「ま、これで終わるわけは……ないよな?」
当然あのレベルの魔物だけということはないだろう。
あるいはスノーケイブの時のように、集団で来られたら素早いために戦うのは結構大変かもしれないと最悪は想定しておく。
それでも多少は楽そうだとみんなの気分が軽くなることまでは止められない。
それで油断するほど素人でもない。
魔法重視の戦いではないけれど、火を使わないようにしようとか今一度確認をしておく。
「相手は素早いし、周りの視界も悪い。よく周りを見て、奇襲には警戒しよう」
ウィドウの言葉に皆うなずいて先に進む。
レッドットベアやスノーケイブも白かったけど雪とはまた違っていて、雪の世界からは浮くような存在だった。
けれど白キツネは割と溶け込んでいて視認がしにくい。
木々に隠れるようにして素早く近づいてくると、気付かない間に近くにいる可能性もある。
「いたぞ!」
程なくしてウィドウが走ってくる白キツネを見つけた。
「ん? 尻尾が……二本?」
先頭を走る白キツネの揺れる尻尾が多いとウィドウは目を細める。
揺れているために見間違えたのかと思ったが、走ってくる白キツネの尻尾は確かに二本あった。
フワッフワの尻尾が根元から分かれている。
三匹いる白キツネのうち一匹の尻尾が二本であるのだ。
「ぐおっ! ぬっ……!」
盾を構えて先頭に立ったダリルがコンパクトにメイスを振ったが、あっさりとかわされる。
一瞬で横に回り込んだ二尾の白キツネはダリルに体当たりする。
弾かれた先には一尾の白キツネが前足を振り上げていた。
盾を持ち上げて爪は防ぐが、ダリルは地面に叩きつけられる。
「ダリルさん!」
ハルヴァイがフォローに入る。
一尾の白キツネは大きく飛び退いて双剣を回避する。
「大丈夫にゃ?」
「ふむ、大事ない」
多少背中は痛むが、攻撃そのものは防いだのでケガはない。
ニャロが神聖力でダリルを治療する。
「行かせるかよ!」
二尾のキツネがリュードの横をすり抜けて、後ろに向かおうとした。
知能もそれなりにあるみたいだけれど、リュードとて簡単に抜かせはしない。
いつもは力を重視した戦い方をしているが相手が速さでくるならリュードだって速さで勝負する。
「はっ!」
ルフォンほどの速さはないがリュードだって遅くない。
リュードと二尾の白キツネが戦う。
二尾の白キツネもリュードを引き離して後ろを襲えないが分かったのか、狙いをリュードに変えて戦う。
リュードの剣をかわし、二尾の白キツネの爪を防ぐ。
リュードが距離を詰めれば二尾の白キツネは距離を保とうとして、二尾の白キツネが詰めればリュードが距離を空ける。
「ふむ……あのような戦いもできるのか」
そうしてリーダー的な二尾の白キツネをリュードが引きつけている間に、他の一尾の白キツネをみんなで倒す。
ウィドウは速さを生かした戦いもできるリュードに感心していた。
「終わりだ!」
二尾の白キツネの噛みつき攻撃をかわして、リュードが首を切り落とす。
「お疲れ様」
「ありがとう」
「二尾の白キツネは一尾の白キツネよりも速く力も強かったな」
尻尾が増えただけではない。
二尾の白キツネは一尾の白キツネよりも能力が上であった。
それに何となく二尾の白キツネを中心にして戦っていたように見えた。
「まだ確証はないけどこの先にどうなっていくのか何となく予想できるな」
リュードの予想は次の白キツネの襲撃でさらに確信めいたものになった。
今度は一尾の白キツネの姿はなく、全てが二尾の白キツネになっていた白キツネの襲撃だった。
パワーアップはしているが、そんなに大きな違いはないので冷静に対処すれば怖い相手でもなかった。
出てくる数もそんなに多くはないので、数的にも余裕を持って戦えた。
「次は……」
「また増えてやがる!」
もう一度二尾の白キツネの集団との戦いを挟んで、今度は二尾の白キツネに尻尾が三本に分かれた白キツネが混じっていた。
二尾の白キツネを引き離すように走ってくる三尾の白キツネは、速度は二尾よりも明らかに足が速い。
「な、なんだ!」
「危ない!」
三本の尻尾の先端が集まるように動き、尻尾の先に青い炎が生み出された。
走りながら打ち出された炎は真っ直ぐにルフォンの方に飛んでいった。
「ふううん!」
それに気づいたダリルがルフォンの前に出ると、炎を盾で防ぐ。
ダリルの体が大きく後ろに押されるも衝撃に耐え切った。
「盾を捨てろ!」
盾に当たって爆ぜた炎はなぜかまだ青く燃え続けていた。
ウィドウの言葉に反応して、ダリルが盾を投げ捨てる。
金属製の盾なので燃えはしない。
なのに炎は盾全体に燃え広がって、突如としてプスリと消えた。
「アッツ!」
「もうちょっと冷めるまで待たなきゃな」
ダリルの盾は金属製のものである。
それなのに盾が全部燃えるほど炎が広がった。
「消えない炎か」
「相手を燃やし尽くすまで燃え広がる特殊な火の魔法だな」
盾全体に燃え広がったことで燃やし尽くしたとなったので火は消えた。
ダリルがあのまま盾を持っていたら、ダリルの体全体に炎が広がり、死ぬまで燃え続けていたことになる。
「火が通じない理由が分かったよ」
白キツネも火を扱う。
しかも消えない火は消えないという呪いのような性質を持っていて特殊で上級な能力になる。
例え火を放てない一尾や二尾でも、将来的にはそのような火を扱うことができるから火属性に対する耐性を持っていたのだ。
「気をつけろ! あの火に当たってはダメだ! もし燃えたら早めに服を脱ぐんだな」
三尾の白キツネはさらに速さと力が強くなっている。
けれどそんなに前に出てこないで、最初の攻撃だけ仕掛けて後は後ろに下がり、二尾の白キツネが前に出た。
当然あのレベルの魔物だけということはないだろう。
あるいはスノーケイブの時のように、集団で来られたら素早いために戦うのは結構大変かもしれないと最悪は想定しておく。
それでも多少は楽そうだとみんなの気分が軽くなることまでは止められない。
それで油断するほど素人でもない。
魔法重視の戦いではないけれど、火を使わないようにしようとか今一度確認をしておく。
「相手は素早いし、周りの視界も悪い。よく周りを見て、奇襲には警戒しよう」
ウィドウの言葉に皆うなずいて先に進む。
レッドットベアやスノーケイブも白かったけど雪とはまた違っていて、雪の世界からは浮くような存在だった。
けれど白キツネは割と溶け込んでいて視認がしにくい。
木々に隠れるようにして素早く近づいてくると、気付かない間に近くにいる可能性もある。
「いたぞ!」
程なくしてウィドウが走ってくる白キツネを見つけた。
「ん? 尻尾が……二本?」
先頭を走る白キツネの揺れる尻尾が多いとウィドウは目を細める。
揺れているために見間違えたのかと思ったが、走ってくる白キツネの尻尾は確かに二本あった。
フワッフワの尻尾が根元から分かれている。
三匹いる白キツネのうち一匹の尻尾が二本であるのだ。
「ぐおっ! ぬっ……!」
盾を構えて先頭に立ったダリルがコンパクトにメイスを振ったが、あっさりとかわされる。
一瞬で横に回り込んだ二尾の白キツネはダリルに体当たりする。
弾かれた先には一尾の白キツネが前足を振り上げていた。
盾を持ち上げて爪は防ぐが、ダリルは地面に叩きつけられる。
「ダリルさん!」
ハルヴァイがフォローに入る。
一尾の白キツネは大きく飛び退いて双剣を回避する。
「大丈夫にゃ?」
「ふむ、大事ない」
多少背中は痛むが、攻撃そのものは防いだのでケガはない。
ニャロが神聖力でダリルを治療する。
「行かせるかよ!」
二尾のキツネがリュードの横をすり抜けて、後ろに向かおうとした。
知能もそれなりにあるみたいだけれど、リュードとて簡単に抜かせはしない。
いつもは力を重視した戦い方をしているが相手が速さでくるならリュードだって速さで勝負する。
「はっ!」
ルフォンほどの速さはないがリュードだって遅くない。
リュードと二尾の白キツネが戦う。
二尾の白キツネもリュードを引き離して後ろを襲えないが分かったのか、狙いをリュードに変えて戦う。
リュードの剣をかわし、二尾の白キツネの爪を防ぐ。
リュードが距離を詰めれば二尾の白キツネは距離を保とうとして、二尾の白キツネが詰めればリュードが距離を空ける。
「ふむ……あのような戦いもできるのか」
そうしてリーダー的な二尾の白キツネをリュードが引きつけている間に、他の一尾の白キツネをみんなで倒す。
ウィドウは速さを生かした戦いもできるリュードに感心していた。
「終わりだ!」
二尾の白キツネの噛みつき攻撃をかわして、リュードが首を切り落とす。
「お疲れ様」
「ありがとう」
「二尾の白キツネは一尾の白キツネよりも速く力も強かったな」
尻尾が増えただけではない。
二尾の白キツネは一尾の白キツネよりも能力が上であった。
それに何となく二尾の白キツネを中心にして戦っていたように見えた。
「まだ確証はないけどこの先にどうなっていくのか何となく予想できるな」
リュードの予想は次の白キツネの襲撃でさらに確信めいたものになった。
今度は一尾の白キツネの姿はなく、全てが二尾の白キツネになっていた白キツネの襲撃だった。
パワーアップはしているが、そんなに大きな違いはないので冷静に対処すれば怖い相手でもなかった。
出てくる数もそんなに多くはないので、数的にも余裕を持って戦えた。
「次は……」
「また増えてやがる!」
もう一度二尾の白キツネの集団との戦いを挟んで、今度は二尾の白キツネに尻尾が三本に分かれた白キツネが混じっていた。
二尾の白キツネを引き離すように走ってくる三尾の白キツネは、速度は二尾よりも明らかに足が速い。
「な、なんだ!」
「危ない!」
三本の尻尾の先端が集まるように動き、尻尾の先に青い炎が生み出された。
走りながら打ち出された炎は真っ直ぐにルフォンの方に飛んでいった。
「ふううん!」
それに気づいたダリルがルフォンの前に出ると、炎を盾で防ぐ。
ダリルの体が大きく後ろに押されるも衝撃に耐え切った。
「盾を捨てろ!」
盾に当たって爆ぜた炎はなぜかまだ青く燃え続けていた。
ウィドウの言葉に反応して、ダリルが盾を投げ捨てる。
金属製の盾なので燃えはしない。
なのに炎は盾全体に燃え広がって、突如としてプスリと消えた。
「アッツ!」
「もうちょっと冷めるまで待たなきゃな」
ダリルの盾は金属製のものである。
それなのに盾が全部燃えるほど炎が広がった。
「消えない炎か」
「相手を燃やし尽くすまで燃え広がる特殊な火の魔法だな」
盾全体に燃え広がったことで燃やし尽くしたとなったので火は消えた。
ダリルがあのまま盾を持っていたら、ダリルの体全体に炎が広がり、死ぬまで燃え続けていたことになる。
「火が通じない理由が分かったよ」
白キツネも火を扱う。
しかも消えない火は消えないという呪いのような性質を持っていて特殊で上級な能力になる。
例え火を放てない一尾や二尾でも、将来的にはそのような火を扱うことができるから火属性に対する耐性を持っていたのだ。
「気をつけろ! あの火に当たってはダメだ! もし燃えたら早めに服を脱ぐんだな」
三尾の白キツネはさらに速さと力が強くなっている。
けれどそんなに前に出てこないで、最初の攻撃だけ仕掛けて後は後ろに下がり、二尾の白キツネが前に出た。


