「リュード、ここまで俺を導いてくれて……」
最後にダリルはリュードの方を向いた。
不思議な竜人族の青年だとダリルは改めて思う。
神に愛されている気配はありながらも、神に仕えているのではない。
それでいながらも神しか知り得ないようなことも知っていて、戦いにおいても目覚ましい活躍をしている。
「ダリル。勝って、神物持ち帰って、テレサさんが無事に回復したらでいい。とりあえず勝ってこいよ。話はそれからだろ?」
「そうだな」
リュードがいる。
それだけで勝てそうな気がした。
感謝の言葉を述べるのは全てが終わった後でもいい。
グッと親指を立てて笑うリュードにダリルも微笑み返す。
まるで長年共にいた戦友のようにリュードのことを感じる。
「支援します!」
「がんばるにゃ!」
聖者二人と使徒一人の神聖力の強化を受けてダリルが淡く輝く。
「ダリル・アステバロン、今、愛と正義のために神の試練に挑もう」
ダリルが一人、前に歩き出す。
ただ広い神殿の半分ほどまで進んで、ようやくガーディアンが動き出した。
腰に差した剣を抜いて盾と共に構える。
ただすぐに襲いかかってくる様子もない。
ダリルもメイスと盾を構えながら接近し、いつ戦いが始まってもおかしくない距離まで近づいた。
睨み合う両者。
円を描くように互いが少しずつ移動する。
先に動き出したのはガーディアンだった。
一瞬で距離を詰めて剣を突き出す。
ダリルはメイスを振り上げて剣を弾き、そのまま振り下ろして攻撃する。
ガーディアンは盾でメイスを受け流すとそのままダリルに盾で体当たりをする。
ダリルも盾で対抗して、盾同士がぶつかる。
両者が衝撃に耐えきれずに弾き飛ばされる。
強化をもらっているダリルとガーディアンの力は互角。
「軽い挨拶みたいなものだな」
再び睨み合う。
ガーディアンがダリルに切りかかる。
剣を盾で受けてメイスで殴りつける。
しかしガーディアンも盾でメイスを受けて、互いに押し合うようになる。
やはり力は互角でどちらも動かない。
「ふん!」
ただダリルは生身。
勝負のつかない押し合いをしていては一方的に体力を消耗してしまう。
ガーディアンの方が変化してこない以上、ダリルが先に動くしかない。
力を抜いて一歩下がる。
力のこもった押し合いをしていたガーディアンは急に相手がいなくなりバランスを崩した。
ダリルはそのまま距離を空けずに盾を構えて体当たりをぶちかました。
ガシャンと音を立てて転がるガーディアンにダリルは追撃にメイスを振り下ろす。
「身軽だな……」
重たい全身鎧を着ていないかのような軽やかさで、ガーディアンは足を振り上げダリルを蹴り飛ばす。
胸を蹴り飛ばされたダリルが後ろに転がるが、自分でさらに勢いをつけてもう一度転がって距離を取りながら起き上がる。
力だけではない。
技量としても大きな差は今のところ見受けられない。
「ぬぅん!」
今度はダリルから攻める。
ダリルがメイスを繰り出して、ガーディアンが盾で受ける。
ガーディアンが剣を繰り出してダリルが同じく盾で受ける。
重たい攻撃の応酬。
静かな教会に金属がぶつかる音が響きわたる。
「はあっ!」
「上手い!」
剣を盾で防いだダリルがそのまま滑らせるようにして盾でガーディアンを殴りつけようとした。
ガーディアンはそれを自分の盾で防ぐが、脇腹がガラ空きになっていた。
その隙を見逃さずにダリルは脇腹にメイスを叩き込んだ。
ガーディアンの戦い方は上品で、いかにもナイトのような美しく戦っている。
対してダリルはやや荒っぽい。
戦いの中で磨いてきたダリルの戦い方は、実戦的で見た目の美しさにはとらわれない。
生きるため、勝つための戦い方なのである。
「まだまだぁ!」
倒れはしなかったがガーディアンの体が大きく流れる。
ダリルは一気に勝負を決めようとメイスを振り上げた。
勝負が決まったかと思われたその時、ガーディアンの剣が強く光った。
振り下ろされるメイスと振り上げられる剣がぶつかって低い金属音が鳴り響いた。
「ダリル!」
再びメイスを振り上げるダリル。
しかしこれはダリルが意図してやったのではない。
ガーディアンの剣に力負けをして、弾かれてメイスを振り上げる体勢になってしまったのである。
ガーディアンが素早く剣を引き、上半身を回しながらダリルの胴を目がけて剣を振り抜く。
「うっ!」
ガーディアンの剣から強い光がほとばしって一瞬目がくらむ。
「ダリル!」
「平気だ!」
ダリルが飛んでいくが、幸い体は斬られずに繋がっている。
何とか盾を差し込んで防いでいた。
だが威力は殺しきれずに直撃だけを避けた形になった。
柱にぶつかって柱が大きく陥没する。
ニャロやラストは心配そうな顔をしてみんなを見るけど、誰も動かない。
まだ動くには早い。
ダリルはまだ諦めていない、倒れていない。
「強いな……その強さで何を守る」
頭をかすめる諦めの言葉。
よくここまでやった、もういいじゃないか、あとはみんなで倒せばいい。
メイスが重たく感じられ投げ出してしまいそうなほどの気持ちに駆られる。
全身が鈍くズキズキ痛んで休みたくなる。
最後にダリルはリュードの方を向いた。
不思議な竜人族の青年だとダリルは改めて思う。
神に愛されている気配はありながらも、神に仕えているのではない。
それでいながらも神しか知り得ないようなことも知っていて、戦いにおいても目覚ましい活躍をしている。
「ダリル。勝って、神物持ち帰って、テレサさんが無事に回復したらでいい。とりあえず勝ってこいよ。話はそれからだろ?」
「そうだな」
リュードがいる。
それだけで勝てそうな気がした。
感謝の言葉を述べるのは全てが終わった後でもいい。
グッと親指を立てて笑うリュードにダリルも微笑み返す。
まるで長年共にいた戦友のようにリュードのことを感じる。
「支援します!」
「がんばるにゃ!」
聖者二人と使徒一人の神聖力の強化を受けてダリルが淡く輝く。
「ダリル・アステバロン、今、愛と正義のために神の試練に挑もう」
ダリルが一人、前に歩き出す。
ただ広い神殿の半分ほどまで進んで、ようやくガーディアンが動き出した。
腰に差した剣を抜いて盾と共に構える。
ただすぐに襲いかかってくる様子もない。
ダリルもメイスと盾を構えながら接近し、いつ戦いが始まってもおかしくない距離まで近づいた。
睨み合う両者。
円を描くように互いが少しずつ移動する。
先に動き出したのはガーディアンだった。
一瞬で距離を詰めて剣を突き出す。
ダリルはメイスを振り上げて剣を弾き、そのまま振り下ろして攻撃する。
ガーディアンは盾でメイスを受け流すとそのままダリルに盾で体当たりをする。
ダリルも盾で対抗して、盾同士がぶつかる。
両者が衝撃に耐えきれずに弾き飛ばされる。
強化をもらっているダリルとガーディアンの力は互角。
「軽い挨拶みたいなものだな」
再び睨み合う。
ガーディアンがダリルに切りかかる。
剣を盾で受けてメイスで殴りつける。
しかしガーディアンも盾でメイスを受けて、互いに押し合うようになる。
やはり力は互角でどちらも動かない。
「ふん!」
ただダリルは生身。
勝負のつかない押し合いをしていては一方的に体力を消耗してしまう。
ガーディアンの方が変化してこない以上、ダリルが先に動くしかない。
力を抜いて一歩下がる。
力のこもった押し合いをしていたガーディアンは急に相手がいなくなりバランスを崩した。
ダリルはそのまま距離を空けずに盾を構えて体当たりをぶちかました。
ガシャンと音を立てて転がるガーディアンにダリルは追撃にメイスを振り下ろす。
「身軽だな……」
重たい全身鎧を着ていないかのような軽やかさで、ガーディアンは足を振り上げダリルを蹴り飛ばす。
胸を蹴り飛ばされたダリルが後ろに転がるが、自分でさらに勢いをつけてもう一度転がって距離を取りながら起き上がる。
力だけではない。
技量としても大きな差は今のところ見受けられない。
「ぬぅん!」
今度はダリルから攻める。
ダリルがメイスを繰り出して、ガーディアンが盾で受ける。
ガーディアンが剣を繰り出してダリルが同じく盾で受ける。
重たい攻撃の応酬。
静かな教会に金属がぶつかる音が響きわたる。
「はあっ!」
「上手い!」
剣を盾で防いだダリルがそのまま滑らせるようにして盾でガーディアンを殴りつけようとした。
ガーディアンはそれを自分の盾で防ぐが、脇腹がガラ空きになっていた。
その隙を見逃さずにダリルは脇腹にメイスを叩き込んだ。
ガーディアンの戦い方は上品で、いかにもナイトのような美しく戦っている。
対してダリルはやや荒っぽい。
戦いの中で磨いてきたダリルの戦い方は、実戦的で見た目の美しさにはとらわれない。
生きるため、勝つための戦い方なのである。
「まだまだぁ!」
倒れはしなかったがガーディアンの体が大きく流れる。
ダリルは一気に勝負を決めようとメイスを振り上げた。
勝負が決まったかと思われたその時、ガーディアンの剣が強く光った。
振り下ろされるメイスと振り上げられる剣がぶつかって低い金属音が鳴り響いた。
「ダリル!」
再びメイスを振り上げるダリル。
しかしこれはダリルが意図してやったのではない。
ガーディアンの剣に力負けをして、弾かれてメイスを振り上げる体勢になってしまったのである。
ガーディアンが素早く剣を引き、上半身を回しながらダリルの胴を目がけて剣を振り抜く。
「うっ!」
ガーディアンの剣から強い光がほとばしって一瞬目がくらむ。
「ダリル!」
「平気だ!」
ダリルが飛んでいくが、幸い体は斬られずに繋がっている。
何とか盾を差し込んで防いでいた。
だが威力は殺しきれずに直撃だけを避けた形になった。
柱にぶつかって柱が大きく陥没する。
ニャロやラストは心配そうな顔をしてみんなを見るけど、誰も動かない。
まだ動くには早い。
ダリルはまだ諦めていない、倒れていない。
「強いな……その強さで何を守る」
頭をかすめる諦めの言葉。
よくここまでやった、もういいじゃないか、あとはみんなで倒せばいい。
メイスが重たく感じられ投げ出してしまいそうなほどの気持ちに駆られる。
全身が鈍くズキズキ痛んで休みたくなる。


