「まあアイツら知能高そうだからもう襲ってくることもないだろ」
ボスが倒され、大きな群れも一掃された。
知能があるなら勝てないことは分かるはずで、現にスノーケイブキングを倒して以来スノーケイブは出てきていない。
「ここまでは情報があったけどここからは何もないからな。気を引き締めていこう」
ケモノ型の魔物がいるかもしれないという噂はあるが、かなり抽象的で薄い噂にしか過ぎない。
スノーケイブキングの襲撃を乗り越えられる人たちがリュードたちの他にいなかった以上は情報がないのである。
「しかし……本当にルフォンさんがいてくれて助かるな」
変化に乏しい景色は人の精神を大きく狂わせる。
精神的な疲労も大きな中でルフォンの料理は本当に唯一と言っていい楽しみである。
ルフォンがいなくて今も食事が楽しみだと自分に言い聞かせて特にうまくもない携帯食糧を食べていたら考えるとため息が出る。
「リュードの腕っ節は俺にも引けを取らないし戦いのリュード、料理のルフォン、そしてスノーケイブキラーのラストだな」
「雪に埋めるよ?」
「はははっ!」
納得いかないが、暇な時間を少しでも笑いに変えられるならと唇を尖らせて不満を我慢する。
もっとじわじわと苦しめてスノーケイブキングを倒してやればよかった、と今更ながら後悔する。
こう変化に乏しくてやることもないと、するのは口を動かすことぐらい。
不思議なものでキッカケもなかったのに、誰かが何かを話し出したりすることはままあることだ。
「この攻略が終わったら身の振り方も考えねばならないな」
今回はウィドウだった。
ふと始まった身の上話。
ウィドウはなんと既婚者だった。
お相手は元聖職者で、ウィドウのパーティーにも所属していた人である。
今でこそウィドウも物腰柔らかく思慮深いが、若い頃は無茶も多くて教会にお世話になることも多かった。
よく治療を担当してくれたのがウィドウの奥さんで、恋仲になるのも自然な流れだった。
怪我も多く不安な冒険者だっただろう。
だけど教会は二人の仲を応援し、冒険者としてウィドウの奥さんが活動することを許してくれた。
そしていつしか実力をつけていったウィドウは十分な稼ぎも出来て結婚を申し出た。
教会は大きく二人を祝福してくれた。
それだけではなく、結婚する前の貧乏な時仕事を回してくれたり、治療費の割引をしてくれたりなんてこともあった。
だからウィドウは教会に感謝をしていて今回の依頼も引き受けたのだ。
プラチナランクになってから俄然稼ぎが変わり、今は奥さんの故郷で暮らしている。
奥さんは冒険者を引退して子供を育てているのであった。
「もう俺も若くはない。これが上手くいって貰えるもの貰えたら引退するのもありかもしれないな」
ここまでウィドウは大きなケガもなく、五体満足でやれている。
英雄のような活躍を見せた若い冒険者が、一瞬の判断のミスで命や体の一部を失ってしまったこともある。
それを考えるに冒険者の中でも高齢といえるウィドウが無事に生きていられることは奇跡だ。
抗えぬ年齢による衰えも感じ始めていた。
経験や魔力のコントロールは最盛期なので衰えを超え、その技量を保っているが、いつ衰えの方が逆転するか分からない。
それが戦いの最中なら命を落とすことにも繋がりかねない。
自分の進むべき道を今一度見直す時が来たとウィドウは考えていた。
「いつまでも戦いの中に身は置いていられない。適切な引き際も大事なものだ」
戦いにおいて適切に引き際を見極めて生き残ってきたウィドウの、冒険者としての引き際も見据えて動かなきゃいけない。
ウィドウだけではない、ケフィズサンのメンバーも冒険者の中で見ると高齢といえる人たちだ。
引退後の第二の人生をどう生きるかを考えることは大切なことである。
プラチナランクやゴールドランクまで上がることができれば稼ぎも大きくなる。
散財せずに貯めておけば第二の人生が安定するまで余裕で生きていける。
プラチナランクなら引退後でも引くて数多なので、生きてさえいれは心配は少ないだろう。
おそらく人柄も良いウィドウやケフィズサンのメンバーなら冒険者ギルドや貴族なんかから声がかかるはずだ。
どこかの町で衛兵や貴族の護衛、あるいは経験を生かした貴族の家庭教師やアカデミーの先生なんて道もあるかもしれない。
「なんだかしんみりとしてしまったな」
冒険者の旬は短い。
ウィドウの話を聞いてリュードたちも思うところはある。
「そこに関して聖職者はいいよな。大変なこともあんだろうが生活の心配は俺たちより少ないからな」
その点において聖職者は戦いに出ることをやめてもやることはある。
教会で働けば衣食住に困ることはなく、神聖力を必要とする場面は意外と多いので求められる場所もある。
特に使徒や聖者にまでなると教会内で重宝されるし現場レベルでも長くやっているし、上の役職にも就くことができる。
年をとって戦場に出なくとも神聖力を腐らせることは少ない。
「お前らはまだそう言ったことを考えるには早いか。もう少し俺が若ければ共に活動することを誘っていたぐらいだ」
「いえ、今からでも貯めるもんは貯めてのんびり人生も夢見てますよ」
「はははっ、それはいいな! 俺の若い時はとにかく有名になりたい、金を稼ぎたいと思っていたもんだがな」
リュードの言葉にウィドウは笑う。
しっかりと現実を見ているのも悪くはない。
ボスが倒され、大きな群れも一掃された。
知能があるなら勝てないことは分かるはずで、現にスノーケイブキングを倒して以来スノーケイブは出てきていない。
「ここまでは情報があったけどここからは何もないからな。気を引き締めていこう」
ケモノ型の魔物がいるかもしれないという噂はあるが、かなり抽象的で薄い噂にしか過ぎない。
スノーケイブキングの襲撃を乗り越えられる人たちがリュードたちの他にいなかった以上は情報がないのである。
「しかし……本当にルフォンさんがいてくれて助かるな」
変化に乏しい景色は人の精神を大きく狂わせる。
精神的な疲労も大きな中でルフォンの料理は本当に唯一と言っていい楽しみである。
ルフォンがいなくて今も食事が楽しみだと自分に言い聞かせて特にうまくもない携帯食糧を食べていたら考えるとため息が出る。
「リュードの腕っ節は俺にも引けを取らないし戦いのリュード、料理のルフォン、そしてスノーケイブキラーのラストだな」
「雪に埋めるよ?」
「はははっ!」
納得いかないが、暇な時間を少しでも笑いに変えられるならと唇を尖らせて不満を我慢する。
もっとじわじわと苦しめてスノーケイブキングを倒してやればよかった、と今更ながら後悔する。
こう変化に乏しくてやることもないと、するのは口を動かすことぐらい。
不思議なものでキッカケもなかったのに、誰かが何かを話し出したりすることはままあることだ。
「この攻略が終わったら身の振り方も考えねばならないな」
今回はウィドウだった。
ふと始まった身の上話。
ウィドウはなんと既婚者だった。
お相手は元聖職者で、ウィドウのパーティーにも所属していた人である。
今でこそウィドウも物腰柔らかく思慮深いが、若い頃は無茶も多くて教会にお世話になることも多かった。
よく治療を担当してくれたのがウィドウの奥さんで、恋仲になるのも自然な流れだった。
怪我も多く不安な冒険者だっただろう。
だけど教会は二人の仲を応援し、冒険者としてウィドウの奥さんが活動することを許してくれた。
そしていつしか実力をつけていったウィドウは十分な稼ぎも出来て結婚を申し出た。
教会は大きく二人を祝福してくれた。
それだけではなく、結婚する前の貧乏な時仕事を回してくれたり、治療費の割引をしてくれたりなんてこともあった。
だからウィドウは教会に感謝をしていて今回の依頼も引き受けたのだ。
プラチナランクになってから俄然稼ぎが変わり、今は奥さんの故郷で暮らしている。
奥さんは冒険者を引退して子供を育てているのであった。
「もう俺も若くはない。これが上手くいって貰えるもの貰えたら引退するのもありかもしれないな」
ここまでウィドウは大きなケガもなく、五体満足でやれている。
英雄のような活躍を見せた若い冒険者が、一瞬の判断のミスで命や体の一部を失ってしまったこともある。
それを考えるに冒険者の中でも高齢といえるウィドウが無事に生きていられることは奇跡だ。
抗えぬ年齢による衰えも感じ始めていた。
経験や魔力のコントロールは最盛期なので衰えを超え、その技量を保っているが、いつ衰えの方が逆転するか分からない。
それが戦いの最中なら命を落とすことにも繋がりかねない。
自分の進むべき道を今一度見直す時が来たとウィドウは考えていた。
「いつまでも戦いの中に身は置いていられない。適切な引き際も大事なものだ」
戦いにおいて適切に引き際を見極めて生き残ってきたウィドウの、冒険者としての引き際も見据えて動かなきゃいけない。
ウィドウだけではない、ケフィズサンのメンバーも冒険者の中で見ると高齢といえる人たちだ。
引退後の第二の人生をどう生きるかを考えることは大切なことである。
プラチナランクやゴールドランクまで上がることができれば稼ぎも大きくなる。
散財せずに貯めておけば第二の人生が安定するまで余裕で生きていける。
プラチナランクなら引退後でも引くて数多なので、生きてさえいれは心配は少ないだろう。
おそらく人柄も良いウィドウやケフィズサンのメンバーなら冒険者ギルドや貴族なんかから声がかかるはずだ。
どこかの町で衛兵や貴族の護衛、あるいは経験を生かした貴族の家庭教師やアカデミーの先生なんて道もあるかもしれない。
「なんだかしんみりとしてしまったな」
冒険者の旬は短い。
ウィドウの話を聞いてリュードたちも思うところはある。
「そこに関して聖職者はいいよな。大変なこともあんだろうが生活の心配は俺たちより少ないからな」
その点において聖職者は戦いに出ることをやめてもやることはある。
教会で働けば衣食住に困ることはなく、神聖力を必要とする場面は意外と多いので求められる場所もある。
特に使徒や聖者にまでなると教会内で重宝されるし現場レベルでも長くやっているし、上の役職にも就くことができる。
年をとって戦場に出なくとも神聖力を腐らせることは少ない。
「お前らはまだそう言ったことを考えるには早いか。もう少し俺が若ければ共に活動することを誘っていたぐらいだ」
「いえ、今からでも貯めるもんは貯めてのんびり人生も夢見てますよ」
「はははっ、それはいいな! 俺の若い時はとにかく有名になりたい、金を稼ぎたいと思っていたもんだがな」
リュードの言葉にウィドウは笑う。
しっかりと現実を見ているのも悪くはない。


