「ラストから離れろ!」
リュードは剣を抜いてスノーケイブキングに切りかかる。
ラストに夢中なスノーケイブキングの背中に剣を振り下ろす。
完全に無防備で回避行動すら取らない。
背中をざっくりと切り裂かれ鋭い痛みにようやくリュードの存在を認識する。
邪魔者の乱入に一瞬にしてスノーケイブキングは怒る。
「ぶっ飛べ!」
けれど怒っているのはリュードだって同じ。
リュードは魔力を一気に放って雷の塊を撃ち出した。
爆発のように破裂してスノーケイブキング何が起きたかも分からないままぶっ飛んで氷壁にぶつかった。
「うわーん! リュード!」
ドバッと涙を流してラストがリュードに飛びつく。
こんなに怖かったことなどレストの大事にしていた母親の形見を誤って壊してしまい、それを隠そうとして怒られた時以来である。
リュードはラストを受け止めて背中を優しく撫でる。
「大丈夫か、ラスト?」
「うん、ケガはないけど……すごく怖かった。頭とか触られた……リュード、撫でて」
あのままエスカレートしていったらどうなっていたことか分からない。
ラストは身震いして強くリュードを抱きしめる。
リュードもラストの気が落ち着くならと頭を撫でてやる。
何がしたくてラストを誘拐したのか、リュードもこの場では理解できていなかった。
「俺が来たからにはもう安心だ。あんな変態魔物にラストなんかくれてやれるか。だから……ちゃんと倒さなきゃな」
リュードはラストからスノーケイブキングに視線を移した。
スノーケイブキングはまだ死んでいない。
目の前で雷が爆発して目がチカチカとしているスノーケイブキングは頭を振っている。
「ラスト、下がってろ」
「ううん、私もやる。アイツぶっ飛ばさなきゃ私の気が済まない……!」
「そうか。じゃあこれ使え」
リュードは腰に付けた袋の中から弓を取り出した。
ラストの弓はスノーケイブキングに掴まれた時に落としてしまった。
だから差し出したのは、ドワーフたちがリュードに献上した武器の一つである。
ラストに合わせて作られた弓には及ばないだろうけど、ただの武器屋に売っているものから見れば遥かに良いものだ。
腰に差した剣もあるけれど、ラストの本気はやはり弓である。
「あんがと」
不快にさせられた分ぶっ飛ばしてやるとラストは意気込んでいる。
矢の詰まっている矢筒も渡して二人はスノーケイブキングと対峙する。
パッと見た限りでは氷壁の内側にも外に出られそうなところは見当たらない。
逃げるという選択肢を取るつもりはないけど、どの道逃げることはできない。
奇妙な体の痺れが収まるのを待っていたスノーケイブキングは、愛しのラストがリュードと抱き合っていることを目撃していた。
自分のメスなのにと目の前がチカチカするほどの怒りを覚えてスノーケイブキングは咆哮した。
「うるさいなぁ……!」
もうスノーケイブキングの行動の全てが不愉快だとラストは顔をしかめる。
高く飛び上がったスノーケイブキングは両腕を大きく振り上げた。
「ラスト、下がれ!」
リュードを目がけて振り下ろされた拳を飛び退いてかわす。
そのままスノーケイブキングは地面を叩きつけた。
「グッ!」
大地が揺れ、衝撃で雪が舞い上がってリュードを襲う。
視界が白く染まってスノーケイブキングを一瞬見失う。
雪の向こうに僅かに黒い影が見えて、リュードは体をねじった。
スノーケイブキングの拳が頬を掠める。
「リュード!」
「大丈夫だ!」
掠めただけでも頬が切れて血が滴る。
「くっ、速いな!」
拳で戦う相手のの厄介なところは回転の早さが一つ挙げられるだろう。
距離を詰められれば剣よりも手数が多く、素早く攻撃を繰り出すことができる。
「ガッ!」
初撃をかわして続く拳もどうにか避けたが、無理にかわしたために回避が続かなかった。
とっさに剣を差し込んでガードはしたが、リュードはそのまま殴り飛ばされる。
地面と並行に飛んでいき、柔らかい雪の上を何度か跳ねる。
「く、来るな!」
邪魔者を倒した。
リュードのことを確認することもなく、スノーケイブキングは鼻の下を伸ばしてラストの方に向かう。
矢をつがえ、怒りのこもった目で照準を合わせて矢を放つ。
スノーケイブキングの肩に矢が刺さって魔力が爆発する。
メスに抵抗された。
しかもそこそこ痛い。
一瞬にしてスノーケイブキングの頭に血が上る。
やられたらやり返すというほとんど本能のように拳を振り上げる。
「女性に手をあげるのは感心しないな」
トドメを刺されにきたらヤバかったかもしれない。
ポーションの入っていた小瓶を投げ捨てながらリュードはスノーケイブキングの背後に迫る。
狙いは最初につけた背中の大傷。
魔物の高い治癒力で少しずつ治ってきているけれど、完全な回復には時間がかかるのでまだ治っていない。
またラストに気を取られて背中がガラ空きだ。
雷が走る剣を振る。
ピタリと大傷を再びリュードの剣が切り裂いてスノーケイブキングが痛みに声を上げた。
「もういっちょ!」
剣に込められた電撃でスノーケイブキングは動けない。
大傷とクロスするような形でさらに背中を大きく切り裂いた。
リュードは剣を抜いてスノーケイブキングに切りかかる。
ラストに夢中なスノーケイブキングの背中に剣を振り下ろす。
完全に無防備で回避行動すら取らない。
背中をざっくりと切り裂かれ鋭い痛みにようやくリュードの存在を認識する。
邪魔者の乱入に一瞬にしてスノーケイブキングは怒る。
「ぶっ飛べ!」
けれど怒っているのはリュードだって同じ。
リュードは魔力を一気に放って雷の塊を撃ち出した。
爆発のように破裂してスノーケイブキング何が起きたかも分からないままぶっ飛んで氷壁にぶつかった。
「うわーん! リュード!」
ドバッと涙を流してラストがリュードに飛びつく。
こんなに怖かったことなどレストの大事にしていた母親の形見を誤って壊してしまい、それを隠そうとして怒られた時以来である。
リュードはラストを受け止めて背中を優しく撫でる。
「大丈夫か、ラスト?」
「うん、ケガはないけど……すごく怖かった。頭とか触られた……リュード、撫でて」
あのままエスカレートしていったらどうなっていたことか分からない。
ラストは身震いして強くリュードを抱きしめる。
リュードもラストの気が落ち着くならと頭を撫でてやる。
何がしたくてラストを誘拐したのか、リュードもこの場では理解できていなかった。
「俺が来たからにはもう安心だ。あんな変態魔物にラストなんかくれてやれるか。だから……ちゃんと倒さなきゃな」
リュードはラストからスノーケイブキングに視線を移した。
スノーケイブキングはまだ死んでいない。
目の前で雷が爆発して目がチカチカとしているスノーケイブキングは頭を振っている。
「ラスト、下がってろ」
「ううん、私もやる。アイツぶっ飛ばさなきゃ私の気が済まない……!」
「そうか。じゃあこれ使え」
リュードは腰に付けた袋の中から弓を取り出した。
ラストの弓はスノーケイブキングに掴まれた時に落としてしまった。
だから差し出したのは、ドワーフたちがリュードに献上した武器の一つである。
ラストに合わせて作られた弓には及ばないだろうけど、ただの武器屋に売っているものから見れば遥かに良いものだ。
腰に差した剣もあるけれど、ラストの本気はやはり弓である。
「あんがと」
不快にさせられた分ぶっ飛ばしてやるとラストは意気込んでいる。
矢の詰まっている矢筒も渡して二人はスノーケイブキングと対峙する。
パッと見た限りでは氷壁の内側にも外に出られそうなところは見当たらない。
逃げるという選択肢を取るつもりはないけど、どの道逃げることはできない。
奇妙な体の痺れが収まるのを待っていたスノーケイブキングは、愛しのラストがリュードと抱き合っていることを目撃していた。
自分のメスなのにと目の前がチカチカするほどの怒りを覚えてスノーケイブキングは咆哮した。
「うるさいなぁ……!」
もうスノーケイブキングの行動の全てが不愉快だとラストは顔をしかめる。
高く飛び上がったスノーケイブキングは両腕を大きく振り上げた。
「ラスト、下がれ!」
リュードを目がけて振り下ろされた拳を飛び退いてかわす。
そのままスノーケイブキングは地面を叩きつけた。
「グッ!」
大地が揺れ、衝撃で雪が舞い上がってリュードを襲う。
視界が白く染まってスノーケイブキングを一瞬見失う。
雪の向こうに僅かに黒い影が見えて、リュードは体をねじった。
スノーケイブキングの拳が頬を掠める。
「リュード!」
「大丈夫だ!」
掠めただけでも頬が切れて血が滴る。
「くっ、速いな!」
拳で戦う相手のの厄介なところは回転の早さが一つ挙げられるだろう。
距離を詰められれば剣よりも手数が多く、素早く攻撃を繰り出すことができる。
「ガッ!」
初撃をかわして続く拳もどうにか避けたが、無理にかわしたために回避が続かなかった。
とっさに剣を差し込んでガードはしたが、リュードはそのまま殴り飛ばされる。
地面と並行に飛んでいき、柔らかい雪の上を何度か跳ねる。
「く、来るな!」
邪魔者を倒した。
リュードのことを確認することもなく、スノーケイブキングは鼻の下を伸ばしてラストの方に向かう。
矢をつがえ、怒りのこもった目で照準を合わせて矢を放つ。
スノーケイブキングの肩に矢が刺さって魔力が爆発する。
メスに抵抗された。
しかもそこそこ痛い。
一瞬にしてスノーケイブキングの頭に血が上る。
やられたらやり返すというほとんど本能のように拳を振り上げる。
「女性に手をあげるのは感心しないな」
トドメを刺されにきたらヤバかったかもしれない。
ポーションの入っていた小瓶を投げ捨てながらリュードはスノーケイブキングの背後に迫る。
狙いは最初につけた背中の大傷。
魔物の高い治癒力で少しずつ治ってきているけれど、完全な回復には時間がかかるのでまだ治っていない。
またラストに気を取られて背中がガラ空きだ。
雷が走る剣を振る。
ピタリと大傷を再びリュードの剣が切り裂いてスノーケイブキングが痛みに声を上げた。
「もういっちょ!」
剣に込められた電撃でスノーケイブキングは動けない。
大傷とクロスするような形でさらに背中を大きく切り裂いた。


