「嫌な予感は当たるな……」
鉱山の周りには警戒しているキラービーが飛んでいて、中にも何匹かが出入りしているのも見える。
明らかに今現在鉱山を支配しているのはドワーフでもミスリルリザードでもなく、キラービーであった。
鉱山の中に巣を作っているだろうが、キラービーの規模は外から分からない。
しかし巣が作られているとしたら危険な状況である。
「リュード、あれ見えるか?」
「あれ?」
「あっこ……入り口のところだ。この望遠鏡じゃ見えなくてよ」
遠視の魔法は難しいものでなくても、望遠鏡を持てば事足りるのでわざわざ習得する必要もない魔法である。
遠視の魔法を練習するなら攻撃魔法の一つでも覚えた方がいいと言う人も多い。
何がいいかなんて人それぞれだからリュードもそれに文句つけることはないけど、望遠鏡がなくても遠くが見れるのでリュードは便利だと思っている。
「入り口のところですね」
望遠鏡もリュードの前世の世界のものよりも品質は良くない。
魔法だと倍率のコントロールもきくのでより遠くを見通すこともできるのだ。
リュードはより魔力を強めて倍率を上げ、言われたところを探す。
あっこ、がどこかいまいち分かっていなかったのでとりあえず入り口付近を探してみる。
「あっ!」
「見えたか?」
鉱山にある入り口の一つの前に剣が落ちているのが見えた。
少し前まではドワーフに管理されていた鉱山なので忘れ物なはずはない。
長らく放置されたようにも見えず、よく観察してみるとその剣には見覚えがあった。
失踪したパーティーの冒険者が腰に差していたものによく似ている。
断定はできないけど状況から判断すると否定もできない。
リュードがそのことを伝えるとみんなに緊張が走る。
「いや、まだ死んではいないかもしれない」
誰もが冒険者たちの最悪の末路を想像した。
ただ死んだと決めつけるにはまだ早いとリザーセツは思った。
なぜなら剣が落ちていたからである。
偵察では鉱山に不用意に近づくことはない。
どう見てもキラービーがいる中で近づくのはリスクが高いし、魔物に見つかれば警戒されてしまう。
それなのに鉱山の入り口に剣が落ちていた。
「近づいた理由がある。きっと誘拐されたんだ」
そこから予想できるのは冒険者たちが鉱山の入り口に近づいたか、魔物に連れ去られたかである。
自ら入り口に近づくことは考えにくいので魔物に連れ去られたと考えることができる。
それがイコール生きているではないけど、ごく稀にキラービーは女王蜂に捧げるのにまだ生きている魔物を連れ去って生き餌にする習性があることをリザーセツは知っていた。
「しかしどうする……?」
リスクやハッキリとした状況の見通しが立たない。
どうなっているのか情報が少なく戦略を考えることができない。
キラービーが鉱山にいて、冒険者が鉱山に連れ去られた可能性がある。
そしてその冒険者も生きているかは分からない。
不安を減らすためにはこのまま偵察して情報を集めるのがいいのだけど、そうしている間にも冒険者たちの命の期限は迫っているのかもしれない。
「やろう」
最初に意思を見せたのはリザーセツだった。
真っ直ぐな決意を込めた目でみんなを見る。
ドワーフの依頼がある以上、鉱山を取り戻すのにキラービーを倒す時が来る。
時間が経てば経つほどキラービーが増えることだって考えられる。
今ここが正念場で、乗り越えねばならない。
リザーセツの言葉にみんながゆっくりと賛同し始める。
安全を取って退くことを選べば今この場で死ぬことはない。
しかし例え失踪したパーティーが死んでいたとしても見捨てて見殺しにする判断をした結果は後に残る。
一緒に依頼をやるとなった以上は他のパーティーでも仲間だ。
仲間は見捨てない。
「生きている可能性が少しでもあるなら助けに行こう」
やはり品行方正な冒険者はこうした時も品行方正な考え方をしてくれる。
リスクを取って一度撤退する冒険者がきっと大多数だろう。
けれどリザーセツは失踪したパーティーを見捨てる判断をしなかった。
「作戦を練ろう」
小屋に隠れてどう攻略すべきか話し合う。
余計な作戦は誘拐された冒険者たちを危険に晒すかもしれない。
ここら定石通り二手に分かれて攻略することにした。
どこの鉱山も道幅は同じようなもので全員で突入しても狭くて全員では戦えない。
効率やリスクの分散を考えるとやはり二つに分けるのがちょうどいい。
「君たちは僕たちと一緒に」
「分かりました」
リュードたちは疾風の剣と共に行くことになった。
リザーセツが引き入れたのだし最後までリュードたちの責任を取るつもりなのだ。
「じゃあ移動を開始するぞ。慎重にだ」
攻略を始めることとなったが、まず問題はどう鉱山に近づくかである。
小屋から鉱山までも少し距離がある。
見つからずに鉱山まで行くのはほとんど不可能である。
見つかってしまえば鉱山からキラービーたちが飛び出してくる。
広い外で戦うのはリュードたちに取って大きく不利になってしまう。
見張りのキラービーをどうにかしなきゃいけないが、空を飛ばれると手が届かない。
ラストなら一体ぐらいは倒せるが、複数の見張りを同時に倒し切るのは無理である。
鉱山の周りには警戒しているキラービーが飛んでいて、中にも何匹かが出入りしているのも見える。
明らかに今現在鉱山を支配しているのはドワーフでもミスリルリザードでもなく、キラービーであった。
鉱山の中に巣を作っているだろうが、キラービーの規模は外から分からない。
しかし巣が作られているとしたら危険な状況である。
「リュード、あれ見えるか?」
「あれ?」
「あっこ……入り口のところだ。この望遠鏡じゃ見えなくてよ」
遠視の魔法は難しいものでなくても、望遠鏡を持てば事足りるのでわざわざ習得する必要もない魔法である。
遠視の魔法を練習するなら攻撃魔法の一つでも覚えた方がいいと言う人も多い。
何がいいかなんて人それぞれだからリュードもそれに文句つけることはないけど、望遠鏡がなくても遠くが見れるのでリュードは便利だと思っている。
「入り口のところですね」
望遠鏡もリュードの前世の世界のものよりも品質は良くない。
魔法だと倍率のコントロールもきくのでより遠くを見通すこともできるのだ。
リュードはより魔力を強めて倍率を上げ、言われたところを探す。
あっこ、がどこかいまいち分かっていなかったのでとりあえず入り口付近を探してみる。
「あっ!」
「見えたか?」
鉱山にある入り口の一つの前に剣が落ちているのが見えた。
少し前まではドワーフに管理されていた鉱山なので忘れ物なはずはない。
長らく放置されたようにも見えず、よく観察してみるとその剣には見覚えがあった。
失踪したパーティーの冒険者が腰に差していたものによく似ている。
断定はできないけど状況から判断すると否定もできない。
リュードがそのことを伝えるとみんなに緊張が走る。
「いや、まだ死んではいないかもしれない」
誰もが冒険者たちの最悪の末路を想像した。
ただ死んだと決めつけるにはまだ早いとリザーセツは思った。
なぜなら剣が落ちていたからである。
偵察では鉱山に不用意に近づくことはない。
どう見てもキラービーがいる中で近づくのはリスクが高いし、魔物に見つかれば警戒されてしまう。
それなのに鉱山の入り口に剣が落ちていた。
「近づいた理由がある。きっと誘拐されたんだ」
そこから予想できるのは冒険者たちが鉱山の入り口に近づいたか、魔物に連れ去られたかである。
自ら入り口に近づくことは考えにくいので魔物に連れ去られたと考えることができる。
それがイコール生きているではないけど、ごく稀にキラービーは女王蜂に捧げるのにまだ生きている魔物を連れ去って生き餌にする習性があることをリザーセツは知っていた。
「しかしどうする……?」
リスクやハッキリとした状況の見通しが立たない。
どうなっているのか情報が少なく戦略を考えることができない。
キラービーが鉱山にいて、冒険者が鉱山に連れ去られた可能性がある。
そしてその冒険者も生きているかは分からない。
不安を減らすためにはこのまま偵察して情報を集めるのがいいのだけど、そうしている間にも冒険者たちの命の期限は迫っているのかもしれない。
「やろう」
最初に意思を見せたのはリザーセツだった。
真っ直ぐな決意を込めた目でみんなを見る。
ドワーフの依頼がある以上、鉱山を取り戻すのにキラービーを倒す時が来る。
時間が経てば経つほどキラービーが増えることだって考えられる。
今ここが正念場で、乗り越えねばならない。
リザーセツの言葉にみんながゆっくりと賛同し始める。
安全を取って退くことを選べば今この場で死ぬことはない。
しかし例え失踪したパーティーが死んでいたとしても見捨てて見殺しにする判断をした結果は後に残る。
一緒に依頼をやるとなった以上は他のパーティーでも仲間だ。
仲間は見捨てない。
「生きている可能性が少しでもあるなら助けに行こう」
やはり品行方正な冒険者はこうした時も品行方正な考え方をしてくれる。
リスクを取って一度撤退する冒険者がきっと大多数だろう。
けれどリザーセツは失踪したパーティーを見捨てる判断をしなかった。
「作戦を練ろう」
小屋に隠れてどう攻略すべきか話し合う。
余計な作戦は誘拐された冒険者たちを危険に晒すかもしれない。
ここら定石通り二手に分かれて攻略することにした。
どこの鉱山も道幅は同じようなもので全員で突入しても狭くて全員では戦えない。
効率やリスクの分散を考えるとやはり二つに分けるのがちょうどいい。
「君たちは僕たちと一緒に」
「分かりました」
リュードたちは疾風の剣と共に行くことになった。
リザーセツが引き入れたのだし最後までリュードたちの責任を取るつもりなのだ。
「じゃあ移動を開始するぞ。慎重にだ」
攻略を始めることとなったが、まず問題はどう鉱山に近づくかである。
小屋から鉱山までも少し距離がある。
見つからずに鉱山まで行くのはほとんど不可能である。
見つかってしまえば鉱山からキラービーたちが飛び出してくる。
広い外で戦うのはリュードたちに取って大きく不利になってしまう。
見張りのキラービーをどうにかしなきゃいけないが、空を飛ばれると手が届かない。
ラストなら一体ぐらいは倒せるが、複数の見張りを同時に倒し切るのは無理である。


