「君たちは食事を楽しんでいない! その理由、教えてもらおうか……」
周りへの気配りもまたリーダーとして必要な能力である。
よく周りの様子を観察して必要なことや物を見抜いて、適切にフォローしてあげるのが大切だ。
長いことパーティーのリーダーをやってきたウィドウは冒険者としてだけでなく、こうしたパーティーのリーダーとしても優秀である。
みんなの様子を見ていてウィドウは気づいてしまった。
リュードたちが食事の時にテンション低めであることに。
変わり映えのしない景色、警戒を解けない状況の中でも安らぐことができるのが食事である。
唯一の楽しみと言える食事の時間なのに、リュードたちは少し冷めた目をしている。
確かに持っている食料では、華やかな食事とはいかないだろう。
そうであってもささやかな幸せを感じるのが人ってものだ。
そこでウィドウは考えた。
食事が楽しみでない理由がある。
一応お腹は空いているから食べるのだけど、ただ食べているだけ。
特に嫌いなものがあるわけでもないし、三人が同じく嫌いなものがあるというのもおかしい。
もしかしてこいつら普段から何かもっと食事をお楽しみにしているのではないか。
「そ、それは……」
気配りというか、目ざといなとリュードは思った。
それを堂々と聞いてくるウィドウもウィドウだけど、聞かれてリュードも動揺を見せてしまったのがいけなかった。
そんな質問想定してなかった。
その上に味気ない食事に辟易としていて油断をしてしまっていた。
今現在は料理と言える料理ではない。
焚き火は体を温めるためにあるし、料理のために占領もできない。
物を炙って温めるぐらいはできるけど、それ以上は難しい。
贅沢しているつもりなんてないものの、ルフォンの作ってくれる料理には遥か及ばないと思わざるを得ないのだ。
それを見抜かれてしまったリュードたちだが、どう答えたらいいものか迷う。
ご飯美味しくないです、とも答えにくい。
「……分かった」
「ウィドウ?」
おもむろに立ち上がったウィドウは自分のテントに行った。
そして何かの袋を持って出てきた。
「ほれ」
「えっと?」
袋を差し出すのでとりあえず受け取ってみた。
ずっしりとした重みがあって、ジャラリと聞こえてくる金属音には聞き覚えがある。
聞かずとも中身が何か分かった。
「これって……」
「金だ」
「ええっ!?」
「金なら払う。そんな顔をしていたということは飯をもっと楽しむ秘訣があるのだろう? 教えてくれ。いや、美味い飯を食えるなら食わせてほしい!」
味気ない食事でもウィドウは楽しみしているが、美味い物を食えるならその方がいいに決まっている。
リュードは手にかかる重みから中の額を想像するが、結構な金額だと思う。
とんでもない交渉術に焦る。
みんなは黙っておもしろそうに事の成り行きを見守っている。
「ん? 足りないか? ならもっと……」
「いやいや! 足りないなんてことはないですよ!」
「では教えてくれ!」
「う……」
ただ秘訣なんて大層なものではない。
腕のいい料理人と料理できる環境を整えられる、なんていう話なのだ。
「んー、いいんじゃない?」
「……分かりました。お教えしましょう」
リュードが困った視線をルフォンに送った。
するとシェフの許可が降りた。
悪い人たちではないのだしいいんじゃないか、とシェフことルフォンは大きくうなずいた。
このことに関してはルフォンが絶対である。
ウィドウは勘も良く人をよくみているので、断るなら正面から断るしかない。
誤魔化したりウソをついてもきっとバレてしまう。
ルフォンがいいと言うのならリュードが断ることはなく、話してしまった方が楽だ。
大きめのテントの中、コンロの下が汚れないようにするためのいたを出して敷き、その上にルフォンご自慢のコンロをドーンと出す。
「これは……」
「魔道具?」
「それにしたってでかい……というかマジックボックスの袋を持っているのか。容量も桁違いだな」
「こんなものどこに売ってるんだ?」
プラチナランクのウィドウだけでなく、聖職者たちも含めてみんながビックリの光景である。
ビックリポイントは複数あった。
「これは料理用の魔道具だな?」
「魔道具のコンロ……の大きいやつだね」
まずはコンロだ。
明らかに持ち運ぶサイズではないガチのコンロが取り出された。
持ち運びのできるコンロの導入はウィドウも検討したことがあるけど、それなら焚き火や火の魔法でも特に困らなかったのでいらなかった。
しかしリュードが取り出したコンロなら火力の調節だったり五徳があるので、常に調理器具を手に持って、みていなきゃいけない必要もない。
複数口があるので同時に色々と調理もできる。
ただし決して安いものではない。
「これいくらだ?」
「結構しそうだよね」
「聖職者の給料じゃ厳しいかもしれませんね」
「私は料理しないからいらないけど……すごいねこれ」
みんなで値段も考えてみるが安くないことだけが言えて、いくらになるのかパッと分からない。
物の値段でいけば高級品なはずだ。
周りへの気配りもまたリーダーとして必要な能力である。
よく周りの様子を観察して必要なことや物を見抜いて、適切にフォローしてあげるのが大切だ。
長いことパーティーのリーダーをやってきたウィドウは冒険者としてだけでなく、こうしたパーティーのリーダーとしても優秀である。
みんなの様子を見ていてウィドウは気づいてしまった。
リュードたちが食事の時にテンション低めであることに。
変わり映えのしない景色、警戒を解けない状況の中でも安らぐことができるのが食事である。
唯一の楽しみと言える食事の時間なのに、リュードたちは少し冷めた目をしている。
確かに持っている食料では、華やかな食事とはいかないだろう。
そうであってもささやかな幸せを感じるのが人ってものだ。
そこでウィドウは考えた。
食事が楽しみでない理由がある。
一応お腹は空いているから食べるのだけど、ただ食べているだけ。
特に嫌いなものがあるわけでもないし、三人が同じく嫌いなものがあるというのもおかしい。
もしかしてこいつら普段から何かもっと食事をお楽しみにしているのではないか。
「そ、それは……」
気配りというか、目ざといなとリュードは思った。
それを堂々と聞いてくるウィドウもウィドウだけど、聞かれてリュードも動揺を見せてしまったのがいけなかった。
そんな質問想定してなかった。
その上に味気ない食事に辟易としていて油断をしてしまっていた。
今現在は料理と言える料理ではない。
焚き火は体を温めるためにあるし、料理のために占領もできない。
物を炙って温めるぐらいはできるけど、それ以上は難しい。
贅沢しているつもりなんてないものの、ルフォンの作ってくれる料理には遥か及ばないと思わざるを得ないのだ。
それを見抜かれてしまったリュードたちだが、どう答えたらいいものか迷う。
ご飯美味しくないです、とも答えにくい。
「……分かった」
「ウィドウ?」
おもむろに立ち上がったウィドウは自分のテントに行った。
そして何かの袋を持って出てきた。
「ほれ」
「えっと?」
袋を差し出すのでとりあえず受け取ってみた。
ずっしりとした重みがあって、ジャラリと聞こえてくる金属音には聞き覚えがある。
聞かずとも中身が何か分かった。
「これって……」
「金だ」
「ええっ!?」
「金なら払う。そんな顔をしていたということは飯をもっと楽しむ秘訣があるのだろう? 教えてくれ。いや、美味い飯を食えるなら食わせてほしい!」
味気ない食事でもウィドウは楽しみしているが、美味い物を食えるならその方がいいに決まっている。
リュードは手にかかる重みから中の額を想像するが、結構な金額だと思う。
とんでもない交渉術に焦る。
みんなは黙っておもしろそうに事の成り行きを見守っている。
「ん? 足りないか? ならもっと……」
「いやいや! 足りないなんてことはないですよ!」
「では教えてくれ!」
「う……」
ただ秘訣なんて大層なものではない。
腕のいい料理人と料理できる環境を整えられる、なんていう話なのだ。
「んー、いいんじゃない?」
「……分かりました。お教えしましょう」
リュードが困った視線をルフォンに送った。
するとシェフの許可が降りた。
悪い人たちではないのだしいいんじゃないか、とシェフことルフォンは大きくうなずいた。
このことに関してはルフォンが絶対である。
ウィドウは勘も良く人をよくみているので、断るなら正面から断るしかない。
誤魔化したりウソをついてもきっとバレてしまう。
ルフォンがいいと言うのならリュードが断ることはなく、話してしまった方が楽だ。
大きめのテントの中、コンロの下が汚れないようにするためのいたを出して敷き、その上にルフォンご自慢のコンロをドーンと出す。
「これは……」
「魔道具?」
「それにしたってでかい……というかマジックボックスの袋を持っているのか。容量も桁違いだな」
「こんなものどこに売ってるんだ?」
プラチナランクのウィドウだけでなく、聖職者たちも含めてみんながビックリの光景である。
ビックリポイントは複数あった。
「これは料理用の魔道具だな?」
「魔道具のコンロ……の大きいやつだね」
まずはコンロだ。
明らかに持ち運ぶサイズではないガチのコンロが取り出された。
持ち運びのできるコンロの導入はウィドウも検討したことがあるけど、それなら焚き火や火の魔法でも特に困らなかったのでいらなかった。
しかしリュードが取り出したコンロなら火力の調節だったり五徳があるので、常に調理器具を手に持って、みていなきゃいけない必要もない。
複数口があるので同時に色々と調理もできる。
ただし決して安いものではない。
「これいくらだ?」
「結構しそうだよね」
「聖職者の給料じゃ厳しいかもしれませんね」
「私は料理しないからいらないけど……すごいねこれ」
みんなで値段も考えてみるが安くないことだけが言えて、いくらになるのかパッと分からない。
物の値段でいけば高級品なはずだ。


