ドワガルまで戻ってきたのだが冒険者たちにダリルは帯同していなかった。
タイミング悪くやらなければいけないことがあって会うことができず教会に伝言を頼んでおいた。
用事が片付いたら合流してくることだろう。
一応門番たるドワーフにはダリルのことを伝えてあるので来たら入れるはずだ。
「おっ、リュード! 帰ってきたか!」
「今度は負けないぞ。また飲もうぜ!」
「次は俺と勝負すんだ!」
「なんだと、お前は引っ込んでろ!」
「なんだやるかぁ!」
「……ドワーフに大人気だね」
「ははっ……まあ色々ありまして」
正門が開いたものだからドワーフたちも集まってきていた。
見知らぬ人に嫌悪感を丸出しにする、よりも先にリュードが目に入った。
もちろんよそ者に嫌そうな顔をしたドワーフはいたけれど、そんなことよりもリュードに声をかけるドワーフの方が目立っていて多少の歓迎感は出た。
「みんなお前さんが帰ってくるのを待ってたようだな」
「ここまで歓迎されると嬉しいもんだな」
もうすでに酒瓶をチラつかせているドワーフがいて嬉しさだけでなく先行きを考えた時に若干のめんどくささもある。
「君……この国出身かい?」
リュードがやたらと声をかけられるのでリュードが実はドワーフなんじゃないかとまで言い出す冒険者もいる。
じゃなきゃ他種族嫌いのドワーフにこんなに歓迎されるはずがないと。
まるで英雄が帰ってきたような迎え入れられ、リュードも苦笑いで手を振りかえしたりしていた。
中にはルフォンやラストに声をかけている女性ドワーフたちもいて明らかに親しそうなのである。
「ついてそうそう悪いけれどまずは他の奴らにお前さんらを紹介しよう」
宿はどうせ空いている。
冒険者たちを引き連れてドワガルを奥まで進んで中心にある少し大きめに作られた会館に向かう。
「正直なところどうして君たちがドワーフの窓口なのかずっと疑問だったけれどこの様子を見れば愚問だったね」
ドワーフが他種族にどんな感情を抱いているかはリザーセツも知っている。
現に良くない顔をしているドワーフがいるのでこっちが本来のリアクションなのだろうと思う。
今はリュードがいるから歓迎の声の方が大きく感じられるのだ。
若い魔人族が前に立って冒険者と交渉を進める理由がリザーセツたちにも分からなかった。
その関係に少し疑いを持っていたのだけれど、ドワーフたちの歓迎っぷりを見ればリュードに任せるのは当然だと思えた。
酒瓶片手にリュードにウインクしているドワーフもいて、それどころかリュードの帰還のお祝いを理由に酒を飲み始めたドワーフまでいて驚くばかりだ。
「ようこそいらっしゃいました」
会館にはデルデを除いたドワーフのトップの三人が集まっていた。
サッテが三人を代表して前に出る。
他の二人よりもいくぶんか丁寧な態度を取るのが上手い。
髭面のドワーフから女性の声が聞こえてきて皆驚いていた。
「この度ドワーフのご依頼受けさせていただきましたリザーセツと申します。冒険者一同を代表してドワーフの首長にご挨拶させていただきます」
若干の動揺はあったもののリザーセツはすぐに持ち直して丁寧に返す。
ギルドからも品格良しと勧められた冒険者だけはある。
そしてそのまま鉱山奪還作戦についての説明と会議が始まる。
ドワーフがあまり使うこともない広い会議室に案内されてドワーフの方でまとめた資料が配られる。
「聞いてるとは思うけど改めて説明させてもらうよ」
取り戻すべき鉱山は五つ。
リュードたちが取り戻した鉱山はドワーフが管理していて、今は入り口を封鎖して魔物が新しく入れないようにしてある。
他の鉱山についてはドワーフだけでの奪還を試みた時の情報を元に、リュードが出発する前にできる範囲、危険でない範囲で調査や偵察するように勧めてさらに少し情報を加えていた。
想定される危険度はドワーフ側が独自につけたものだけど、冒険者たちから見ても大きく危険度は変わらない。
「攻略の順番は自由で構わないよ。こちらから口を出すことは何もない」
「となるとやはり順当にいくべきでしょうね」
特別優先する鉱山もないのでそうなるとやはり低危険度のところから行くのが正攻法となる。
冒険者たちからもいくつか質問が出て魔物の種類などを再確認して、順当に低い危険度の鉱山から攻略することになった。
会議は解散となり冒険者たちはドワガルに泊まることになった。
冒険者を二つに分けてドワガルが費用を持って宿に泊まる。
リュードたちは冒険者たちとは別枠なので冒険者たちと同じではなく、再びケルタの所に泊まることになっていた。
ただ費用はドワガルが持ってくれるようでせっかくなので甘えておく。
「いらっしゃい……やあやあ、ひさしぶりだね!」
暇を持て余していたケルタだったけど、またリュードたちが泊まることになって嬉しそうな顔をする。
リュードがいなくてもドワーフたちが宿の前で酒盛りを始めるから困ったものだというマシンガントークを聞いて、帰ってきたなと言う気持ちになったリュードであった。
ーーーーー
タイミング悪くやらなければいけないことがあって会うことができず教会に伝言を頼んでおいた。
用事が片付いたら合流してくることだろう。
一応門番たるドワーフにはダリルのことを伝えてあるので来たら入れるはずだ。
「おっ、リュード! 帰ってきたか!」
「今度は負けないぞ。また飲もうぜ!」
「次は俺と勝負すんだ!」
「なんだと、お前は引っ込んでろ!」
「なんだやるかぁ!」
「……ドワーフに大人気だね」
「ははっ……まあ色々ありまして」
正門が開いたものだからドワーフたちも集まってきていた。
見知らぬ人に嫌悪感を丸出しにする、よりも先にリュードが目に入った。
もちろんよそ者に嫌そうな顔をしたドワーフはいたけれど、そんなことよりもリュードに声をかけるドワーフの方が目立っていて多少の歓迎感は出た。
「みんなお前さんが帰ってくるのを待ってたようだな」
「ここまで歓迎されると嬉しいもんだな」
もうすでに酒瓶をチラつかせているドワーフがいて嬉しさだけでなく先行きを考えた時に若干のめんどくささもある。
「君……この国出身かい?」
リュードがやたらと声をかけられるのでリュードが実はドワーフなんじゃないかとまで言い出す冒険者もいる。
じゃなきゃ他種族嫌いのドワーフにこんなに歓迎されるはずがないと。
まるで英雄が帰ってきたような迎え入れられ、リュードも苦笑いで手を振りかえしたりしていた。
中にはルフォンやラストに声をかけている女性ドワーフたちもいて明らかに親しそうなのである。
「ついてそうそう悪いけれどまずは他の奴らにお前さんらを紹介しよう」
宿はどうせ空いている。
冒険者たちを引き連れてドワガルを奥まで進んで中心にある少し大きめに作られた会館に向かう。
「正直なところどうして君たちがドワーフの窓口なのかずっと疑問だったけれどこの様子を見れば愚問だったね」
ドワーフが他種族にどんな感情を抱いているかはリザーセツも知っている。
現に良くない顔をしているドワーフがいるのでこっちが本来のリアクションなのだろうと思う。
今はリュードがいるから歓迎の声の方が大きく感じられるのだ。
若い魔人族が前に立って冒険者と交渉を進める理由がリザーセツたちにも分からなかった。
その関係に少し疑いを持っていたのだけれど、ドワーフたちの歓迎っぷりを見ればリュードに任せるのは当然だと思えた。
酒瓶片手にリュードにウインクしているドワーフもいて、それどころかリュードの帰還のお祝いを理由に酒を飲み始めたドワーフまでいて驚くばかりだ。
「ようこそいらっしゃいました」
会館にはデルデを除いたドワーフのトップの三人が集まっていた。
サッテが三人を代表して前に出る。
他の二人よりもいくぶんか丁寧な態度を取るのが上手い。
髭面のドワーフから女性の声が聞こえてきて皆驚いていた。
「この度ドワーフのご依頼受けさせていただきましたリザーセツと申します。冒険者一同を代表してドワーフの首長にご挨拶させていただきます」
若干の動揺はあったもののリザーセツはすぐに持ち直して丁寧に返す。
ギルドからも品格良しと勧められた冒険者だけはある。
そしてそのまま鉱山奪還作戦についての説明と会議が始まる。
ドワーフがあまり使うこともない広い会議室に案内されてドワーフの方でまとめた資料が配られる。
「聞いてるとは思うけど改めて説明させてもらうよ」
取り戻すべき鉱山は五つ。
リュードたちが取り戻した鉱山はドワーフが管理していて、今は入り口を封鎖して魔物が新しく入れないようにしてある。
他の鉱山についてはドワーフだけでの奪還を試みた時の情報を元に、リュードが出発する前にできる範囲、危険でない範囲で調査や偵察するように勧めてさらに少し情報を加えていた。
想定される危険度はドワーフ側が独自につけたものだけど、冒険者たちから見ても大きく危険度は変わらない。
「攻略の順番は自由で構わないよ。こちらから口を出すことは何もない」
「となるとやはり順当にいくべきでしょうね」
特別優先する鉱山もないのでそうなるとやはり低危険度のところから行くのが正攻法となる。
冒険者たちからもいくつか質問が出て魔物の種類などを再確認して、順当に低い危険度の鉱山から攻略することになった。
会議は解散となり冒険者たちはドワガルに泊まることになった。
冒険者を二つに分けてドワガルが費用を持って宿に泊まる。
リュードたちは冒険者たちとは別枠なので冒険者たちと同じではなく、再びケルタの所に泊まることになっていた。
ただ費用はドワガルが持ってくれるようでせっかくなので甘えておく。
「いらっしゃい……やあやあ、ひさしぶりだね!」
暇を持て余していたケルタだったけど、またリュードたちが泊まることになって嬉しそうな顔をする。
リュードがいなくてもドワーフたちが宿の前で酒盛りを始めるから困ったものだというマシンガントークを聞いて、帰ってきたなと言う気持ちになったリュードであった。
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