「歩きにくくはないのか？」
「あったかい方が大事だからしょうがないですね」
ドワガルを出発したリュードたちの次の目的地は決まっていた。
ダリルのお願いに応えに行くのだ。
ダリルのお願いは偉大なる創造神であるケーフィスのお願いであり、こうして直接頼まれては行かざるを得ない。
「だいぶ気温も下がってきたからな」
現在リュードたちがいる場所はドワガルからだいぶ北上してきたところになる。
そのために気温が下がってきた。
これまで多少冷えることはあってもしっかりとした防寒具の必要性を感じたことはなかった。
だがやはり北に進むにつれて冷え込みは強くなり、特に夜は持っているものだけじゃ厳しくなっていたので防寒具を購入した。
防寒具にも色々と種類があった。
今回は高かったけど魔物の羽毛みたいなものを使った防寒具を買ってリュードは日中もそれを着込んでいた。
「意外な弱点だな」
日の出ている間ならまだ必要ないかなと思うのにリュードは割とモコモコした防寒具を身につけていたのでダリルは邪魔じゃないのかと思っていた。
さらにルフォンとラストはリュードと腕を組んで歩いている。
イチャつき目的ではなくリュードが暖を取る目的である。
少なくともリュードにとっては。
もちろん二人にとっては合法的にリュードに抱きつけるのでそうしているのだ。
側から見れば完璧に変な三人組であるが本人がそれでいいならダリルも何も言わない。
他人の目よりも寒さをどうにかする方が優先なのである。
実はまだ耐えられないこともないけど、他人の好奇の目さえ気にならないなら耐えるなんてことしなくてもいい。
酒に強いが寒さに弱い。
寒さ暑さなんてこと考えなかったけど、転生する時にケーフィスに寒さにも強くしてくれって頼んどきゃよかったと今更ながら思った。
「ほんと寒さに弱いんだね……」
ラストは小さくため息をついた。
せっかく腕を組んでいるのに分厚めな防寒具越しだと得しているんだけど、なんだか十分な感じもない。
「俺自身も不思議でならないよ」
弱点と言っていいほどに寒さに弱い。
リュードの弱いところ、悪いところを全て寒さに弱いというところに集約したような寒さ耐性の低さがある。
もしかしたら本当にそうなのかもしれない。
他の能力が優れている代わりに寒さへの耐性を失った可能性もなきにしもあらずだとは感じる。
何事にも完璧はあり得ないからある程度は仕方ない。
「君たちがそれでいいなら何も言うことはない。さて、歓迎しよう。ここが聖国ケーフィランドの首都ケラフィスだ」
北上を続けてきたリュードたちはある都市に辿り着き、開かれた門を抜け中に入った。
遠くからでは高い城壁に阻まれてよく見えていなかった都市の全貌がようやく見えてきた。
「白い都市……きれいだね」
町中に入ってルフォンは思わず呟いた。
視界一面に広がる町の光景は白かった。
雪とかでなく、建物の壁や道に至るまで白くて都市全体が白く見えるのだ。
リュードたちがやってきたのはケラフィスという町である。
「噂には聞いていたけど噂以上だな」
季節が進んでもっと寒くなっていくと雪が降り、ケラフィスはさらに白く染まることだろう。
白銀国と呼ばれるケラフィスの荘厳さにリュードたちも驚いた。
創造神であるケーフィスは創造神だけでなく主神や聖神といった呼び方もされることがあり広く信仰されている。
国や首都の名前からも分かるようにケーフィランドはケーフィスをメインに信仰している国である。
ただしケーフィスだけを信仰しているのではない。
神々にもいわゆるグループのようなものが存在している。
ケーフィスは人々の間で善良な神として知られている。
同じく善良な神でケーフィスと仲が良いとか同じように人に利益をもたらしてくれる神もいる。
そのような神々のことをまとめて一つのグループとして聖派と呼ぶ。
そしてそうした神様を信仰する宗教を聖教と呼ぶのである。
ケーフィランドは聖国と呼ばれていてケーフィスを中心とした聖教の国であった。
国民のほとんどが聖派神様を信仰していて、聖教の人たちである。
なのでケーフィランドは国王が治める国でなく宗教国家なのだ。
だからといって全く宗教的な信仰心がないリュードやルフォン、あるいは血人族の神様を信仰するラストが入れないことはない。
広く開かれた国であってリュードたちも問題なく入ることができるのである。
「おおっ、あれはダリル様ではありませんか！」
「なんと……今日は運がいい」
道を歩くとダリルに気がついた人たちがダリルに祈りを捧げる。
聖国はやはりケーフィス教の信徒が多い。
ダリルはケーフィスの使徒で、ケーフィス教の影響が強いこの国においては大きな敬意を払われる存在である。
使徒であるダリルに祈ることは神に祈ることにも通じるのである。
「すごい影響力だな」
「みんなが信心深いだけだ」
「俺たちは宿探そうと思うけど」
「ああ、それなら心配はいらない。俺についてくるといい」
こうした都市に着いた時にまずやるのが宿の確保だ。
何事も起点となる場所、帰る場所、寝る場所を確保するのが優先なのであるが、今回はダリルがまず先に寄りたいところがあるというのでついていく。
ケラフィスの中心はやや小高くなっていて、都市の縁からでもよく見える大きな白いお城がある。
ダリルは歩きながら都市の説明をしてくれた。
中心に見えている城は実は城でなく教会なのらしい。
ケーフィスを始めとした聖教の神々複数の教会や神殿が入っているのだとか。
「あったかい方が大事だからしょうがないですね」
ドワガルを出発したリュードたちの次の目的地は決まっていた。
ダリルのお願いに応えに行くのだ。
ダリルのお願いは偉大なる創造神であるケーフィスのお願いであり、こうして直接頼まれては行かざるを得ない。
「だいぶ気温も下がってきたからな」
現在リュードたちがいる場所はドワガルからだいぶ北上してきたところになる。
そのために気温が下がってきた。
これまで多少冷えることはあってもしっかりとした防寒具の必要性を感じたことはなかった。
だがやはり北に進むにつれて冷え込みは強くなり、特に夜は持っているものだけじゃ厳しくなっていたので防寒具を購入した。
防寒具にも色々と種類があった。
今回は高かったけど魔物の羽毛みたいなものを使った防寒具を買ってリュードは日中もそれを着込んでいた。
「意外な弱点だな」
日の出ている間ならまだ必要ないかなと思うのにリュードは割とモコモコした防寒具を身につけていたのでダリルは邪魔じゃないのかと思っていた。
さらにルフォンとラストはリュードと腕を組んで歩いている。
イチャつき目的ではなくリュードが暖を取る目的である。
少なくともリュードにとっては。
もちろん二人にとっては合法的にリュードに抱きつけるのでそうしているのだ。
側から見れば完璧に変な三人組であるが本人がそれでいいならダリルも何も言わない。
他人の目よりも寒さをどうにかする方が優先なのである。
実はまだ耐えられないこともないけど、他人の好奇の目さえ気にならないなら耐えるなんてことしなくてもいい。
酒に強いが寒さに弱い。
寒さ暑さなんてこと考えなかったけど、転生する時にケーフィスに寒さにも強くしてくれって頼んどきゃよかったと今更ながら思った。
「ほんと寒さに弱いんだね……」
ラストは小さくため息をついた。
せっかく腕を組んでいるのに分厚めな防寒具越しだと得しているんだけど、なんだか十分な感じもない。
「俺自身も不思議でならないよ」
弱点と言っていいほどに寒さに弱い。
リュードの弱いところ、悪いところを全て寒さに弱いというところに集約したような寒さ耐性の低さがある。
もしかしたら本当にそうなのかもしれない。
他の能力が優れている代わりに寒さへの耐性を失った可能性もなきにしもあらずだとは感じる。
何事にも完璧はあり得ないからある程度は仕方ない。
「君たちがそれでいいなら何も言うことはない。さて、歓迎しよう。ここが聖国ケーフィランドの首都ケラフィスだ」
北上を続けてきたリュードたちはある都市に辿り着き、開かれた門を抜け中に入った。
遠くからでは高い城壁に阻まれてよく見えていなかった都市の全貌がようやく見えてきた。
「白い都市……きれいだね」
町中に入ってルフォンは思わず呟いた。
視界一面に広がる町の光景は白かった。
雪とかでなく、建物の壁や道に至るまで白くて都市全体が白く見えるのだ。
リュードたちがやってきたのはケラフィスという町である。
「噂には聞いていたけど噂以上だな」
季節が進んでもっと寒くなっていくと雪が降り、ケラフィスはさらに白く染まることだろう。
白銀国と呼ばれるケラフィスの荘厳さにリュードたちも驚いた。
創造神であるケーフィスは創造神だけでなく主神や聖神といった呼び方もされることがあり広く信仰されている。
国や首都の名前からも分かるようにケーフィランドはケーフィスをメインに信仰している国である。
ただしケーフィスだけを信仰しているのではない。
神々にもいわゆるグループのようなものが存在している。
ケーフィスは人々の間で善良な神として知られている。
同じく善良な神でケーフィスと仲が良いとか同じように人に利益をもたらしてくれる神もいる。
そのような神々のことをまとめて一つのグループとして聖派と呼ぶ。
そしてそうした神様を信仰する宗教を聖教と呼ぶのである。
ケーフィランドは聖国と呼ばれていてケーフィスを中心とした聖教の国であった。
国民のほとんどが聖派神様を信仰していて、聖教の人たちである。
なのでケーフィランドは国王が治める国でなく宗教国家なのだ。
だからといって全く宗教的な信仰心がないリュードやルフォン、あるいは血人族の神様を信仰するラストが入れないことはない。
広く開かれた国であってリュードたちも問題なく入ることができるのである。
「おおっ、あれはダリル様ではありませんか！」
「なんと……今日は運がいい」
道を歩くとダリルに気がついた人たちがダリルに祈りを捧げる。
聖国はやはりケーフィス教の信徒が多い。
ダリルはケーフィスの使徒で、ケーフィス教の影響が強いこの国においては大きな敬意を払われる存在である。
使徒であるダリルに祈ることは神に祈ることにも通じるのである。
「すごい影響力だな」
「みんなが信心深いだけだ」
「俺たちは宿探そうと思うけど」
「ああ、それなら心配はいらない。俺についてくるといい」
こうした都市に着いた時にまずやるのが宿の確保だ。
何事も起点となる場所、帰る場所、寝る場所を確保するのが優先なのであるが、今回はダリルがまず先に寄りたいところがあるというのでついていく。
ケラフィスの中心はやや小高くなっていて、都市の縁からでもよく見える大きな白いお城がある。
ダリルは歩きながら都市の説明をしてくれた。
中心に見えている城は実は城でなく教会なのらしい。
ケーフィスを始めとした聖教の神々複数の教会や神殿が入っているのだとか。
