「その国では愛と正義の黒き神の使いなんて呼ばれてて、その悪い貴族は神の使いが罰が下るだろうと最後に言った通りに悪事がバレて処刑までされたんだと。えー……すまん、又聞きだから名前も朧げでシャー……違うな、シュー? なんかシューナリュード、お前と似たような名前だった気がするな」
「そうなんですかぁ」
気のせいではない。
これはリュードの話だ。
遠い目をして答えるリュードはどんな顔をしていいのか分からなくなっていた。
「んで、雷も落ちたってんだから雷の神様の使いとか竜人族の始祖だったんじゃないかなんて言う奴もいるそうだ」
冒険者ってのはだいたい噂話が好きだ。
情報収集も兼ねているし移動の時間も長いのでその手の話に飢えている。
娯楽が少ないから面白ければどんな話でもいい。
酒場で聞けば酒の肴になるし、旅の途中で思い出して色々考えてみれば時間潰しになる。
人にあった時には話したり聞いたりすれば会話になるしとにかくそんな噂話には常にアンテナを立てている。
なので早い速度で噂話は人々の間を駆け巡る。
消えていく噂話も多いのだけど逆に話の内容が変化しながら伝わっていくものもたくさんある。
リュードの話も大まかな内容は維持しつつも細かなところは変化して伝わっていた。
リュードの容姿や名前などは物語を語る上では特に必要でないために徐々に薄れていく形になっていた。
黒いツノは特徴的なのでそこをピックアップして話を続けることもできるために話の中にも残っていた。
容姿や名前についてボヤけててよかったとため息をつく。
愛と正義の神の使いなんて呼ばれているのは今初めて知った。
エミナを助けるためにやったことがこんな噂になっているとは思いもしなかった。
「なんだか最近黒いツノの男の話聞くんだよな。それっぽいのから明らかにウソだろってもんまで様々。さっきの話がどうにも最初の話っぽいんだけど本当のところはどうだかな」
その後もドコムはいくつか黒いツノの男に関わる話をしてくれた。
黒いオオカミを連れているとかクラーケンと海で殴り合ったとか身に覚えのあるような、ないような話が色々とあった。
港町で多くの女性に貢がせるクソ野郎も黒いツノの男らしくてリュードは乾いた笑いしか出てこなかった。
噂の発生原因が予想できるものはいいのだけど、空を飛んだり浮気者を成敗したりするのはどこから出てきた話なのか気になった。
噂の誇張とか他の噂が混ざってきているのかもしれない。
右手一本でグリフィンを倒すとんでも化け物にされている時には流石に笑ってしまった。
ドコムは黒いツノの男だけでなく色々な面白話をしてくれた。
他の人からもリアクションや他の話が出てきていつの間にかモテるモテないの話は消え失せた。
そんな感じで夜を過ごしながらドワガルを目指した。
戦えるメンバーも揃っているので魔物の脅威もほとんどなくドワガルまで到着することができた。
デルデが門番に頼んで連れてきたことを告げると冒険者を迎え入れるために大きな門の方が開いた。
「ようこそ、ドワガルへ。他のドワーフは分からんがワシは歓迎するよ」
他の人たちは止められ、羨ましそうに見られる中冒険者たちはドワガルに足を踏み入れたのであった。
「そうなんですかぁ」
気のせいではない。
これはリュードの話だ。
遠い目をして答えるリュードはどんな顔をしていいのか分からなくなっていた。
「んで、雷も落ちたってんだから雷の神様の使いとか竜人族の始祖だったんじゃないかなんて言う奴もいるそうだ」
冒険者ってのはだいたい噂話が好きだ。
情報収集も兼ねているし移動の時間も長いのでその手の話に飢えている。
娯楽が少ないから面白ければどんな話でもいい。
酒場で聞けば酒の肴になるし、旅の途中で思い出して色々考えてみれば時間潰しになる。
人にあった時には話したり聞いたりすれば会話になるしとにかくそんな噂話には常にアンテナを立てている。
なので早い速度で噂話は人々の間を駆け巡る。
消えていく噂話も多いのだけど逆に話の内容が変化しながら伝わっていくものもたくさんある。
リュードの話も大まかな内容は維持しつつも細かなところは変化して伝わっていた。
リュードの容姿や名前などは物語を語る上では特に必要でないために徐々に薄れていく形になっていた。
黒いツノは特徴的なのでそこをピックアップして話を続けることもできるために話の中にも残っていた。
容姿や名前についてボヤけててよかったとため息をつく。
愛と正義の神の使いなんて呼ばれているのは今初めて知った。
エミナを助けるためにやったことがこんな噂になっているとは思いもしなかった。
「なんだか最近黒いツノの男の話聞くんだよな。それっぽいのから明らかにウソだろってもんまで様々。さっきの話がどうにも最初の話っぽいんだけど本当のところはどうだかな」
その後もドコムはいくつか黒いツノの男に関わる話をしてくれた。
黒いオオカミを連れているとかクラーケンと海で殴り合ったとか身に覚えのあるような、ないような話が色々とあった。
港町で多くの女性に貢がせるクソ野郎も黒いツノの男らしくてリュードは乾いた笑いしか出てこなかった。
噂の発生原因が予想できるものはいいのだけど、空を飛んだり浮気者を成敗したりするのはどこから出てきた話なのか気になった。
噂の誇張とか他の噂が混ざってきているのかもしれない。
右手一本でグリフィンを倒すとんでも化け物にされている時には流石に笑ってしまった。
ドコムは黒いツノの男だけでなく色々な面白話をしてくれた。
他の人からもリアクションや他の話が出てきていつの間にかモテるモテないの話は消え失せた。
そんな感じで夜を過ごしながらドワガルを目指した。
戦えるメンバーも揃っているので魔物の脅威もほとんどなくドワガルまで到着することができた。
デルデが門番に頼んで連れてきたことを告げると冒険者を迎え入れるために大きな門の方が開いた。
「ようこそ、ドワガルへ。他のドワーフは分からんがワシは歓迎するよ」
他の人たちは止められ、羨ましそうに見られる中冒険者たちはドワガルに足を踏み入れたのであった。


