「また来たぞ。前方……全部三尾だ」
進んでいくとまたしても白キツネの襲撃。
今回は七体の白キツネで、その全てが三尾だった。
数が多すぎないことがせめてもの救いだが、全部が三尾になった時にどう戦ってくるのかみんな警戒して待ち構える。
「火球だ! 当たらないように気をつけろ!」
白キツネは走りながら尻尾の先を寄せて火球を生み出す。
魔法は大きくなれば大きくなるほど止まって集中する必要があるが、白キツネの火球は走りながらでも放つことに問題はないようだ
一体につき一個の火球が放たれる。
「これはどうだ!」
リュードが水の魔法を放つ。
火には水、この世界でも変わらぬ法則だ。
「効果はありそうだな」
若干リュードの魔法が押されたものの火球を相殺することができた。
火球を回避したり魔法で相殺したりする間に三尾の白キツネは目前まで迫っていた。
三体の白キツネは速さを緩め、四体が前に出る。
役割を分けているようにリュードには見えた。
「へへーん!」
「強みが仇となったな!」
こちらも白キツネと戦ってきて、少し相手のことも分かってきた。
ブレスはあえて火の魔法を放った。
火属性に耐性のある白キツネはなんの躊躇いもなく魔法に突っ込んでいったが、効かないことなんて分かっている。
魔法を突き破った三尾の白キツネの額に矢が刺さった。
「よっし!」
ラストとブレスの連携攻撃である。
ブレスの魔法の直後にラストは矢を放った。
火の魔法が目隠しとなり白キツネは矢に気づかず、しかもこれまでと同じく火の魔法をそのまま頭から突っ込んで消してくれた。
火に対してはむしろ突っ込んでくるという傾向があることも分かっていての攻撃だ。
防御は尻尾が増えようとあまり変わらない。
容易く頭に矢が刺さって、一体倒すことができた。
「ラスト危ない!」
「グエッ!」
リュードがラストを引っ張る。
火球がラストめがけて飛んできていたのだ。
とっさだったので襟を掴んでしまう形になって、ラストが変な声を出していた。
「知恵もつけているな」
三尾の白キツネは相手の隙を見ている。
火球を放つ三尾の白キツネはやや散開するようにして色々な方向から狙ってきている。
「ふん、こっちだって知恵はあるんだよ! アイスウォール!」
ブレスが氷で壁を作る。
下がって火球を放つ隙を伺う白キツネを遮断する。
「へん! バーカ!」
離れて戦うなら分断してしまえばいい。
多少魔力の消耗は激しいが、安全に戦うことを優先した。
「えっ、ちょっと待てよ!」
しかし氷の壁が炎で燃え出す。
これならもっと魔力の消費は激しくても土壁の方が良かったかとブレスは舌打ちする。
「まあ、十分だ!」
けれど氷の壁が溶けて向こうの白キツネが来るまでには少し時間がある。
その間に集中して三尾の白キツネを倒す。
「消すぞ!」
接近してきた三尾の白キツネを倒してリュードたちは壁近くまで走る。
ブレスが氷の壁を消すと外にいた三尾の白キツネたちからすると、すぐ近くにいきなりリュードたちがいることになる。
驚く白キツネに一斉に攻撃を仕掛ける。
「賢いんだから賢くないんだか分からないにゃ」
役割分担なんかの知恵はあるが、あっさりと分断されたり火の魔法の後ろの矢に気づかなかったりと半端な賢さがある。
「すまないな、アルフォンス」
「いえいえ。みなさんを守ってのケガですので」
ダリルは浅く腕に切り傷をつけられている。
無傷での完勝も難しくなってきた。
時間はかかるがしっかりと息を整えて先に進むことにする。
全部が三尾になった。
そうなると次はラストの言うようにボスか、それとも尻尾が増えるのか。
やや緊張した面持ちで一行は歩みを進める。
「あー……尻尾が四本が二体……」
「まーだ増えるのか……」
三尾上限説は早くも崩れ去った。
今度は尻尾が四本に分かれた白キツネが三尾の白キツネに混じって走ってきていた。
「確実に成長しているな……」
四尾の白キツネは尻尾一本につき一つ火球を生み出した。
三本で一つ生み出していた三尾の白キツネよりも進化している。
「聖なる力によって魔を退ける壁となれ、聖壁展開!」
「こんにゃろーめ!」
四尾の白キツネ二体だけで八個の火球が飛んでくる。
三尾のキツネも放つ分を加えると飛んでくる火球は二桁になる。
流石に多いのでアルフォンスとニャロが神聖力による防御魔法を展開する。
聖壁にぶつかり火球が爆ぜる。
「くっ……!」
意外と破壊力があって二人が顔をしかめる。
まだ壊れはしないけれど、こんなペースで火球を当て続けられるとあっという間に消耗してしまう。
「アイツら!」
白キツネはさらに知恵を見せてくる。
このまま役割分担をして襲いかかってくるのかと思いきや急に白キツネたちは動きを止めた。
距離を詰めることなく火球を作っては放つ、遠距離攻撃に徹してきた。
まさか接近してこないなんて感心すら覚えてしまう。
「ルフォン、四尾のキツネからやるぞ!」
「分かった!」
魔法を防ぐアルフォンスやニャロのためにも四尾の白キツネは早めに倒さねばならない。
リスクはあるがしょうがない。
リュードやルフォン、ウィドウらが白く輝く壁から飛び出して白キツネのところに走る。
三尾の白キツネが火球を放ったり爪で切り付けてきたり邪魔をするけど、それらをかわしてまず四尾の白キツネに近づく。
四本の尻尾から火球を飛ばしながら逃げる四尾の白キツネ。
ルフォンは火球をかわしながら追いかけるが、かわしながらではなかなか距離が詰まらない。
「逃すか!」
リュードは三尾の白キツネの攻撃をかわしながらルフォンと四尾の白キツネの追いかけっこを観察した。
動きを予想し、先回りして剣を振り下ろした。
「おっ?」
四尾の白キツネはリュードの剣を尻尾で防いだ。
フワリと包み込むように剣を受けて威力を殺した。
フワフワな尻尾にも魔法を放つ以外の使い方があったのである。
進んでいくとまたしても白キツネの襲撃。
今回は七体の白キツネで、その全てが三尾だった。
数が多すぎないことがせめてもの救いだが、全部が三尾になった時にどう戦ってくるのかみんな警戒して待ち構える。
「火球だ! 当たらないように気をつけろ!」
白キツネは走りながら尻尾の先を寄せて火球を生み出す。
魔法は大きくなれば大きくなるほど止まって集中する必要があるが、白キツネの火球は走りながらでも放つことに問題はないようだ
一体につき一個の火球が放たれる。
「これはどうだ!」
リュードが水の魔法を放つ。
火には水、この世界でも変わらぬ法則だ。
「効果はありそうだな」
若干リュードの魔法が押されたものの火球を相殺することができた。
火球を回避したり魔法で相殺したりする間に三尾の白キツネは目前まで迫っていた。
三体の白キツネは速さを緩め、四体が前に出る。
役割を分けているようにリュードには見えた。
「へへーん!」
「強みが仇となったな!」
こちらも白キツネと戦ってきて、少し相手のことも分かってきた。
ブレスはあえて火の魔法を放った。
火属性に耐性のある白キツネはなんの躊躇いもなく魔法に突っ込んでいったが、効かないことなんて分かっている。
魔法を突き破った三尾の白キツネの額に矢が刺さった。
「よっし!」
ラストとブレスの連携攻撃である。
ブレスの魔法の直後にラストは矢を放った。
火の魔法が目隠しとなり白キツネは矢に気づかず、しかもこれまでと同じく火の魔法をそのまま頭から突っ込んで消してくれた。
火に対してはむしろ突っ込んでくるという傾向があることも分かっていての攻撃だ。
防御は尻尾が増えようとあまり変わらない。
容易く頭に矢が刺さって、一体倒すことができた。
「ラスト危ない!」
「グエッ!」
リュードがラストを引っ張る。
火球がラストめがけて飛んできていたのだ。
とっさだったので襟を掴んでしまう形になって、ラストが変な声を出していた。
「知恵もつけているな」
三尾の白キツネは相手の隙を見ている。
火球を放つ三尾の白キツネはやや散開するようにして色々な方向から狙ってきている。
「ふん、こっちだって知恵はあるんだよ! アイスウォール!」
ブレスが氷で壁を作る。
下がって火球を放つ隙を伺う白キツネを遮断する。
「へん! バーカ!」
離れて戦うなら分断してしまえばいい。
多少魔力の消耗は激しいが、安全に戦うことを優先した。
「えっ、ちょっと待てよ!」
しかし氷の壁が炎で燃え出す。
これならもっと魔力の消費は激しくても土壁の方が良かったかとブレスは舌打ちする。
「まあ、十分だ!」
けれど氷の壁が溶けて向こうの白キツネが来るまでには少し時間がある。
その間に集中して三尾の白キツネを倒す。
「消すぞ!」
接近してきた三尾の白キツネを倒してリュードたちは壁近くまで走る。
ブレスが氷の壁を消すと外にいた三尾の白キツネたちからすると、すぐ近くにいきなりリュードたちがいることになる。
驚く白キツネに一斉に攻撃を仕掛ける。
「賢いんだから賢くないんだか分からないにゃ」
役割分担なんかの知恵はあるが、あっさりと分断されたり火の魔法の後ろの矢に気づかなかったりと半端な賢さがある。
「すまないな、アルフォンス」
「いえいえ。みなさんを守ってのケガですので」
ダリルは浅く腕に切り傷をつけられている。
無傷での完勝も難しくなってきた。
時間はかかるがしっかりと息を整えて先に進むことにする。
全部が三尾になった。
そうなると次はラストの言うようにボスか、それとも尻尾が増えるのか。
やや緊張した面持ちで一行は歩みを進める。
「あー……尻尾が四本が二体……」
「まーだ増えるのか……」
三尾上限説は早くも崩れ去った。
今度は尻尾が四本に分かれた白キツネが三尾の白キツネに混じって走ってきていた。
「確実に成長しているな……」
四尾の白キツネは尻尾一本につき一つ火球を生み出した。
三本で一つ生み出していた三尾の白キツネよりも進化している。
「聖なる力によって魔を退ける壁となれ、聖壁展開!」
「こんにゃろーめ!」
四尾の白キツネ二体だけで八個の火球が飛んでくる。
三尾のキツネも放つ分を加えると飛んでくる火球は二桁になる。
流石に多いのでアルフォンスとニャロが神聖力による防御魔法を展開する。
聖壁にぶつかり火球が爆ぜる。
「くっ……!」
意外と破壊力があって二人が顔をしかめる。
まだ壊れはしないけれど、こんなペースで火球を当て続けられるとあっという間に消耗してしまう。
「アイツら!」
白キツネはさらに知恵を見せてくる。
このまま役割分担をして襲いかかってくるのかと思いきや急に白キツネたちは動きを止めた。
距離を詰めることなく火球を作っては放つ、遠距離攻撃に徹してきた。
まさか接近してこないなんて感心すら覚えてしまう。
「ルフォン、四尾のキツネからやるぞ!」
「分かった!」
魔法を防ぐアルフォンスやニャロのためにも四尾の白キツネは早めに倒さねばならない。
リスクはあるがしょうがない。
リュードやルフォン、ウィドウらが白く輝く壁から飛び出して白キツネのところに走る。
三尾の白キツネが火球を放ったり爪で切り付けてきたり邪魔をするけど、それらをかわしてまず四尾の白キツネに近づく。
四本の尻尾から火球を飛ばしながら逃げる四尾の白キツネ。
ルフォンは火球をかわしながら追いかけるが、かわしながらではなかなか距離が詰まらない。
「逃すか!」
リュードは三尾の白キツネの攻撃をかわしながらルフォンと四尾の白キツネの追いかけっこを観察した。
動きを予想し、先回りして剣を振り下ろした。
「おっ?」
四尾の白キツネはリュードの剣を尻尾で防いだ。
フワリと包み込むように剣を受けて威力を殺した。
フワフワな尻尾にも魔法を放つ以外の使い方があったのである。


