので中心部に向かっていく。
歩いていると、ルフォンやラストが何かの違和感を感じてそれを口に出した。
どことなく感じるもので、正確にそれが何から感じられるものなのか分からなくて不気味さがある。
リュードもそう言われてみればなんかへんな感じがあるというのは分かるけれど、何が変なのか分からない。
危険を感じるものではないのでとりあえず放っておいて、良さそうな宿を見つけた。
ほとんど喋らない無口な店主から部屋を借りる。
ルフォンたち女子が四人部屋でリュードが二人部屋を一人で使う。
「何がおかしいんだろな?」
何かがおかしいのにそれが分からないのは何となくストレスだ。
女子の方の部屋にリュードも集まって少し話し合う。
どうにも気味が悪いので明日さっさと出発しようという話になった。
違和感や気味の悪さの正体を突き止めようと話してみるけど誰からも答えは出ない。
ラストは窓から町を見下ろしてみる。
町を行き交う人々、なんの変哲もない日常の光景だ。
「うーん……なんかみんな目に覇気がないってのかな?」
「……確かにな」
人は歩いているが、みんなどことなく焦点の合わないようなぼんやりとした目をしている。
「あと町中が静かな気がするにゃ」
「静か……」
「そうだね。人の声とか雑踏の音とか、なんか物静かな感じがするね」
「あー、なるほどね」
何がおかしい。
大きくいうなら人がおかしいのだ。
目に正気がなくただただ歩いているだけで、走っている人もいなくて会話もしない。
町中を広く見たときにはあまり違和感として感じないが1人1人を見てみるとなんだかおかしいのだ。
まるでロボットやゴーレムのように決められた行動だけをしているような、生きている感じが町の中に感じられない。
だから違和感があって気味が悪く感じられるのだと何となく気がついた。
「なんだ、この町……」
気づいたら気づいてしまったで気持ち悪い。
消耗品の補充でもやろうと思っていたけれど、出歩くのはやめて早くに出発するために早く寝ることにした。
ーーーーー
「パパ!」
「ギャー! やっぱりにゃー!」
「う……なんだ?」
妙な全身の気だるさをリュードは感じていた。
ひどい風邪にでもなったような最悪な気分。
リュードはコユキとニャロの声で目を覚ました。
視界がぼんやりとして頭が重い。
軽く目の周りを揉むようにして意識を覚醒させる。
「えっ!?」
どうやらまだ夢の中にいるようだととっさに思った。
「お、お前ら……なんでそんなにでっかいんだよ!」
「……違うにゃ! リュードがちっちゃくなったんだにゃ!」
「なんだって?」
なぜまだ夢だと思ったのか、それはリュードのことを覗き込むコユキがすごい巨大になっていたからだった。
しかしニャロに逆だと言われて周りを見回す。
大海のようなベッドと布団。
ベッド横にある窓はそこから出るには厳しいぐらいの大きさだったのに、今は極寒のダンジョン入り口の門よりも巨大に見えた。
ニャロもコユキも見上げるほどに大きく、コユキは今ならリュードを使って人形遊びでも出来るだろう。
「ルフォンとラストは」
「ここにいるよー!」
「おーい! リュード!」
「ん? ……あっ!」
ニャロとコユキはいるがルフォンとラストの姿がない。
声が聞こえてよく探してみるとニャロの手の上に二人はいた。
つまりルフォンとラストも同じく縮んで小さなサイズになっているということだ。
ニャロがそっと二人をベッドに下ろす。
「な、何があったんだよ!?」
いつもは冷静なリュードも同様が隠せない。
小さくなるなんて現象、リュードにも心当たりがなくて原因が分からない。
「分からないよ。朝起きたらこうなってたんだ」
「なんか気分悪くて……妙にベッドがデカくて……そしたらデッカくなったコユキがいてびっくりしたよ! でもコユキがデッカくなったんじゃなくて私たちがちっちゃくなったんだね」
「なんでまた……コユキとニャロは無事なんだ?」
リュード、ルフォン、ラストは小さくなったのにコユキとニャロは無事。
このことにヒントがあるはずだとリュードは考えた。
「神聖力にゃ」
「神聖力……なるほど。何かわかるのか?」
「これはまだ予想の範囲は出ないけど多分呪い、呪術じゃないかと思うにゃ」
「呪いだと?」
「そうにゃ。私たちが無事でリュードたちがそうなってしまったにゃ。この差は神聖力を持つものと持たないものの差にゃ」
「それで?」
「そしてこの不思議な現象にゃ。私もどんなものかは知らないけれどこういったことを起こせるものの一つとして呪いがあるにゃ。神聖力を持つものに呪いはほとんど効かないにゃ」
「それらを合わせて考えると……」
「これは呪いのせいになるにゃ。この町の異様な雰囲気も呪いが関わっていると考えると説明できなくもないにゃ!」
ニャロの推理を聞いてリュードも納得する。
呪いも魔法の一種であるが、魔法というにはちょっと性質が異なる。


