「アルフォンス、ウィドウの治療に! ニャロはそのままリュードを、俺はルフォンを強化する」
「みんなフォロー頼むぜ!」
ダリルは自身が速さに欠けることを理解している。
ここは無理に戦うのではなく速さのある人に任せるのが良いと判断した。
尻尾を支えに起き上がる五尾の白キツネは、まるで人のように垂れる赤い鼻血を手の甲で拭う。
頬にまで赤い血の線が拭いきれずに引かれる。
鼻にシワを寄せ威嚇するように尖った歯を見せる。
それぐらいで怯むはずもない。
攻撃されて怒ってるのはリュードたちだって同じである。
「こっちもいるかんね!」
ラストが矢を放つ。
ケフィズサンのメンバーも魔法で攻撃したり、距離をとりつつ後ろに回り込んだりと気を散らそうとする。
「お怒りだな!」
五尾の白キツネが怒りの声を上げる。
キツネの声にも、女性の声にも聞こえるような雄叫びをあげて五尾の白キツネの周りに青い炎が渦巻く。
矢や魔法を打ち消して、五尾の白キツネは炎の渦の中から飛び出してリュードを目がけた。
尻尾の毛が逆立ってボワッと一回り大きくなっている。
「とことん俺か」
本能的に感じる魔力の大きさ、強さが五尾の白キツネにリュードを危険な相手だと認識させた。
同時に何か惹かれるものをリュードに感じていた。
「多少のケガなら任せるにゃ!」
リュードは剣を抜いて五尾の白キツネに応戦するが、中々キツい相手だと思う。
尻尾を駆使して戦う五尾の白キツネの攻撃は、まるで何人も同時に相手をしているような手数の多さがある。
四本の尻尾と両手両足を使った猛攻は防ぐので精一杯。
けれどリュードも一人ではない。
ルフォンやケフィズサンのメンバーも邪魔にならないようにしながら攻撃を加える。
五尾の白キツネはかわしたり尻尾を巧みに操って攻撃を防いだりしているが、横から攻撃されることに苛立ちは隠せていない。
そんなわずかな隙にリュードは無理矢理、反撃を繰り出す。
反撃も多少無理なものなので、爪が体を掠めていったりする。
けれどニャロはその度に強化をわずかに下げて、回復に神聖力を回したりと上手く戦いを見て、神聖力の扱いをコントロールしていた。
「クッ!」
五尾の白キツネの攻撃も打撃や爪だけじゃない。
尻尾に魔力を込めて突き刺そうとしたり消えない火球を近距離で打ち出してきたりもする。
一瞬も油断できない接近戦闘が続く。
たった一本でも尻尾が無くなっていて助かったと思う。
五本満足にあったら相当厳しい戦いになっていただろう。
「う……負けるか!」
蹴りが脇腹に当たり、突き抜けるような衝撃がリュードを襲う。
リュードは踏ん張って五尾の白キツネの足に腕を回してホールドする。
「やあああっ!」
「待たせたな!」
リュードには五尾の白キツネの後ろでルフォンとウィドウが機会を伺っているのが見えていた。
足を掴んだ隙に二人が一斉に切りかかる。
「なっ!」
「クゥッ!」
「二人とも……グッ!」
真後ろからの攻撃。
見えてないはずなのに五尾の白キツネはルフォンとウィドウの攻撃をそれぞれ一本の尻尾でふわりと受け止めた。
そして残る一本ずつでウィドウとルフォンを殴り、押さえられていない足でリュードのアゴを蹴り上げて縦に一回転して華麗に着地してみせた。
「後ろに目でもついてるのか……」
「まあ、これで仕切り直しだ」
リュードもウィドウも回復したのでフルメンバーで戦える。
一方で五尾の白キツネは尻尾を一本失っている。
ややこちらが有利な仕切り直しとなった。
「こんなに強い相手は……プラチナになってから初めてだな」
純粋に能力が高い五尾の白キツネに勝つためには、相手を上回らなければいけない。
だがしかしリュードだってまだ全力を出し切ったわけじゃない。
白キツネは執拗にリュードを狙う。
リュードも魔人化を維持したまま白キツネの猛攻に耐えるように戦う。
「集中だ……もっと集中するんだ!」
リュードは戦いの中で感覚を研ぎ澄ませていく。
剣がまとう魔力から無駄がなくなっていき、刃に沿うように均一になっていく。
リュードたちは完全に五尾の白キツネを囲むようにして戦っている。
服を着替えたブレスも戻ってきていて様々な方向から様々な攻撃をしてリュードをフォローしていた。
それでも五尾の白キツネは尻尾を使って攻撃をいなし、時に防ぎ、時にかわす。
「なんとも器用な尻尾だ!」
尻尾を使って急な方向転換もお手のもので、中々ちゃんと五尾の白キツネを捉えられない。
リュードはルフォンとラストに視線を送った。
それだけで伝わる。
「うん!」
「任せて!」
ラストが矢を放つ。
五尾の白キツネの足元に刺さった矢は全く気にされていなかったけれど、魔力が大きく爆発を起こす。
突然足元で起きた爆発に五尾の白キツネはバランスを崩す。
その隙をついてルフォンが接近してナイフを振る。
「影が道をつなぐ」
何かをしようとしている。
それを察したウィドウは闇魔法で五尾の白キツネの後ろに回り込んでさらに気を引こうとする。
それだけしても五尾の白キツネには傷もつけられない。
ただ周りも戦いのベテランたちだ。
すぐに意図を汲み取って魔法や攻撃を加え始める。
五尾の白キツネも防御に余裕がなくなる。
「みんなフォロー頼むぜ!」
ダリルは自身が速さに欠けることを理解している。
ここは無理に戦うのではなく速さのある人に任せるのが良いと判断した。
尻尾を支えに起き上がる五尾の白キツネは、まるで人のように垂れる赤い鼻血を手の甲で拭う。
頬にまで赤い血の線が拭いきれずに引かれる。
鼻にシワを寄せ威嚇するように尖った歯を見せる。
それぐらいで怯むはずもない。
攻撃されて怒ってるのはリュードたちだって同じである。
「こっちもいるかんね!」
ラストが矢を放つ。
ケフィズサンのメンバーも魔法で攻撃したり、距離をとりつつ後ろに回り込んだりと気を散らそうとする。
「お怒りだな!」
五尾の白キツネが怒りの声を上げる。
キツネの声にも、女性の声にも聞こえるような雄叫びをあげて五尾の白キツネの周りに青い炎が渦巻く。
矢や魔法を打ち消して、五尾の白キツネは炎の渦の中から飛び出してリュードを目がけた。
尻尾の毛が逆立ってボワッと一回り大きくなっている。
「とことん俺か」
本能的に感じる魔力の大きさ、強さが五尾の白キツネにリュードを危険な相手だと認識させた。
同時に何か惹かれるものをリュードに感じていた。
「多少のケガなら任せるにゃ!」
リュードは剣を抜いて五尾の白キツネに応戦するが、中々キツい相手だと思う。
尻尾を駆使して戦う五尾の白キツネの攻撃は、まるで何人も同時に相手をしているような手数の多さがある。
四本の尻尾と両手両足を使った猛攻は防ぐので精一杯。
けれどリュードも一人ではない。
ルフォンやケフィズサンのメンバーも邪魔にならないようにしながら攻撃を加える。
五尾の白キツネはかわしたり尻尾を巧みに操って攻撃を防いだりしているが、横から攻撃されることに苛立ちは隠せていない。
そんなわずかな隙にリュードは無理矢理、反撃を繰り出す。
反撃も多少無理なものなので、爪が体を掠めていったりする。
けれどニャロはその度に強化をわずかに下げて、回復に神聖力を回したりと上手く戦いを見て、神聖力の扱いをコントロールしていた。
「クッ!」
五尾の白キツネの攻撃も打撃や爪だけじゃない。
尻尾に魔力を込めて突き刺そうとしたり消えない火球を近距離で打ち出してきたりもする。
一瞬も油断できない接近戦闘が続く。
たった一本でも尻尾が無くなっていて助かったと思う。
五本満足にあったら相当厳しい戦いになっていただろう。
「う……負けるか!」
蹴りが脇腹に当たり、突き抜けるような衝撃がリュードを襲う。
リュードは踏ん張って五尾の白キツネの足に腕を回してホールドする。
「やあああっ!」
「待たせたな!」
リュードには五尾の白キツネの後ろでルフォンとウィドウが機会を伺っているのが見えていた。
足を掴んだ隙に二人が一斉に切りかかる。
「なっ!」
「クゥッ!」
「二人とも……グッ!」
真後ろからの攻撃。
見えてないはずなのに五尾の白キツネはルフォンとウィドウの攻撃をそれぞれ一本の尻尾でふわりと受け止めた。
そして残る一本ずつでウィドウとルフォンを殴り、押さえられていない足でリュードのアゴを蹴り上げて縦に一回転して華麗に着地してみせた。
「後ろに目でもついてるのか……」
「まあ、これで仕切り直しだ」
リュードもウィドウも回復したのでフルメンバーで戦える。
一方で五尾の白キツネは尻尾を一本失っている。
ややこちらが有利な仕切り直しとなった。
「こんなに強い相手は……プラチナになってから初めてだな」
純粋に能力が高い五尾の白キツネに勝つためには、相手を上回らなければいけない。
だがしかしリュードだってまだ全力を出し切ったわけじゃない。
白キツネは執拗にリュードを狙う。
リュードも魔人化を維持したまま白キツネの猛攻に耐えるように戦う。
「集中だ……もっと集中するんだ!」
リュードは戦いの中で感覚を研ぎ澄ませていく。
剣がまとう魔力から無駄がなくなっていき、刃に沿うように均一になっていく。
リュードたちは完全に五尾の白キツネを囲むようにして戦っている。
服を着替えたブレスも戻ってきていて様々な方向から様々な攻撃をしてリュードをフォローしていた。
それでも五尾の白キツネは尻尾を使って攻撃をいなし、時に防ぎ、時にかわす。
「なんとも器用な尻尾だ!」
尻尾を使って急な方向転換もお手のもので、中々ちゃんと五尾の白キツネを捉えられない。
リュードはルフォンとラストに視線を送った。
それだけで伝わる。
「うん!」
「任せて!」
ラストが矢を放つ。
五尾の白キツネの足元に刺さった矢は全く気にされていなかったけれど、魔力が大きく爆発を起こす。
突然足元で起きた爆発に五尾の白キツネはバランスを崩す。
その隙をついてルフォンが接近してナイフを振る。
「影が道をつなぐ」
何かをしようとしている。
それを察したウィドウは闇魔法で五尾の白キツネの後ろに回り込んでさらに気を引こうとする。
それだけしても五尾の白キツネには傷もつけられない。
ただ周りも戦いのベテランたちだ。
すぐに意図を汲み取って魔法や攻撃を加え始める。
五尾の白キツネも防御に余裕がなくなる。


