「くっ……!」
リザーセツと大キラービーが戦い始めて、他も混戦となる。
大キラービーは上手くリザーセツの周りを飛びながら針を巧みに操り剣技にも似た戦い方を繰り広げる。
危なくなれば素早く空中に逃げて体勢を整えて再びかかってくる。
体が大きいだけでなく戦いにおいてしっかりと知恵の高さをうかがわせていた。
大きい分力も強くて他のキラービーの純粋なパワーアップ版といってもよく、リザーセツも苦戦している。
しかし目的は倒すことではなく、大キラービーを引きつけておくことなので大きな問題はない。
一瞬の油断もできない戦いだが、狙い通りに大キラービーもリザーセツに集中している。
知性や経験を感じさせる戦いに感心してしまうが、リザーセツもそれほど余裕があるわけでもない。
これまでも戦いでは積極的に前に出て、後ろに下がっている時も周りの状況を見て指示を飛ばしたりしていた。
「こいつは厄介だな……!」
毒を警戒して大きく回避を繰り返す戦いはリザーセツの体力を奪っていく。
少し休んだばかりではあるが、完全回復とはいかない。
一回一回の戦いにリザーセツも体力を奪われていて、大キラービーの前にそんなに長いことは持たないかもしれないと思い始めていた。
出来るなら早くみんながキラービーを倒して支援してくれるといいのだけどと期待するしかなかった。
「ぐわあああっ!」
「リザーセツ!」
決定打が見つからない。
それでいながら周りのキラービーたちはやられていく。
このままいけばやられてしまう。
そう察した大キラービーは早めにカードを切った。
一度距離を取り、急降下しながら針を突き出す。
リザーセツはまともに受けては危ないと剣で針を受け流そうとした。
その判断にミスはなかった。
けれど剣が針に触れた瞬間、針から黒に近い濃い紫色の液体が飛び出してきたのだ。
ここまで隠してきた切り札を大キラービーは出してきたのである。
大キラービーは針の先から毒を噴射した。
予想もしていなかった攻撃にリザーセツは毒を回避出来ずに肩から腹部にかけて毒を浴びた。
鉄製の防具が溶けるひどい匂いがして、肌に毒が触れる。
毒が付着したところに熱いような痛みが走ってリザーセツは叫び声をあげた。
そう何度も使える技ではなく一度放てばしばらく使うことが出来ない切り札だった。
「ルフォン!」
リュードがルフォンに声をかけて走り出す。
疾風の剣のメンバーより誰よりも早くに状況判断をして動いたのがリュードだった。
「させるかよ!」
リュードは小さく旋回してリザーセツにトドメを刺そうと突き出された針を横から剣で切りつけた。
固くて切断はできなかったけれど大キラービーの空中での体勢が崩れた。
追撃を警戒した大キラービーは素早く距離を取って逃げる。
ピンチはチャンスともいう。
転んでもただでは起きないとリュードは大キラービーを睨みつけていた。
「行け、ルフォン!」
「任せてぇ!」
リュードは反転して大キラービーに背を向ける。
グッと腰を落として剣を持たない左手を低く差し出す。
後ろからはルフォンが走ってきていた。
ルフォンは小さく飛び上がってリュードの左手に足をかける。
「おりゃ!」
リュードは腕を跳ね上げ、ルフォンはリュードの手を蹴り上げて大きく跳躍した。
大キラービーは未だにバランスを戻しきれていない。
空中で体勢を大きくずらしてかわそうとする大キラービーをルフォンのナイフが捉える。
ルフォンが大キラービーの羽の先端を切り落とした。
ケガの程度としては浅い。
しかしご自慢の羽を傷つけられて大キラービーは大きくバランスを崩す。
羽が欠けて正しく飛ぶことが出来なくて壁にぶつかりながらフラフラとバランスを保とうとしている。
「リザーセツ、これを!」
その隙にリザーセツを引きずって下がらせるリュードは腰に付けた袋から小瓶を取り出してリザーセツに渡す。
地面に膝をつくリザーセツは顔色が急速に悪くなっている。
「こ、これは……」
「解毒できるかは分かんないけどないよりマシだろ」
「クスリってやつは、嫌いなんだけどね……」
体全体に鈍い痛みと黒い部分が広がっていく。
リザーセツは感覚もなくなってきた手を伸ばして小瓶を受けると一気に飲み干す。
「くぅ……苦い……けど少し甘い?」
まずは治療薬にありがちな青臭さが鼻を抜ける。
葉っぱの苦い所を集めたような舌にくる苦味が来て、最後になんだか甘さがあった。
「これは?」
「解毒薬です。効果は保証できないけど」
リュード特製解毒薬の改良版である。
リザーセツが感じた甘みは以前に買ったハチミツが混ぜ込まれているからだった。
ただ苦い薬に甘みを足して飲みやすくしようとかそんなではない。
その魔物から取れる素材でその魔物が生み出す毒を解毒するものが作れることがある。
自身の毒にやられないためか魔物自身は自分の毒に対する耐性があるので、魔物の素材を利用するとその魔物の毒に対する解毒薬となるのだ。
ハチがいて、そのハチが生み出すハチミツがある。
ついでにハチは毒を持っている。
細かい調整や研究はできないためほとんどハチミツを混ぜただけなような形になってしまったので気休め程度だけど、効けば儲けもんだと混ぜてみたのだ。
ポーション効果もあるので、少しだけ毒がかかったところの痛みが和らいだ気がするとリザーセツは感じた。
リザーセツと大キラービーが戦い始めて、他も混戦となる。
大キラービーは上手くリザーセツの周りを飛びながら針を巧みに操り剣技にも似た戦い方を繰り広げる。
危なくなれば素早く空中に逃げて体勢を整えて再びかかってくる。
体が大きいだけでなく戦いにおいてしっかりと知恵の高さをうかがわせていた。
大きい分力も強くて他のキラービーの純粋なパワーアップ版といってもよく、リザーセツも苦戦している。
しかし目的は倒すことではなく、大キラービーを引きつけておくことなので大きな問題はない。
一瞬の油断もできない戦いだが、狙い通りに大キラービーもリザーセツに集中している。
知性や経験を感じさせる戦いに感心してしまうが、リザーセツもそれほど余裕があるわけでもない。
これまでも戦いでは積極的に前に出て、後ろに下がっている時も周りの状況を見て指示を飛ばしたりしていた。
「こいつは厄介だな……!」
毒を警戒して大きく回避を繰り返す戦いはリザーセツの体力を奪っていく。
少し休んだばかりではあるが、完全回復とはいかない。
一回一回の戦いにリザーセツも体力を奪われていて、大キラービーの前にそんなに長いことは持たないかもしれないと思い始めていた。
出来るなら早くみんながキラービーを倒して支援してくれるといいのだけどと期待するしかなかった。
「ぐわあああっ!」
「リザーセツ!」
決定打が見つからない。
それでいながら周りのキラービーたちはやられていく。
このままいけばやられてしまう。
そう察した大キラービーは早めにカードを切った。
一度距離を取り、急降下しながら針を突き出す。
リザーセツはまともに受けては危ないと剣で針を受け流そうとした。
その判断にミスはなかった。
けれど剣が針に触れた瞬間、針から黒に近い濃い紫色の液体が飛び出してきたのだ。
ここまで隠してきた切り札を大キラービーは出してきたのである。
大キラービーは針の先から毒を噴射した。
予想もしていなかった攻撃にリザーセツは毒を回避出来ずに肩から腹部にかけて毒を浴びた。
鉄製の防具が溶けるひどい匂いがして、肌に毒が触れる。
毒が付着したところに熱いような痛みが走ってリザーセツは叫び声をあげた。
そう何度も使える技ではなく一度放てばしばらく使うことが出来ない切り札だった。
「ルフォン!」
リュードがルフォンに声をかけて走り出す。
疾風の剣のメンバーより誰よりも早くに状況判断をして動いたのがリュードだった。
「させるかよ!」
リュードは小さく旋回してリザーセツにトドメを刺そうと突き出された針を横から剣で切りつけた。
固くて切断はできなかったけれど大キラービーの空中での体勢が崩れた。
追撃を警戒した大キラービーは素早く距離を取って逃げる。
ピンチはチャンスともいう。
転んでもただでは起きないとリュードは大キラービーを睨みつけていた。
「行け、ルフォン!」
「任せてぇ!」
リュードは反転して大キラービーに背を向ける。
グッと腰を落として剣を持たない左手を低く差し出す。
後ろからはルフォンが走ってきていた。
ルフォンは小さく飛び上がってリュードの左手に足をかける。
「おりゃ!」
リュードは腕を跳ね上げ、ルフォンはリュードの手を蹴り上げて大きく跳躍した。
大キラービーは未だにバランスを戻しきれていない。
空中で体勢を大きくずらしてかわそうとする大キラービーをルフォンのナイフが捉える。
ルフォンが大キラービーの羽の先端を切り落とした。
ケガの程度としては浅い。
しかしご自慢の羽を傷つけられて大キラービーは大きくバランスを崩す。
羽が欠けて正しく飛ぶことが出来なくて壁にぶつかりながらフラフラとバランスを保とうとしている。
「リザーセツ、これを!」
その隙にリザーセツを引きずって下がらせるリュードは腰に付けた袋から小瓶を取り出してリザーセツに渡す。
地面に膝をつくリザーセツは顔色が急速に悪くなっている。
「こ、これは……」
「解毒できるかは分かんないけどないよりマシだろ」
「クスリってやつは、嫌いなんだけどね……」
体全体に鈍い痛みと黒い部分が広がっていく。
リザーセツは感覚もなくなってきた手を伸ばして小瓶を受けると一気に飲み干す。
「くぅ……苦い……けど少し甘い?」
まずは治療薬にありがちな青臭さが鼻を抜ける。
葉っぱの苦い所を集めたような舌にくる苦味が来て、最後になんだか甘さがあった。
「これは?」
「解毒薬です。効果は保証できないけど」
リュード特製解毒薬の改良版である。
リザーセツが感じた甘みは以前に買ったハチミツが混ぜ込まれているからだった。
ただ苦い薬に甘みを足して飲みやすくしようとかそんなではない。
その魔物から取れる素材でその魔物が生み出す毒を解毒するものが作れることがある。
自身の毒にやられないためか魔物自身は自分の毒に対する耐性があるので、魔物の素材を利用するとその魔物の毒に対する解毒薬となるのだ。
ハチがいて、そのハチが生み出すハチミツがある。
ついでにハチは毒を持っている。
細かい調整や研究はできないためほとんどハチミツを混ぜただけなような形になってしまったので気休め程度だけど、効けば儲けもんだと混ぜてみたのだ。
ポーション効果もあるので、少しだけ毒がかかったところの痛みが和らいだ気がするとリザーセツは感じた。


