ダリルとリュードたちだけでは攻略不可ダンジョンを攻略することは、現実的に考えて相当難しい。
ダンジョンを攻略しようと思うなら、経験豊かで強い力を持つ人がもっと多く必要である。
オルタンタスは言っていたツテに連絡を飛ばし、さらに各地にいるケーフィス教の聖者や使徒にも声をかけた。
聖者や使徒といった人は珍しい存在であるものの、同時期に一人しかいないとかそんなものではない。
何人も同時代に存在していて、各地で活躍しているのだ。
広く信仰されているケーフィス教では複数人の聖者や使徒を抱えていて、今回神物を取り戻すためにそうした貴重な人材も投入することになったのだ。
どの人も色々なところで活躍している人たちなので集まるのには時間がかかった。
その間にたまたまテレサも一度目を覚まし、ダリルは神物を取り戻せばテレサが治ることと神物を取りに向かうことを報告した。
心配をかけないようにそこが攻略不可ダンジョンであることは伏せておいてあった。
「ウィドウだ。よろしく頼む」
「シューナリュードです。リュードと呼んでください。よろしくお願いします」
流石に世界最大規模の宗教はツテも違う。
ツテで呼んだのは冒険者パーティーであった。
ゴールドランクを上回る最高峰の冒険者ランクがプラチナランクである。
そのプラチナランクのウィドウをリーダーとすパーティーが今回の助っ人であった。
プラチナ−でもなく、プラチナである。
「君の話は聞いているよ。優秀な冒険者だそうだね」
物腰の柔らかい中年のイケメン男性のウィドウは声も低くて渋く、顔も渋いイケおじである。
年齢的なところから体力面では衰え始めているが、気力は充実しているし経験が体力の衰えを大きく超えてウィドウの腕を支えている。
強さとしてもまだまだピーク盛りな冒険者と言えた。
パーティーメンバーも一流である。
プラチナの壁を越えられたのはウィドウだけだが、残る5人も全員がゴールド+ランクという猛者中の猛者。
パーティー名をケフィズサンとしているこのパーティーは、名前の通りケーフィス教が関わっている。
リーダーのウィドウは元孤児で教会に育てられた過去があり、他の人も元聖職者や教会に関わっていたような経歴を持つのだ。
命も危うい攻略不可ダンジョンに挑むぐらいには教会に恩義を感じている人たちなのである。
「加えて教会からも豪華支援か」
さらに教会は聖者を二人、使徒を一人呼び寄せた。
ダリルもいるので聖職者系のトップクラスの実力者が四人も加わることになる。
リュードたち三人、ケフィズサン六人、聖職者四人の計13人でグルーウィンにある極寒のダンジョンに挑むことになった。
一つのパーティーとして見ると人数は多いが、攻略不可ダンジョンを攻略するパーティーとしてみるとやや少ない感じもあるぐらいだ。
グルーウィンに勘づかれるわけにはいかないのであまり大規模すぎてもいけないし、秘密を知る人が多すぎるのも考えものなのでこれぐらいが限度だった。
聖職者たちもいつもは白を基調とした聖職者だと分かりやすい服装や装備を、一般のものに見えるように着替えてケーフィランドを出発した。
ーーーーー
「いや、もう凄くいい!」
テレサに残された時間はリュードぐらいしか知らない。
他の人から見れば段々とテレサが弱っていっているから残された時間は少なく見える。
じっくりと自己紹介をしている時間もなく出発したので、歩きながらお互いを知ることになった。
これから攻略不可ダンジョンに向かう。
その前に歓迎されない国に入らなくてはならない。
およそ三つのグループでこれから挑まねばならないが、互いのこともよく知らない。
命のかかった攻略も待ち受けているのだし、自然とピリついた空気になるものだけど、リュードはルンルンだった。
モッコモコの着膨れ防寒スタイルだったリュードは少しスマートになっていた。
分厚くて見た目の悪い大量の重ね着をやめたのだ。
「技術って素晴らしいな……」
というのもリュードは待ち時間の間に教会からプレゼントを貰っていた。
リュードが異常なまでに寒さに弱いことを聞いたオルタンタスが用意してくれたプレゼントで、もらったのはあったかインナーだった。
本来はもっといい名前があったのだけど忘れた。
いわゆる魔道具であり、魔物の素材を使い快適な着心地を実現しながら魔力を加えると発熱する石を繊維に混ぜ込んで、細かな調整を加えた一品である。
伸縮性にも優れ手触りが良く通気性もありながら少量の魔力で温かくなる。
魔力で温かさのコントロールまで出来るので暑くなれば魔力を抑えて、寒くなれば魔力を加えて温かくすればよかった。
実はかなりの高級品なのだけれど、値段も知らずリュードは超がつくほど上機嫌なのであった。
リュードは機嫌がいいが、ルフォンとラストは腕を組む口実がなくなったので少し不満そうだった。
「ルフォンは獣人族にゃ?」
「ううん、私は人狼族だよ」
「ありゃ、それは失礼したにゃ!」
「勘違いしてもしょうがないからいいよ」
聖者の1人で名前をニャロという女性だった。
ニャロはネコミミネコシッポの猫人族である。
獣人族全体的に聖職者が少なす真人族に信者の多いケーフィス教の信者で、さらに聖者であるという稀有な存在だ。
ニャロは獣人族集まる村の出身で、そこを保護しているのがケーフィス教だった。
村を支援してくれていたケーフィス教に感謝をしていて聖職者の道を進んだのだが、なぜか神の愛を受け聖者となった。
明るく人懐こい性格をしていて懐に入るのが上手く、ルフォンやラストともあっという間に距離を詰めた。
しかし実力は確かでお勤めや神聖力の扱いに関してはトップクラスに上手いらしい。
「人狼族……なかなか珍しいにゃ」
今は普通に話せるのだけど、子供たちが親しみを持ってくれるからと語尾に“にゃ”をつけて話すらしい。
ピリついた空気もニコニコとするニャロにいつの間にか柔らかくなっていた。
ダンジョンを攻略しようと思うなら、経験豊かで強い力を持つ人がもっと多く必要である。
オルタンタスは言っていたツテに連絡を飛ばし、さらに各地にいるケーフィス教の聖者や使徒にも声をかけた。
聖者や使徒といった人は珍しい存在であるものの、同時期に一人しかいないとかそんなものではない。
何人も同時代に存在していて、各地で活躍しているのだ。
広く信仰されているケーフィス教では複数人の聖者や使徒を抱えていて、今回神物を取り戻すためにそうした貴重な人材も投入することになったのだ。
どの人も色々なところで活躍している人たちなので集まるのには時間がかかった。
その間にたまたまテレサも一度目を覚まし、ダリルは神物を取り戻せばテレサが治ることと神物を取りに向かうことを報告した。
心配をかけないようにそこが攻略不可ダンジョンであることは伏せておいてあった。
「ウィドウだ。よろしく頼む」
「シューナリュードです。リュードと呼んでください。よろしくお願いします」
流石に世界最大規模の宗教はツテも違う。
ツテで呼んだのは冒険者パーティーであった。
ゴールドランクを上回る最高峰の冒険者ランクがプラチナランクである。
そのプラチナランクのウィドウをリーダーとすパーティーが今回の助っ人であった。
プラチナ−でもなく、プラチナである。
「君の話は聞いているよ。優秀な冒険者だそうだね」
物腰の柔らかい中年のイケメン男性のウィドウは声も低くて渋く、顔も渋いイケおじである。
年齢的なところから体力面では衰え始めているが、気力は充実しているし経験が体力の衰えを大きく超えてウィドウの腕を支えている。
強さとしてもまだまだピーク盛りな冒険者と言えた。
パーティーメンバーも一流である。
プラチナの壁を越えられたのはウィドウだけだが、残る5人も全員がゴールド+ランクという猛者中の猛者。
パーティー名をケフィズサンとしているこのパーティーは、名前の通りケーフィス教が関わっている。
リーダーのウィドウは元孤児で教会に育てられた過去があり、他の人も元聖職者や教会に関わっていたような経歴を持つのだ。
命も危うい攻略不可ダンジョンに挑むぐらいには教会に恩義を感じている人たちなのである。
「加えて教会からも豪華支援か」
さらに教会は聖者を二人、使徒を一人呼び寄せた。
ダリルもいるので聖職者系のトップクラスの実力者が四人も加わることになる。
リュードたち三人、ケフィズサン六人、聖職者四人の計13人でグルーウィンにある極寒のダンジョンに挑むことになった。
一つのパーティーとして見ると人数は多いが、攻略不可ダンジョンを攻略するパーティーとしてみるとやや少ない感じもあるぐらいだ。
グルーウィンに勘づかれるわけにはいかないのであまり大規模すぎてもいけないし、秘密を知る人が多すぎるのも考えものなのでこれぐらいが限度だった。
聖職者たちもいつもは白を基調とした聖職者だと分かりやすい服装や装備を、一般のものに見えるように着替えてケーフィランドを出発した。
ーーーーー
「いや、もう凄くいい!」
テレサに残された時間はリュードぐらいしか知らない。
他の人から見れば段々とテレサが弱っていっているから残された時間は少なく見える。
じっくりと自己紹介をしている時間もなく出発したので、歩きながらお互いを知ることになった。
これから攻略不可ダンジョンに向かう。
その前に歓迎されない国に入らなくてはならない。
およそ三つのグループでこれから挑まねばならないが、互いのこともよく知らない。
命のかかった攻略も待ち受けているのだし、自然とピリついた空気になるものだけど、リュードはルンルンだった。
モッコモコの着膨れ防寒スタイルだったリュードは少しスマートになっていた。
分厚くて見た目の悪い大量の重ね着をやめたのだ。
「技術って素晴らしいな……」
というのもリュードは待ち時間の間に教会からプレゼントを貰っていた。
リュードが異常なまでに寒さに弱いことを聞いたオルタンタスが用意してくれたプレゼントで、もらったのはあったかインナーだった。
本来はもっといい名前があったのだけど忘れた。
いわゆる魔道具であり、魔物の素材を使い快適な着心地を実現しながら魔力を加えると発熱する石を繊維に混ぜ込んで、細かな調整を加えた一品である。
伸縮性にも優れ手触りが良く通気性もありながら少量の魔力で温かくなる。
魔力で温かさのコントロールまで出来るので暑くなれば魔力を抑えて、寒くなれば魔力を加えて温かくすればよかった。
実はかなりの高級品なのだけれど、値段も知らずリュードは超がつくほど上機嫌なのであった。
リュードは機嫌がいいが、ルフォンとラストは腕を組む口実がなくなったので少し不満そうだった。
「ルフォンは獣人族にゃ?」
「ううん、私は人狼族だよ」
「ありゃ、それは失礼したにゃ!」
「勘違いしてもしょうがないからいいよ」
聖者の1人で名前をニャロという女性だった。
ニャロはネコミミネコシッポの猫人族である。
獣人族全体的に聖職者が少なす真人族に信者の多いケーフィス教の信者で、さらに聖者であるという稀有な存在だ。
ニャロは獣人族集まる村の出身で、そこを保護しているのがケーフィス教だった。
村を支援してくれていたケーフィス教に感謝をしていて聖職者の道を進んだのだが、なぜか神の愛を受け聖者となった。
明るく人懐こい性格をしていて懐に入るのが上手く、ルフォンやラストともあっという間に距離を詰めた。
しかし実力は確かでお勤めや神聖力の扱いに関してはトップクラスに上手いらしい。
「人狼族……なかなか珍しいにゃ」
今は普通に話せるのだけど、子供たちが親しみを持ってくれるからと語尾に“にゃ”をつけて話すらしい。
ピリついた空気もニコニコとするニャロにいつの間にか柔らかくなっていた。


